Zoukout 2011。

Zoukout 2011。


シンガポールにあるアジア最大級のナイトクラブ、2011年度ランキングではなんとアジアNo.1の9位にランクインする名実ともにワールドクラスのナイトクラブです。
そんなZoukが2000年から毎年開催している野外フェスがこのZoukout。これまでにもPaul van Dyk、2 Many DJs、Masters At Work、Gilles Peterson、Richie Hawtin、Sven Vath、David Guetta、Above & Beyond、Sasha、Carl Cox、Booka Shade、Nick Warrenなどなど錚々たるDJ陣が参加し、毎回3万人規模のオーディエンスが参加する超ビッグフェス。そんなZoukout 2011が開催される2011年12月10日にたまたまシンガポールに行く用事があったので、「これは参加せねば!」ってことで行って参りました。今回はそんなZoukout 2011参加レポートをお届け!


Zoukoutの会場は「島全体がエンターテイメント」というセントーサ島。この中のSiloso Beachというビーチが会場です。海外のフェスなんて2003年に行ったマイアミWMC以来でどうやって行けばいいのかまるでわからなかったので、ひとまず地下鉄MRTに乗ってセントーサ島に最も近いHarbour Front駅へ。そこにある大型ショッピングモールVivo Cityのフードコートで夕食を食べた後、Vivo Cityから乗れるセントーサ島行きのモノレール”Sentosa Express”に乗ってセントーサ島入り。他にもロープウェイって選択肢があったらしいですが時既に遅し。うーん、乗りたかったなあ!
“Sentosa Express”は言ってみればゆりかもめのような雰囲気。駅はVivo Cityの駅を含めて4つ、終点が会場に最も近いBeach Station。最も近いとはいえGoogle Mapさんによると会場はBeach Stationからは少し離れたところにある様子。ので他の人々の流れに従ってしばし歩く。周囲にはたくさんのZoukout参加者らしき人々が歩いていましたが、意外にも思ったほど混んでいませんでした。「セントーサ島に入るのにタクシーを捕まえたりして結局30分、そして会場入りするのにもう30分くらい並んだりするとしたら22:30のGui Borattoに間に合うためには21:30には出ねば」と鼻息を荒くしていたのでちょっと肩透かしな気分、恐らく入りが早すぎたのだろうと思われます。
そんなわけで予想以上にすんなり会場に到着、すんなり入場。ちなみに海外でクラブに行くときは必ずパスポートのコピーを持って行きましょう。これがないと入場できません。でも原本はなくすのは怖い。個人的ベストソリューションはパスポートをスキャンしてdropbox等に入れておくこと。まだ実行に移したことはありませんが。

さて、そんなこんなで会場入りしたのは22:00頃。最初の目玉Gui BorattoのLiveまではまだ時間があるので、とりあえず酒とお土産Tシャツを買いつつ、会場内散策。
とその前にエントランスからすぐ近くの大きなステージ(最初はこれがメインステージだと思いったが後でこれが最も小さいステージだと気づく)でAce of Base / “All That She Wants”がかかっていてびっくり。これがZoukout一曲目になろうとは、なんとも複雑な気分です。
とりあえず景気づけの一杯をぐびっと飲み干した後、フェス恒例Tシャツ購入。カッコよかったし値段もSGD35と安い。もう一枚くらい買っとけばよかったかなあ?と少々後悔。その後会場内散策。どうやら会場はビーチだけあって縦長の作り。一番奥にステージAがあって、ここのメインアクトはAviciiくんやArminのトランス勢。ちなみに今この瞬間まで「アヴィシルくん」だと思っていたが正しくは「アヴィシイくん」だということを知り、ショックを受けています。その手前にはステージB、ここではGui Boratto、Carl Craig、Roger Sanchez、Bob Sinclar、Karizmaが。個人的にはここが本命ステージ。さらにステージBの照明はAIBAさん。ステージCはAll That She Wantsを聞いたところ。ネームバリュー的にちょっと地味めなDJ中心の様子です。

会場内ファシリティは、さすがにこれまで何度も開催されているだけあって非常に充実。どのステージもサウンドシステム、ライティングや大型モニター等ステージ上のデコレーションはばっちり。大量のトイレ、バー。バーは本当にいたるところにあって、ドリンクの購入に困ることがありません。フードも充実、ドネルケバブやハンバーガー、アイスキャンデーなどageHaのフードコートに似た様相。他にもSwatchやCiti Bankなどの企業ブースもあってちょっとしたアトラクションを提供していました。そしてこれらのファシリティの中でも最も素晴らしかったのが携帯充電器。会場内にいくつか携帯充電ステーションがあり、利用者は携帯を接続して充電できる。ここはさすが携帯キャリアSingtel主催といった感じ。こういうファシリティは確実にフェスの質を左右しますな。

