Ananda Project feat. AK / Heaven Is Right Here (Abfahrt & Erich Logan Remix) [Nite Grooves] 文句なしです。評するに術がござらん。国籍不明の吉祥寺徘徊クリエイターErich Logan氏のニュープロダクションが老舗中の老舗ハウスレーベルNite Groovesからようやくリリースです。オリジナルは泣く子も黙るAnanda Projectにゲストボーカルとして”Say That You Love Me”のヒットで知られるAKをフィーチャーしたいわゆるクロスオーバー的ディープハウスですが、それをよくもまあこんなに素晴らしいアンセムに調理したものだ。なんか有名になった途端「おれ、アイツとマブダチなんだぜ!」と言い出す野次馬のようで恐縮ですが、約10年前くらいに出会って一緒にDJしてその頃から悪態つきながらも身体壊しながらも音楽に対して真摯に取り組んできた彼が、そんな友人だとか国籍だとかを小脇に置いてもなお素晴らしい音色、コード、展開の楽曲を作りそれが名門レーベルからリリースされ、さらにはBody & Soulでのライブでも披露されるに至るなんてのはただただ感服するばかり。ここまで来るともはや他人、もう二度とエロさんとエロ話はしません。是非一聴してみてください、確実に「買い」だとわかります。
Dusky / Stick By This [Anjunadeep] そんな大アンセムの次に紹介するには少々地味かもしれませんが。最近とても好きになっているレーベル”Anjunadeep”。先日の 来日が記憶に新しいプログレッシブハウス/トランス界の巨匠Above & Beyondのレーベルなのですが、彼らのプロダクションから連想させる超王道哀愁トランスとは一風変わった少々「deepな」プログレッシブハウスをリリースしています。さて、ご紹介するのはDuskyのアーティストアルバム”Stick By This”。Duskyというアーティスト自体”Dusty Kid”と空目する程度でよく知りませんし、2011年にAnjunadeepから数リリースしているだけの謎のユニットですが、このアルバムのクオリティの高いこと。内容はGui Boratto的地味哀愁ディープテックハウスにRobag Wruhmeを彷彿させるピアノやストリングスなどのキレイな生音を絡めた極上ディーププログレッシブハウスの数々。個人的には”Lost In You”のイントロとベースライン、ブレイクの生ピアノ&ボーカルにゾクゾクっときてます。
Till Von Sein feat. Catz ‘n Dogz / Neptune [Soul] もう一つ似たような雰囲気のものを。ベルリン出身のTill Von Seinはここ数年活躍しているディープテックハウスのクリエイターでTigerskinあたりと仲が良かったりする人。個人的にはSoul Clap / “Grown-N-Sexy” (Chopstick & Till Von Sein “Tilly’s 61 Rhodes Jam”)が大好きです。そんな彼がようやくデビューアルバムをリリース。これはこれでChill OutやNu Disco、Tech Houseなど様々なジャンルを縦横無尽に駆け巡りながらも地味キレイという芯の通った良いアルバムですが、特筆すべきはGet Physical等からリリースしているCatz ‘n Dogzとの共作である本作。Chill OutとかElectronicaにカテゴライズされると思いますが、地味で重たい雰囲気ながらも暗く重く垂れこめた雲の中から差し込む一筋の光のような雰囲気は僕の大好きなパターンです。クラブでプレイすることはなさそうですが、深夜一人でまったりする時には格好の一曲。
Joey Negro pres. Akabu feat. Joel Edwards / The Phuture Ain’t What It Used To Be (Spirit Catcher Remix) [Z Records] 王道クラシックディスコ野郎Joey Negroとエレクトロニック近未来ディスコ野郎Spirit Catcherの相性が悪いわけがないことぐらいわかりそうなもんですが、本作はその予想の斜め上を行っています。久々にひゃっほうなSpirit Catcherプロダクション。Spirit Catcherの好きなところは”Polysquasher”や”Sweet Deal”のようにイントロから期待感を抱かせながら2:30くらい引っ張ってからのブレイクでぐおーっとコブシ握る感じの展開。これはコブシ握る握力はそこまで強くないものの、2人の脳天気ディスコ野郎によるディコパワーが産み出す突き抜ける多幸感が特長。それにしてもJoey Negroはほんとに衰えを知らんなあ。
King Britt feat. Astrid Suryanto / Now (Sharam Remix) [Yoshitoshi Recordings] Deep Dishがすでに解散したのか、解散はせずただそれぞれがソロに力を入れているのかはよくわかりませんが、もはや過去の栄光など忘れて完全にテクノプロデューサーに転身して大成功を収めている寿司勝大好きDubfireの一方、ゴリ押しゴツゴツハウスという新キャラがいまいちシーンに受け入れられ切れていないSharam、ちょっと明暗が分かれている気がします。本作もそんなSharamらしいプロダクションではあるのですが、King BrittとAstrid Suryantoによるオリジナルのお陰か、それとも一時期大ヒットしたKate Bush vs Infusion / “Running Up That Hill”っぽい雰囲気のお陰か、なんとなくカッコいいです。上から目線で恐縮ですが、今後も頑張って欲しいです。