採用戦略。

採用戦略。

採用戦略。

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入社2年目頃からリクルータとして採用活動に携わっています。
その中で感じるのは「優秀な学生の採用は年々難しくなっている」ということです。
てことでその原因は何か、そして当社のような会社におけるリクルータは今後の新卒採用においてどのように活動したらよいか。
ちょっと考えてみました。

まず現状分析。
昨今の学生は、内々定ゼロの学生と複数の内々定を持つ学生との二極化が進んでいるそうです。
ある統計によると、今年の就職活動において2011年4月末段階で学生の45%が内々定ゼロ、一方30%が2社以上の内々定を保有。
逆に言えば、多くの企業がその30%の学生に殺到しているということです。

この原因は2つ。
1つは、不況だから。
不況期においては個性の強い人材よりも汎用性の高い人材の方が求めらるとのこと。
要するに「これしかできないけどこれだったら他の誰にも負けねえ!」って人よりも「大体のことは平均点以上でできますよ」って人が重宝される。
2つは、変化の激しい時代だから。
昨今のIT化グローバル化に伴う事業構造産業構造の大きな変化に伴って、「いかにルーチンをサクサクこなすか」よりも「いかに答えのわからない難題にも積極的に取り組み成果を出していくか」の方が重視される。

ではそれはどういう人材か。
人材のスペックを「IQ」と「EQ」の二つの軸で考えてみると、それぞれの高低を踏まえて大きく4つのマトリックスに分類できます。
求められるのは当然「高IQ×高EQ」、つまり「仕事が早く、自分から積極的に動く人材」。
一方最もニーズがないのは「低IQ×低EQ」、つまり「仕事が遅く、指示があるまで動かない人材」。
要するにこの「高IQ×高EQ」が先述の30%にあたるわけです。

こう考えると採り得る打ち手は大きく2つあることが考えられます。
1つは「レッドオーシャンで戦う」、もう1つは「ブルーオーシャンを切り開く」。
前者は、先ほどの「高IQ×高EQ」人材を他の優良企業とガチンコで奪い合うという道。
後者は、「高IQ×高EQ」以外の人材に目を向ける道。

前者の戦略を採用した場合、どうすればいいか。
「高IQ×高EQ」人材に対する訴求ポイントは、「高待遇」「高ブランド」「高育成」だと思います。

まず「高待遇」。要するに給料です。
昨今DeNA、GREE、ドワンゴはそれぞれ採用するエンジニアに対して200万円程度の一時金を支払う旨発表しました。
「おれは金のために仕事するわけじゃねえ!」という人材もいると思いますが、一方で基本的に給料は単純にその人材への価値を表します。
いい評価をされて悪い気がするわけがありません。
ここでのポイントは、実態の給料やワークライフバランス等は関係がないこと。あくまでターゲット=新卒学生が見える範囲での給与額が重要です。
従って、極端な例を挙げれば「初任給はすげー高いが実は昇給は超スロー」とか「年収は高いが実働1日20時間、休みは半年に1日」とかは学生からは見えないので、このような企業もターゲットに訴求できます。

次は「高ブランド」。要するに認知度です。
ここで言うブランド、認知度にはいくつかの種類があります。
例えば高いB2Cブランド。トヨタやソニー、サントリーが毎年就職人気ランキングで上位に入るのは、そのB2Cブランドとしての好意的な認知度によるところが少なくありません。
例えば高いビジョン。ソフトバンク、楽天、ファストリなどの新興企業は、そのビジョンや経営スタイル、成長力で学生の気持ちを掴みます。
例えば高い社会貢献。昨今は疑問符がつきますが、中央省庁や日銀、JICA等の政府系組織はその公的使命と広い影響範囲のために使命感に燃える学生にアピールします。

最後に「高キャリア」。要するに自分の成長です。
例えばリクルートやP&G、GEなどは人材育成に定評があり、より市場価値の高い人材に成長できる可能性が高いです。
また外資系投資銀行やコンサルティング会社等は入社も業務も昇進もなにもかもが難関なのでこちらも成長が期待できます。
成長できれば、その後他にやりたい仕事が見つかった際キャリアチェンジが容易です。
恐らく「高IQ×高EQ」人材への訴求ポイントはこの3点あたりではないかと思います。

ちなみにこの3つのうちフォーカスすべきは、短期的には待遇です。
先程例示したDeNA、GREE、ドワンゴはいずれも優良企業ですがまだ設立間もないために「高ブランド」は形成出来ていません。
また、以前TechCrunchの記事でも指摘されたようにこのようなスタートアップは社員の教育・育成まで手がまわらないため「高キャリア」も期待できません。
従って、これらの企業は優秀な人材獲得のため先述したように「給与」にフォーカスした採用戦略を採用しているものと思われます。
ただし、「高待遇」は優秀な人材の獲得を可能とする結果業績の向上をもたらし、さらに業績の向上によって経営が軌道に乗ることで社員の育成も充実させます。
従って、「待遇」→「ブランド」→「キャリア」の順に策を講じるべきだと思います。

では後者の「ブルーオーシャンを切り開く」戦略を選択した場合。
「高IQ×高EQ」人材以外に目を向けた場合、次に獲得すべきは「低IQ×高EQ」人材です。
「すげー仕事は早いけど指示待ちの人間」と「仕事は遅かったり雑だったりするけど積極的にガンガンいく人間」では、IQの程度にもよりますが後者の方が重宝されます。
実際、学生の選考基準を後者にシフトさせている、つまり経産省が提唱する「社会人基礎力」において「前に進む力」を最も重視しつつある企業は少なくありません。
この領域は比較的まだ「高IQ×高EQ」人材ほど人材獲得競争は熾烈ではないため、ここで求める人材を獲得するポイントは「いかに学生に訴求するか」ではなく「いかに間口を広げるか」になります。

学歴とIQ、まして学歴と仕事ができる/できないに相関がないことは多くの人が経験的に知っていると思いますが、今年僕がOB訪問を受けた学生の中でも「こいつは優秀だな」と思ったのはほぼ所謂「Fラン大学」であり、「だめだこりゃ」と思ったのはほぼ上位の大学です。
むしろ今年のOB訪問だけを振り返れば、学生の優秀度と学歴には完全に負の相関が成立しています。
にもかかわらず、採用活動においては、学歴は依然として選考基準に含まれています。
そう考えると、「低IQ×高EQ」層へのアプローチはつまり「低IQ(だと思い込んでる)×高EQ」層へのアプローチであり、そのためには「学歴とIQの相関」という固定観念を捨て、間口を広げることが必要だと思います。
もっと言えば、例えば「新卒」「日本人」などの属性が自社の業務遂行に対して正の相関がない、それらを直ちに捨て去ることがこの領域で優秀な人材を確保するためのポイントになると思います。
特に楽天、ファストリ、パナソニックは少なくとも「日本人」という属性は捨てたようです。

以上を踏まえ、実現性とインパクトを考慮すると当面は「ブルーオーシャン戦略」を採用することが妥当と考えられます。
そのために必要なことは、リクルータチームを学校別に構成するのではなく道州制をベースとした地域別に再編することです。
リクルータにOBを起用することの効果として「親近感が湧く」「ロールモデルとして見やすい」という効果が挙げられますが、それらは小中高でも代替可能です。(個人的には大学による親近感よりも中学高校による親近感の方が強いのですが……)

てことで、そんな感じでどうですかねえ?人事部さま?

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