日本語の曖昧さ。

日本語の曖昧さ。

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最近海外で仕事をしていると、外国の方でも日本語が堪能な方に時々お会いします。特にベトナムでは日本語を学んでいる人口が他国よりも相対的に多い印象で、「日本に10年以上住んでほぼネイティブのように話せる」レベルまで行かずともそこそこにビジネスコミュニケーションができる人材がいるように思います。

ただ、昨今感じるのは、少なくともビジネスシーンではそういった人々とのコミュニケーションでも英語を使うべき、ということです。

日本語の場合、彼らにとっては外国語ですが、我々にとっては母国語です。一方、英語の場合の両者にとって外国語になります。このため、日本語コミュニケーションの場合は「外国語 x 母国語」、英語コミュニケーションの場合は「外国語 x 外国語」となり、前者の方が効率的にコミュニケーションできそうに見えます。
しかし、実際には前者の方が誤解が多い。

その理由は、日本語と英語の下記のような違いにありそうです。

  1. 助詞の扱いが難しい
    日本語における助詞、いわゆる「てにをは」は外国の方々にとって非常に難しく、間違えやすい文法のようです。しかし、日本語コミュニケーションにおいてはこのたった一文字を間違えただけで下記の実際にあった例のように意味が大きく変わってしまいます。

    「政府は、今にはXXと発表します。」

    これではこれが未来の話なのか(「政府は、今にXXと発表します。」)、現在完了の話なのか(「政府は、今ではXXと発表しています。」)が判断できません。このため、どちらの意図なのか再度確認する手間が生じるか、こちらで勝手に解釈することで誤解するリスクが生じるか、どちらかを誘発することになります。
    一方英語では、「名詞でも動詞でも接続詞でもない」「文字数/音節数が少ない」「間違えやすい」という意味で前置詞が似たような位置付けに当たるかと思いますが、前置詞を間違えても致命的にはならないように思います。”look at”と”look for”を間違えると意味は大きく変わりますが、あまりに大きく変わるため多くの場合文脈で判断できるためです。また”belong to”を”belong in”などと間違えても、意味はわかります。

  2. ハイコンテクストな言語である
    こちらのエントリーでも述べた通り、日本語はハイコンテクストな言語、つまり行間や文脈に意味を含ませ、省略を多用する言語であるため、日本人同士であっても省略部分の解釈によって誤解が生じるシチュエーションが散見されます。
    一方、英語はローコンテクストな言語であり主語や目的語が省略されることはあまりないため、誤解を誘発する可能性は低そうです。
  3. 単語が複数の意味を持つ
    これは英語も同様かもしれませんが、ある単語が複数の意味を持つため、下記の例のようにその解釈次第で誤解が生じることがあります。

    「XXさんが提案した先がわかったら教えてください。」

    ここで言う「先」が、「提案先」を意味しているのか、「提案した後の反応」を意味しているのか、よくわかりません。なお、上記は実は日本人の発言であるため、恐らく前者の意味であることは概ね確実と言えますが、これがあまり日本語が流暢でない外国の方の発言である場合、その解釈に確信が持てなくなります。
    上記の例の場合、英語では”who”か”what”の関係名詞によってどちらの意味か明確にわかります。

上述した理由のため、本当にネイティブのように日本語を操る方以外との会話はなるべく英語を使うようにします。対面ではすぐ確認ができるため誤解のリスクは減りますが、メール等の文章でのコミュニケーションの場合はなおさらです。
双方が誤解を避けるよう慎重に言葉を操れば日本語のコミュニケーションでも誤解は減らせるかもしれませんが、その場合は日本人にとっても外国の方にとっても、英語を運用するよりも多くの配慮を必要とするように思います。特に日本語を話せる外国の方は十中八九日本語よりも英語を得意としているため、英語でのコミュニケーションの方が相対的にラクに誤解を減らすことができます。

というわけで日本語が英語にとって代わってグローバルビジネスシーンにおける標準語になるのは中々難しそうだなあと思う次第です。

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