回顧。

回顧。


3歳頃。
「Michael Jackson」が何かもわからない頃、親から「すごいから」と言って無理矢理見せられた”Thriller”のPV (MJファンなら「Short Film」と言うべきか)が、恐らく僕と彼のファーストコンタクト。その時はただのホラームービーにしか見えず、怖くて仕方なかった。

小学生; BAD=「発見」。
松田聖子とStevie Wonderをよく弾き語ってくれていた父が持っていた”BAD”のカセットテープをいつの間にか気に入り、暇さえあればよく聞いていた。
小学校4年生の時の日能研の夏休みの宿題を、居間のYAMAHAのコンポの前で”BAD”のカセットテープを流しながらやったらとてもよい成績で、塾の先生に褒められたことを憶えている。この宿題は気合いを入れて取り組んだのだけど、要するに小4の僕にとって既にMichael Jacksonの音楽は気合いを入れるためのアイテムの1つだった。
BADの中で好きだったのはなんと言っても”Man In The Mirror”。次いで”I Just Can’t Stop Loving You”、”Smooth Criminal”、”Leave Me Alone”、”The Way You Make Me Feel”。”Leberian Girl”も大好きだったけど、冒頭の女性の声が「マツタケピア~」にしか聞こえず、それは今も変わっていない。
「こう言ってるように聞こえる」と言えば兄と”The Way You Make Me Feel”の歌詞について「ここはこうだ!」「いやこんな感じだ!!」と言い争っていた記憶も。僕小4と兄小6くらいなのでどちらも英語はまったくわからないのだけど、なぜか「マイケルはこう言っているはず」と口論に。でも後年歌詞カードを見た時「ショモゥ~!」と聞こえていたものが歌詞カードを読むと「Come on!」だったことを知り愕然。

中学生; Dangerous=「開眼」。
中1の頃、正月に親戚宅へ行った時、叔父に石巻のCD屋で”Dangerous”のアルバムを買ってもらった。これが人生で初めて所有したアルバム。中学への通学中はお小遣いで買った「ボタンがしまえるWalkman」で繰り返し聞きまくった。
この頃は母が仕事をしていた都合で週2回は近所の祖母宅で夜ご飯を食べていた。そんなある日、鼻息荒く帰ってきた兄が「この曲聞いてみろって!!」と祖父のコンポで聞かせてくれたのが”Black or White” (The Clivilles & Cole Radio Mix)。衝撃だった。今聞いても相変わらず最高。特に終盤のDavid Coleのキーボードソロは、何度聞いてもDavid Coleという人を亡くした口惜しさがこみ上げる。ちなみにBillboard 15週連続No.1だったMariah Carey & Boyz II Men / “One Sweet Day”はDavid Coleの死を悼んだ曲。こちらはオリジナルよりChucky’s Remixが圧倒的にオススメ。
その後”Black or White”をはじめとして”Remember The Time”、”Jam”、”In The Closet”など”Dangerous”からのシングルカットをきっかけにRoger Sanchez、E-Smoove、Steve “Silk” Hurleyなどを知り、徐々にダンスミュージックに傾倒。Dangerous収録曲では”In The Closet”をFrankie Knucklesがリミックスしていたけれど、それよりもTommy Mustoのリミックスの方が秀逸。ちなみにこの頃の自分がDef Mix Productionsを認知していたかどうかは不明。
その後兄が買ってきた”Dangerous – The Remix Collection”が自分にとっての”Dangerous”の集大成。恐らくこの頃「歌詞カード読んでプロデューサーを調べる」という行動が定着しつつあり、そこで「Satoshi Tomiie」という名を知ったと思う。「え、日本人!?」て感じで少なからず驚いたのではないか。これが僕にとってSatoshi Tomiieという存在とのファーストコンタクト。これをきっかけにそこから20年以上も惚れ込み、ウェブサイトのお手伝いをさせてもらったりするだなんて想像だにしなかった。
そういえば、いつぞやのageHa年末パーティーでDanny Tenagliaが最後に”In The Closet”のオリジナルバージョンをプレイした時は激しく踊り狂ったなあ。

