オレ流インドネシア語勉強法。

学習開始から約1年ちょっと、本格的に学習を開始してから約半年後の2012年7月に、無事インドネシア語検定C級に合格しました。
C級のレベルは英語で言えば英検3級くらい。インドネシア語検定のウェブサイト曰く「商品の取扱説明書、広告などを読み、日常生活について手紙を書いたり、一般的な日常会話ができる。日常生活に必要なインドネシア語を理解し、使用できる。」とのことですが、概ねそんな感じなのではないかと思います。ちなみにB級以上の試験には面接試験があり、日本で受検しなければならないため、インドネシア駐在者にとってはC級が一つの目標になっているように思います。
さて、僕にとって英語以外の外国語を学ぶのは大学で単位を取るだけのために適当に学んだスペイン語以来のこと。その意味では、物心ついてから学ぶようになった言語はこれが初めてです。そこで、学習に際しては色々工夫してみることにしました。このエントリーではその工夫についてちょっとご紹介してみたいと思います。

そもそもインドネシア語は非常に簡単な言語と言われています。そもそも成立したのは1928年頃。それ以前にも、インドネシア語の原型であるマレー語はもちろん存在しましたが、インドネシア語の共通語としてインドネシア語を採用することが確認されたのはこの頃。そこからまだ100年も経っていません。にもかかわらずインドネシアのほぼ全土に普及しているところがとてもスゴい。パプアなどインドネシアのど田舎の地方に行っても通じます。スゴい。
これだけ短期間で広範に着実に普及の理由の一つは、やはりその「簡単さ」故だと思います。
インドネシア人自身ですら「インドネシア語はとても簡単」と言います。その理由は文法のシンプルさ。活用や時制等がなく、単語をただ並べるだけで文章が成立する。感覚としては「インディアン 嘘 つかない」という感じに近いです。その一方で、他の言語圏で生まれた人間にとっては、当然ながら単語を覚えることに非常に苦労します。英語の場合、物心がついた頃には誰でも「イエス」「ノー」「ワン、ツー、スリー」くらいは知っていると思いますが、インドネシア語はそうはいかない。「イエス」も「ノー」も「ワン、ツー、スリー」も想像すらつかない、という方が多いのではないかと思います。
その文法的シンプルさと語彙の不慣れさ故、インドネシア語の学習はその9割が語彙の拡充に当てられると言っても過言ではありません。つまり語彙をどう効率的に覚えていくかがインドネシア語学習のポイントであると言えます。このインドネシア語の特徴を踏まえておくことが効率的学習の第一歩です。

そんなポイントを踏まえ、僕が取り組んだ勉強は主に下記の3点でした。

  1. 文法の勉強
  2. 単語の勉強
  3. 試験対策
  1. 文法の勉強
    文法は簡単とはいえ、やはり一定量のルールはあります。まずはこれを一通り勉強します。
    僕の場合は学校に通って学びました。参考書等を使い独学する道もあるとは思いますが、疑問点をすぐに質問して解消できるという意味では学校に通うか家庭教師をつけた方がよいように思います。ちなみに僕が通った学校のテキストに沿って学習する場合、C級合格レベルまでに終わらせておくべき章は約30章分ほどでした。このため1週間で2章分を学べば、約15週間、3ヶ月〜4ヶ月で文法の勉強が一通り完了することになります。もちろんこれ以上のペースで勉強できる方はこれよりも短期間で、このペースでは少ししんどいという方はこれよりももう少し長い期間で文法の学習を終えることになります。ただ、1週間で学ぶべき文法知識の1/15ずつ学んでいくというのは、ボリュームという点では予習復習が満足にできなくともなんとかなるギリギリの量のように思います。これ以上だとしっかり予習復習をしないと学んだ内容が右から左に抜けていってしまうし、これ以下だと平日は働いていて時間がないとはいえちょっと少ないのではないでしょうか。このボリュームの場合1週間の勉強量は3〜4時間ですが、家族サービスをしなければならない方にとっても週末のどこかで3〜4時間確保する、というのはなんとかなるのではと思います。
  2. 単語の勉強
    文法の学習と並行して単語も学習します。
    先述した通り、語彙をいかに覚えるか、いかに増やすかがインドネシア語学習の要諦です。とはいえ、「pre」などの接頭辞で意味を類推できる英語と比較して、取っ掛かりのないインドネシア語の単語学習はとても大変。しかし、少なくともその単語が名詞なのか動詞なのか接続詞なのかくらいはわからないと文章が読めない、文章構造が掴めない。そんな困難な単語学習、僕は下記のような工夫をして取り組んでみました。