会場散策を終えると22:30、ステージBでGui BorattoのLive開始です。以前eleven等で聞いた時は、彼のプロダクションを中心にしながらもアルバムよりも踊れるセットだったという印象があったので今日もそれを期待。が、”Galuchat”や”Striker”など、どちらかといえば最新アルバム”III”収録のトラックを単発で投下する感じ。相変わらずのカッコよさではありますが、如何せんフェスにきてはっちゃけたいクラウドには少々物足りないような気も。ミックスをせず一曲ずつ終わるというDavid Mancuso的スタイルもテンション分断に一役。てことで途中からはステージ前からちょっと離れたところでお酒飲んだりしながらゆらゆら揺れたり劇踊りしたり。もしかしたらセットの最後の方では”The Third”や”This Is Not The End”などの名曲もかかったかもしれないですが、残念ながら途中で移動してしまったためそれは確認できず。

Gui BorattoがステージBで地味カッコいい空間を作り上げている間、ステージAではSimon Dunmore & Shovellによるテンション高めなハウス。Riva Starr & Fatboy Slim feat. Beardyman / “Get Naked”などがかかる感じで踊れる展開。この人たちのプレイが面白かったのは、DJが曲をかける傍らもう一人がずっとボンゴを叩いてること。この生ボンゴ、ずっと聞いていると飽きるかなーと思ったけれども案外違和感がなくってカッコいい。多分クラブでこれをやるとちょっとしんどいと思いますが、フェスでは威力を発揮する様子。カッコよかったです。

そうこうしている間にステージBではGui BorattoのLiveが終わり、続いてCarl Craigが登場。Carl Craigの個人的印象は「X-press 2 / “Kill 100″やBeanfield / “Tides”のリミックスなど時々カッコいい踊れる曲をリリースする人だが基本的には難解な地味テクノを作っている人」というもの。なので正直彼のプレイにはあんまり期待していませんでした。が、カッコいいぞCarl!マジメで地味だが疾走感があっていい感じに踊れるテクノを投下するCarlのプレイはProgressive House〜TranceだらけのJakartaクラブシーンに辟易している身体には非常に新鮮。ただこの時点で残念ながら腰痛&今朝の運動による筋肉痛がヒドくって、実はあんまりまともに動けない状態。ここ数日の強行日程で睡眠時間も十分ではなかったし。

さて、Carl Craigの次は御大Roger Sanchezの登場。何を隠そう僕が十数年前に人生初のクラブデビューをした時のDJがこの人、Roger Sanchezでした。当時会場であるYellowの場所もそもそもクラブでの遊び方もわからない中、フライヤーを片手にYellowに何度も電話して場所を聞き、フライヤーに書いてあった「21:00〜」の文字を信じて21:00ちょっと前にクラブにいったあの日。Roger、僕はもうこんな歳になってしまいました。でも久々の再開にもかかわらずお互いそんなに変わってない感じ。Rogerはもはやベレー帽はかぶってなかったし、UREIいじりながら上体をブンブン揺らすスタイルではなくなっていましたが、あの頃同様グルーヴィーでソウルフル、時々ダビーなハウスをプレイするスタイルは変わらず。彼の最新リリース”Animalz”をはじめとするトラックに、サウンドエフェクトや”Music Is The Answer”などのアカペラをかぶせて盛り上げていくそのスタイルはやはり第一線で活躍し続けているだけある。システムはPCに移行していたけれどもコントロールは引き続きアナログレコードでやっている様子で、頭出ししてリリースしてミックスしながらピチコンでピッチ合わせてくスタイル。ピッチのズレは時々ありますが、彼クラスのベテランだとひどいズレは皆無だしズレていてもすぐさま修正されるので、ズレが全くない昨今のPCDJスタイルに慣れていた耳にとっては逆にそれが心地よかったり。

そんなRogerのイカしたプレイの途中でステージAのAviciiくんのところに移動。Simon Dunmore & Shovellの時に比べてオーディエンスの数が増えており、そのオーディエンスの数に比例する形でダンスフロアも拡大している感じ。1989年生まれの若者のクセにスゴい集客力です。そんなAviciiくんはBeatport上位常連な感じの攻撃的プログレッシブハウス〜トランスあたりのトラックを彼のキャラ通りにプレイ。カッコいいはカッコいいが、この辺はテンションが高すぎてもはや僕みたいな老体にはお腹いっぱい。ただオーディエンスは非常に盛り上がっていました。やっぱりみんなトランスが大好きな様子。