高校生; HIStory=「没頭」。
“HIStory”は高校1年生の時。”Scream”での兄妹競演には興奮したけど、他の”HIStory”収録曲はリミックスばっかり聞いていてオリジナルはあんまり聞かなかった気が。
ただし”Scream”のみ例外で、David Morales & Satoshi Tomiieのリミックスよりもオリジナルの方が好きだった。
“HIStory”でのお気に入りは、当然”You Are Not Alone”のFrankie Knucklesのリミックス (という体の実態はSatoshi Tomiie Remix)。大好きなMichael Jacksonが大好きなR. Kellyが作った歌を歌い、さらに大好きなFrankie Knuckles (と言うよりSatoshi Tomiie)がリミックスするという豪華布陣であり、その三者が見事に調和した最高傑作。パーティーないしはMix CDの最後がぴったり合う名曲だが、惜しまれるのはClassic Club MixにしろFranktified Club Mixにしろ最後が性急なフェードアウトになっていること。でもどうしてもMix CDの最後で使いたかったので、仕方なくFranktified Club Mixの途中からKnuckluv Dub Versionにバレないように移行してKnuckluv Dub Versionの途中のピアノがきれいなとこでフェードアウトする、なんてことを苦労しながらやってみたり。
“You Are Not Alone”以外には”HIStory”のTony Moran、”This Time Around”のDavid Morales(これ決してメジャーじゃないけどなぜか好き)、”Stranger In Moscow”のTodd Terryがお気に入り。村田兄弟が大好きな”Earth Song”のHaniはあまり良さがよくわからなった(嫌いじゃないけど)。
こないだDJさせて頂いたパーティーで友人のNaoto Taniai氏が最後に”You Are Not Alone”をプレイしてくれて嬉しかった。最初のキックの音でイントロドンできる僕はまだまだ衰えていないはず。

最近; Invincible=「確認」。
惜しむらくはMichael本人が語っていたようにSonyが積極的に”Invincible”のプロモーションをしなかったこと。
シングルカットもほとんどなかったし、Short Filmも”You Rock My World”の長編を除いて作られたなかった。
“You Rock My World”はなんだかんだでとても好きだったけど、他の曲はほとんど聞かなかったのはしきりに反省。とはいえリリースから数年経った後に改めて正面から向き合ったら……傑作だった。
それまでの自分の中での最高傑作は”Dangerous”だったと思うが、今なら確実に言える。Michaelは常にアップデートされ常に過去を凌ぐ。
特に”Butterflies”の穏やかな壮大さといったら。もちろんこれまでバラードの名曲は沢山あったし、美しい曲も多かった。ただこの曲の持つ……月並な評価だが……父性にも似た愛情は今まで聞いたことがなかった。同様に”Heaven Can Wait”や”Speechless”も珠玉過ぎて聴く度に言葉に詰まる。
シングルカットがなかった分リミックスのリリースも他のアルバムに比べて圧倒的に少ないが、今の自分にとっては押しも押されぬMJ最高傑作。

番外; ショートフィルム。
PVで最高なのは文句なく”Scream”。曲もカッコいいし映像もカッコいいし、それより何よりMichaelの顔は確実に”Scream”が絶頂(個人的にAメロのヘッドホーンつけてるシーン)。ブレイク後の兄妹ダンスは本当にカッコいい!!
次いで”Remember The Time”。「Short Film」という新しい捉え方をしたMichaelのPVは、”Thriller”以降場合によっては楽曲のランニングタイムの倍を優に超えて「もはやPVではなく映画」的なものが少なくないけれども(その最たる例が”Smooth Criminal”。映画Moonwalkerそれ自体がPV。)、個人的にはこのスタイルは案外好みではなかった。いや、そういうことはポリシーやビジョンがなければできないと思うし、またShort Filmのために曲をリディットする姿勢は素晴らしいと思うんだけれども、イチ視聴者としての感想を振り返ると、”Thriller”は怖かったし(怖くなくなった時にはもう古かったし)、”BAD”も既に古かったし(今見返したら”Thriller”が14分弱、BADが16分強でBADの方が長い!)、”Smooth Criminal”や”Black or White”に至っては途中の長いソロダンスパート(前者は照明が落ちてみんなが唸るシーン、後者は所謂「黒ヒョウ」のシーン)が好きになれなかった。そんな中、楽しめた数少ない作品の一つが”Remember The Time”。最高なのは6分半前後のビートだけのパートを背景にMichaelと20名くらいのダンサーが踊るシーン。素晴らしい。
“You Rock My World”も好きだけど、それがなぜかは自分でもよくわからない。

こう振り返ると僕とMichaelの関係は案外太く短い。”Thriller”以前は代表曲しか知らないし、”Blood On The Dance Floor”や”Invincible”もリアルタイムで聞ける環境にあったにもかかわらずなぜかほとんど聞いてない。
ライブは一度も行ったことがないし、PV以外で動くマイケルを見たこともほとんどない。
だから、彼が死んだってことがよくわからない。彼が生きていたってこともよくわからない。
でも、今音楽が大好きな自分の礎を作ったのがMichael Jacksonという存在であったということは確実に言える。
上に色々書いた通り、もしMichaelがいなかったら、誇張ではなく、文字通り、今の僕はなかったと思う。
コンプレックスと闘いながら、大衆に揶揄されながら、それでもなお、その50年の人生のほぼ全てを費やし、圧倒的なエンターテインメント、珠玉のアートを生み出すだけでなく、博愛平和に尽力したMichael Jacksonが、Neverlandにて安らかに永眠されることを、心の底からお祈り申し上げます。

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