最近日々の業務で英語を使う日々です。
まだまだ伝えたいことが思うように伝えられなかったり、字幕なしの洋画なんてまるでわからなかったりしますが、それでもまるで英語が話せなかった1年前に比べて(1年前の英語面接やBerlitzの授業を思い出すと……今でも鳥肌が立ちます笑)だいぶ話せるようにはなりました。
そんな僕の英会話勉強法は過去のエントリー「オレ流英会話学習法。」や「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (森沢 洋介)」で述べた通り。
しかし最近もう一つ、重要なポイントに気づき始めました。
それは日本語を学ぶことです。
英語を話せるようになるために日本語を学ぶ、というのは一見すると奇妙ですが、実はこれ、非常に重要なポイントだと思います。
まずは僕が実際に見た下記の例を。
Jakarta is third time!
非常に奇妙な文章です。が、日本語に直訳した瞬間に意味が通じます。
ジャカルタは3回目なんです!
多くの日本人、特に僕を含む英会話に不慣れな日本人は、まず頭の中で日本語の文章を作ってから英訳して話す、というプロセスを処理します。多くの英会話本には「やっちゃダメなこと」として書かれていますが、仕方ない。思考言語まで英語に置き換わっていないうちは、相手が言ったことを日本語に翻訳して理解、その答えを考えてから英語に訳してアウトプットする、という処理をせざるを得ません。
しかし、問題はその一部、考えた答えを英訳するところに潜んでいます。
なぜ上記の例のような誤りが発生するのか。
それは日本語の特性、及び日常会話で利用される言語の特性に起因する「文法の不完全さ」です。
その「不完全さ」とは、下記の3点に集約されると思います。
- 主語や目的語など文章の中で重要な役割を果たす単語の省略
- 主語と述語のねじれ
- 単語の文法的誤用
- 主語や目的語など文章の中で重要な役割を果たす単語の省略
先ほど挙げた例はこの問題によるものです。
「ジャカルタは3回目なんです!」というこの文章、省略された単語を補うと下記のような文章になるはずです。(私が)ジャカルタ(を訪問した回数)は(今回が)3回目なんです!
修飾語等を省くと基本的には下記のような文章になる。
(今回が)3回目です
これを英訳すると下記の通りになる。
This is the third time.
この「3回目」が何かということを説明するのが残りの文章に当たるので、それを付け加える。
This is the third time that I visit to Jakarta.
つまりこの文章の本来の主語である「今回」という単語を省略したが故に、口語体の文章上は主語が本来主語ではないものに置き換えられ、それをそのまま英訳したことで奇妙な英文が成立したと。
従って、英会話力向上のためにまずやるべきは、日本語を話している時常に文章の本来の主語、基本文型は何かを意識することだと思います。ちなみにこのポイント、実はメール等のテキストコミュニケーションにおいても非常に重要だと思います。
最近思うのは、年齢が上がり立場が上になるに連れて部下への指示メールが非常に簡略化する傾向があるのでは?ということです。
立場が上になるほど所掌範囲も広がり忙しくなるので一つ一つのメールに時間を掛けられなくなることも理解できますが、このような場合に発生するのは上述したような重要単語の省略、もしくは「これ」や「それ」などの指示代名詞の多用によって指示が不明確になり、その確認のために必要以上に上司と部下双方の時間が取られること。
メールなどの即座に意図の確認ができないコミュニケーションツールは、重要単語を省略しないよう心掛ける方がコミュニケーションの効率は向上すると思います。 - 主語と述語のねじれ
これはつまり「主語と述語の対応関係が文章の中で変化している」という状態です。
例えば下記の例文。当社の新商品は、当社がこれまで培った経験を活かして開発され、お客様からの評判もよく、前年比50%増の売上を期待しています。
これらは下記の3つの文章から構成される複文です。
- 当社の新商品は、開発された。
- 当社の新商品は、評判がよい。
- 当社の新商品は、前年比50%増の売上を期待している。
はい、3つめの文章だけ主語と述語の対応関係がおかしいです。このまま訳すと、下記のようになります。
Our new product expects that its sales will increase by 50%.
この3つめの文章の修正はちょっと難しい気がします。一見、動詞の部分を受動態にすれば済むように見えますが、「当社の新商品は、前年比50%増の売上を期待されている。」と変えただけでは、「新商品なのに前年比?」という疑問が生じます。つまり3つめの文章の主語は恐らく、「当社の今年度の業績」。
このように主語がはっきりしない文章は聞き手読み手に無用の労力浪費、誤解の原因になります。そしてそのような文章をそのまま英訳しても同じことが起きます。
対策としては、先の「重要単語の省略」とほぼ同様ですが、主語と述語の対応関係を常に意識することだと思います。 - 単語の文法的誤用
これは色々なケースが考えられます。形容詞を副詞的に使ったり、副詞を形容詞的に使ったり。特にSVC構文における主語と補語の品詞の違いもこれに当てはまります。
例えば下記の例文。(出典はこちら。)
「ぼくの夢は、野球選手になって、ホームランをたくさん打ちます。」
これを英訳するとこうなります。
My dream is become a baseball player and hits many home runs.
本来補語になるのは名詞または形容詞ですが、この文章では補語に動詞が来ている。このためにbe動詞と一般動詞が並ぶという状態になります。
本来の日本語文章は下記の通り。
「ぼくの夢は、野球選手になって、ホームランをたくさん打つことです。」
これを英訳すると下記のように。
My dream is to become a baseball player and hit many home runs.
この程度の違いは会話の中でなら相手が意図を汲んでくれるため、意図がまるで伝わらないといったような致命的な事態にはなりにくいですが、それでも意識しておくに越したことはありません。
ここまでの僕の偉そうな話でもうおわかりかもしれません。
冒頭で「英会話力の向上のためには日本語の勉強が必要」と言いましたがそれはつまり「日本語の文法」の勉強です。文法については各言語ごとに細かい差異はありますが(例えば「カ行変格活用」は英語にはないですし)、「名詞」「動詞」「形容詞」「副詞」などの基本的な品詞とその機能や「主語」「述語」「目的語」などの文法構造はほぼ共通しています。そして文法を学ぶ時は、当然他言語で学ぶよりも母国語で学んだ方がわかりやすいはず。このため英会話力の向上のために、まずは日本語を学ぶことがオススメなわけです。
ちなみに、以前紹介した「中学レベルの英語に慣れる」という僕の英語学習法は、英語レベルを下げてシンプルな文章のみにフォーカスすることでこういった文法上の混乱を防ぐ意味でも有効です。是非過去のエントリー「オレ流英会話学習法。」や「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (森沢 洋介)」も参考になさってください。
かく言う僕も、この記事や他のブログエントリーを読んで頂ければわかる通り、文法の使い方でおかしいところは多々あると思います。恐らくこれが、僕の仕事相手が時々「?」という表情を浮かべる理由なのでしょう……。
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