四畳半神話大系 (森見 登美彦)

四畳半神話大系 (森見 登美彦)


僕の趣味は読書だが、小説はあまり読まない。
恐らく読書の目的は「勉強」や「新たな知識獲得」と考えているからである。
しかし、久しぶりに娯楽小説らしい娯楽小説を読んだ。
森見登美彦の「四畳半神話大系」である。

そもそもの出会いは深夜に放送されていた同名のアニメ。
フジテレビの深夜帯では時折絶妙に奇妙なアニメを放送しており、その決してマス向けではないがなんだかんだでマスに受け入れられそうな作画、ストーリー、キャラ設定が絶妙に「よくわからんが面白い」感を醸成していて、毎週欠かさず見るほどではないにしろついつい見てしまうくらいお気に入りになっている。
で、久々にこの時間帯のアニメをちらりと見た際に放送されていたのがこの「四畳半神話大系」。

本作についても、同時間に放送されていた他のアニメと同様その作画、ストーリー、キャラ設定に惹かれたが、最も気に入ったのがアニメにもかかわらず堅苦しい言い回しで早口気味に展開される主人公の語りと、回は異なるはずなのに根本的な時系列、発生する出来事に変化はなく8割方現れるデジャブ的情景、セリフ。
「いやー、なんだかよくわからんけどすげー。おもしれー。」
などとついつい毎週見てしまう。
で、その番組の合間に挟まれるDVDや原作の宣伝で、本作の存在を知ったという次第。
「原作はどうなってんの?」という思いに駆られ、ついつい購入、読了。

本作は、京都大学三回生たる「私」を主人公として、その「私」が新入生の際にどのサークル/団体/組織に所属すべきかに関して下した判断により展開する4つの並行世界をそれぞれ短編として編纂したもの。
語り口はアニメ同様堅苦しくも小気味よい言い回しで統一されつつ、その内容はどこまで行っても微笑ましい阿呆らしさと甘酸っぱい青春の苦悩に満ち溢れており、読後感は気味の悪いニヒルなほくそ笑みをついつい口元に浮かべてしまう。
本書は小説であるが故、他のビジネス書のように本レビューにおいて本作の内容に関する要約をここで述べることは差し控えるが、代わりに本書の魅力を以下に記す。

  1. 一部を除く各キャラクターの設定、生い立ち、立場、出来事は全編を通じて同一であるが故、描写、表現においても約4割はコピペ。にもかかわらず全く飽きのこない多様な展開を描いている。すごい。
  2. 一部を除き全編を通じて同一であるキャラクター設定、生い立ち、立場、出来事はどれをとってもほぼ阿呆かつ無駄。にもかかわらず春の新緑のような爽やかな読後感を醸成している。すごい。
  3. 収録されている短編4編はそれぞれが異なる物語。にもかかわらず一部を除き全編を通じてキャラクター設定、生い立ち、立場、出来事はほぼ同一であり、その描写、表現においてもコピペ。すごい。

と、ここまで長文駄文を重ねて本書の魅力を語ってきたが、本レビュー自体を一生懸命本書の文体口調で書こうと四苦八苦しているあたり、私がいかに本書に影響され傾倒し超お気に入っているが容易に伺い知れることと思う。
いずれにしろ百聞は一読に如かず。
四畳半という閉鎖的空間に展開される唾棄すべき阿呆で甘酸っぱい青春に浸りきり貴重な時間を溝に捨てようではないか。

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