    1. 数が有限な品詞から覚えていく
      名詞や動詞、形容詞は無数にあります。外来語を含めるとそれこそ無限にあるといっても過言ではありません。一方で、数に限りがある品詞もあります。中でも文章を読み解く上で鍵になる重要な品詞が疑問詞と接続詞、そして助動詞。「why」「who」「when」などの主要な疑問詞は10個もない一方、疑問詞は疑問文を定義するものとして機能するだけでなく、関係代名詞として、また時に指示語的に機能する非常に多機能で便利な品詞です。これはまずさっさと全て覚えてしまう。また「and」「but」「because」などの接続詞は文章構造を理解する上で非常に重要です。これも基礎的なものは数個しかないのでさっさと覚えてしまいます。さらに「can」「will」「must」などの基礎的な助動詞も同様です。
    2. 基礎的な名詞、動詞、形容詞を覚える
      名詞、動詞、形容詞は先述の通り無数にあるので、基礎的なものを覚えます。「基礎的なもの」というのは生活で使うものです。僕はインドネシアで生活しているというアドバンテージを活かして、できる限りインドネシア語を使う環境に身を置いてみました。運転手、メイド、タクシー運転手やレストランの店員との会話。一人旅行での様々なシーン。もう少し慣れてくると会社の電話対応やレストランの予約、社員との雑談をインドネシア語で完結することができるようチャレンジしてみました。「基礎的なもの」はこのような会話の中で使うもの。名詞で言えば「わたし」「あなた」「右」「左」「空港」など。動詞は「行く」「来る」「する」「話す」など。形容詞は「高い/安い」「若い/年寄り」「暑い/寒い」など。これに加えて数詞と、お礼や挨拶などの基礎的表現を覚えます。

    先述した疑問詞、接続詞、助動詞と、今ご説明した基礎的な名詞、動詞、形容詞があれば、かなり話せるようになります。このレベルで日本からの出張者から「ペラペラじゃん!」と驚かれます。実際はまだ初歩の初歩なのに。この辺りでインドネシア語検定E級〜D級というところです。

  3. 試験対策の勉強
    最後に、試験勉強をします。
    これはインドネシア語に限らず、TOEICや情報処理の資格など、どんな試験の勉強であっても共通することです。これをインドネシア語検定の試験勉強でも愚直にやります。

    1. まずは「過去問をひたすら解く」。最低でも模試は1回分の過去問を3回は解きます。制限時間まで測ってやる必要はないですし、一度に全ての問題を解ききる必要はありませんが、それでも最低3回は解く。僕が買った過去問集には過去2回分の模試が収録されていたので、2模試 x 3回で6回は解きました。ちなみにその問題集にはD級、E級の問題も収録されていたので、厳密には2模試 x 3回 x 3階級で18回解きました。
    2. 過去問はただ解くだけでも問題形式に慣れたり時間のペース配分を掴めたりするので有効ですが、とはいえやはり「答え合わせ」と「復習」は必須です。過去問を解き終わったら答え合わせをし、誤答については解説を読んで何が誤りか、何が正解かを学びます。
      ちなみに僕は試験勉強の際も本番の際も、問題を解きながら自分の回答を「確実に正解」「多分正解、でも不安」「まったくわからない」の3種類に分類します。「確実に正解」のものを間違えていたらそれは何かを誤解していたということ。直ちに軌道修正します。「多分正解、でも不安」は正解のものはさらりと眺めて確認、間違えたものは解説を読んで復習します。「まったくわからない」ものは正解不正解にかかわらず全てしっかり解説を読みます。この分類をするクセをつけておくと、本番の試験においても自分のスコアがどの程度かかなり正確に予測することができるようになります。インドネシア語検定試験でも、結果のスコアはほぼ予測通りでした。
    3. 最後は、インドネシア語検定試験特有の勉強です。答え合わせと復習が終わったら、「単語の書き取り」をやります。過去問の長文問題等に出てきた単語のうち知らない単語を全て書き出し、意味を調べてノートやメモに書き出します。「調べて、書く」という行為に意味があるので、そのノートやメモは捨ててしまっても構いません。こんなことしても全ての単語を覚えられるわけではありませんが、1回分の模試あたりに出てきたわからない単語の10%でも覚えられたら御の字です。また、そのわからない単語の中に疑問詞や接続詞や助動詞などの最重要単語が出てきたらそれは繰り返し書いて確実に覚えます。
    4. この試験勉強は大変ですが、本当にスコアへの影響が大きいと思うのでオススメです。

    こんな勉強を以下のペース、量で行いました。

    • 学校は2011年4月から出張の度に時間を見つけて通っていましたが、本格的に通い始めたのは2012年1月にインドネシアに引っ越した後の2012年2月から。プライベートレッスンを週1日、1日1.5コマ(1日1コマと1日2コマを1週おきに)受講して、計29レッスン、43.5時間。
    • 学校以外の勉強は、試験前以外はほとんどなし。学校に行く途中の道中で教科書の予習、復習をする程度。
    • 試験前は、学校に加えて週末試験勉強。先述した試験勉強を。週5〜6時間 x 4週程度か。
    • 他に、自分でで単語帳を作り、iPhoneアプリ(「iAnki」)を使って移動中や食事中に眺める。

    ちなみに、学校に行く前に自分で参考書(「インドネシア語レッスン初級(1)」)を買って勉強しましたが、結果として全然頭に入りませんでした。やはり人に教えてもらわないと頭に入らないのか、はたまた日常的に使う機会がなかったからか。ただ数字等を覚えておくとその後の勉強(と生活)が少しは楽になります。[amazonjs asin=”488319339X” locale=”JP” title=”インドネシア語レッスン初級〈1〉 (マルチリンガルライブラリー)”]


Comments

“オレ流インドネシア語勉強法。” への1件のコメント

  1. インドネシア語に興味を持ちだしたものですが、非常に参考になりました。
    今年は検定を受けてみようと思います。
    今後も寄らせていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です