新聞というメディア。

新聞というメディア。

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岩瀬大輔さんのブログが発端でしょうか、少し前に新聞の是非に関する議論がウェブ上で散見されました。新聞については僕も少し思うところがあるので、便乗して書いてみます。

正直、現在僕は新聞を読んでいません。

僕の記憶が正しければ我が家は新聞好きの一家で、僕以外の家族は全員新聞に目を通していました。僕もその中で新聞を読むことを何度か勧められたり強要されたりしましたが、社会人になるまで一向に読むことはありませんでした。
新聞を読むようになったのは確か入社2、3年頃、この本をきっかけにして色々なことを学ぼうと思ってからだったと記憶しています。日経新聞を購読し、毎朝通勤電車の中で読むようになりました。
時々出くわす一部の記事を除いて、記事の内容を面白いと感じたことは一度もありませんでしたが、スマホが全盛ではなかった当時新聞は通勤電車の中のいい暇つぶしでした。新聞や本を読み始めてしばらく経ってから、次第に闇雲なインプットを志向する時期から徐々にアウトプットを意識し始めるようになるにつれて、新聞や本を読んで何を学んだか、考えるようになりました。

「今日、新聞を読んでどんな学びがあったか?」

何度かこの問いを自分に投げかけてみましたが、殆どの場合その答えは「なにもない」でした。
記憶に残っているのは一部の政治ネタ。興味はありませんが、大体一面を飾っているのはこういった記事です。誰が失言したとか、ナニナニ党とナニナニ党がくっつくようなくっつかないような話をしたとか。
よく考えると、僕は依然として、新聞の中身に興味を持っていませんでした。政治の話は大半が上述したような政治ゴシップ、経済の話もその多くは自分の仕事に直接的な関係はありません。月に一度くらい見かける経済面の興味深い企業動向や「私の履歴書」など、一部の面白いコンテンツもありましたが、そのために月5,000円近く、年60,000円近く払うのは明らかに無駄だと思いました。

それに気付いた時、たちどころに新聞の購読を止めました。それ以来、新聞はほとんど読んでいません。
ちなみに気が向いた時に、周囲の人々(会社の同僚など主にビジネスマン、上の世代が多い)に話を聞いてみても、「新聞から毎日学びを得ている」という人には未だ出会ったことがありません。

なぜ僕が新聞を読まなくなったのか、それを一言で言えば、「費用対効果が低い」ということです。

もちろん新聞というメディアには依然長所や便益もあると思います。このようなプッシュ型メディアは半ば強制的にインプットを促すので情報収集の漏れを防ぐことができますし、また紙という媒体は一覧性が高く、速読しやすい。
ただ、残念ながら昨今の「マスメディア」は文字通りターゲットが「マス」であるが故に、様々なターゲットに訴求するコンテンツを取り揃えるため、もしくは最大公約数のターゲットに刺さるコンテンツを拡充するため、結果的にほとんどのコンテンツが個々のユーザには刺さらなくなっているように思います。
おそらく、この記事を書いている現在であればSTAP細胞を巡る一連のスキャンダルについて連日報道されていると思いますが、現時点で既にただのワイドショーネタにしか過ぎず、学ぶべき点は何一つありません。こんなニュースはYahoo!等で無料で読めばいい。

一方で、僕が欠かさず読んでいた新聞もありました。
インドネシアに駐在していた時期に読んでいた「じゃかるた新聞」と時事通信や共同通信のインドネシア版です。当時の僕にとって、地域の情報や政治経済に関するニュースは、それらがインドネシアに関連する限り全てが興味分野でした。このため、これらの地域メディアに掲載される記事のほとんどは深い浅いの程度はあれどほぼ全てが自分の興味の範囲に入っていました。じゃかるた新聞の購読料は当時月額3,000円ほどだったと思いますが、ほぼ無料のネットメディアに比べて依然高額なこの購読料を払い続けていたのは、やはり費用対効果が自分の中で折り合ったからだと思います。

では今後新聞はどうなって行くべきか。

少なくとも、顧客群を「マス」として一括りに扱うのは止めた方がよさそうです。特定の顧客セグメントへのフォーカスは紙媒体では固定費の都合上困難ですが、ウェブ媒体ならば可能なはず。
また商品構成を1つのパッケージから個々の記事に分解し、それを顧客セグメントごとに再構成することが必要だと思います。
こうした上で、各顧客セグメントの興味分野ごとに記事をパッケージングする。その際の軸は、例えば下記の3点。

  1. 業界
  2. 地域
  3. インパクト

業界はある程度細かい粒度で設定できるようにします。「製造業」と一口に言っても自動車産業と製紙業では興味分野がかなり異なると思われるからです。地域は国単位を基本としつつ、「APAC地域」などある程度の国家のまとまりも設定可能に。インパクトは、そのニュースが業界にもたらすインパクトの大きさです。業界トップ企業ないし業界全体を左右するような大きなニュースのみピックアップするか、もう少し小さな動きもピックアップするか。
購読者はこの3軸で自分のバスケットに放り込むニュースを選択し、新聞社はそのバスケットに対してニュースの本数には依らずに定額課金する。なお、このバスケットから漏れたニュースも顧客に対してはレコメンドされますが、その記事を読む際には記事ごとに課金が発生します。
また、こうしたニュース系ウェブメディアには過去記事アーカイブは必須です。ただ自分のバスケット内の記事アーカイブしか選択できないというサービスは使い勝手がよくありません。基本的にニュースは即時性が価値なので、例えば「1ヶ月よりも前に配信された記事は無料でアーカイブの検索、閲覧が可能」「1ヶ月以内に配信された記事はアーカイブの検索のみ可能、閲覧はバスケット内記事ならば無料、バスケット外記事ならば記事ごとに課金」というやり方であれば購読者の利便性と新聞社の収益を両立できるのではないでしょうか。

上記はただのアイデアなのでこのビジネスモデルに瑕疵は色々見つかりそうですが、いずれにせよ「マス」という言葉時代が風化しつつある昨今、新聞というメディアももう少し変化する必要があると言えそうです。

4 thoughts on “新聞というメディア。

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