ちなみにZoukoutの客層はシンガポールの街の様子と同様、人種が非常に雑多。中華系、マレー系、インド系もさることながら、日本人や韓国人、オーストラリア人など本当にその人種構成は様々。国土が東京23区程度の広さしかなく、人口も日本の半分以下しかない国でこれほど大きなフェスを開催できるのは、ひとえにその周辺国からも集客できるから。例えばジャカルタからシンガポールへの移動は格安航空会社を使えば往復1万円以下、移動時間も1.5時間程度。下手したら東京から沖縄や北海道に行くよりも近いし安い。そう考えると、日本が誇るFuji RockやBig Beach Fesなどのフェスは、あれだけの規模の集客をほぼ単一の民族で実現するってところが逆にスゴいかもしれない。

さて、そんなわけでこの辺でもうヘトヘト、身体ギシギシ、汗ダクダク、砂ザラザラな状態だったわけですが、さすがに今年のメインアクトであるArmin様を見ずして帰れねえと思い29:00まで待機。29:00になってようやくArmin様が登場!こんな時間にもかかわらず会場の雰囲気は最高潮で、Aviciiくんの時にデカくなったと感じたフロアはまたさらにデカくなっている。MCが煽りに煽ってようやくArminのプレイがスタート!!

…………。

感想を先に申し述べさせていただきますと……クチに合いませんでした。というか彼はそもそもDJではありませんでした。
この人ってもともとこういうスタイルだったんだろうか?うーむ。
まあ要するに下記のパターンの繰り返しだったので、たちどころに飽きてしまったわけです。

  1. ミックス。
     ↓
  2. ブレイクまでは16拍または32拍に一度ハイパスフィルター、そして手拍子パフォーマンスで会場を煽る。
     ↓
  3. ブレイクではバンザイポーズ、客熱狂。大型モニターには歌詞が表示され、皆合唱。
     ↓
  4. ストロボの点滅の中ブレイクが明け、みんな踊り狂う。
     ↓
  5. ミックス(以下同様)
驚いたのは大型モニターに間髪入れず歌詞が表示されていたこと。おそらくリアルタイムで表示しているんだと思いますが(そうじゃなければここまでタイミングを合わせるのは困難)、全て仕込みではないにしろこの時点ですでになんだかスゴい違和感。
繰り返すようですがこの日の彼はDJではなかったんです。昔はDJだったのかもしれません。でも今日は違いました。お客さんの様子を見ながらの駆け引きとか、持ち時間の中での展開とか、雰囲気に合わせた臨機応変なプレイとか、そういうDJならではのリアルタイム性、展開はなく。基本的には彼の持ちネタを淡々と提供するのみ。
いや、これはこれで一つのスタイルだとは思います。実際にこれで1000人以上のオーディエンスはエキサイトしている。ただ、「Arminのコンサート」ではなく「ArminのDJ」を聴きにきた僕にとっては拍子抜けでした。Arminが投下する一曲一曲に歓喜できるほどそれらの楽曲に思い入れがあるわけでもない。そんなこんなで周囲と僕との間のテンションのギャップもピーク。周りにいた外人の女の子が「最高よねぇぇー!」と声掛けてきても「ああ、うん、ははは……」と苦笑いしかできず。
そんなわけでArminが始まって30分くらいでさっさとZoukoutを後に。

今思い返すとDavid Guetta、Tiesto、Laidback Lukeなどのトランス陣に加えDubfire、Booka Shade、Dennis Ferrer、Seth Troxlerなどのテックハウス陣も充実していた去年のZoukoutに比べ、もしかしたら今年は少々不作の年だったのかもしれません。というかそもそも「聞きたい!」と思うDJがGui Borattoのみって時点で行くべきではなかったのかも。
しかし、そうは言ってもやっぱり最高でした!先述した通りファシリティは最高だし、月食の下のビーチパーティというシチュエーションも最高。夜がふけると気温もちょうどよくなり快適。日本からは「ちょっくら行ってこようかな」的なノリで行くには時間もコストもかかって大変かもしれませんが、その時期にちょうど東南アジアにいるのならば是非一度は訪れるべき!
今から来年のラインナップが楽しみですな!