海外出張や旅行の際、常に悩まされるのは荷物の量です。
荷物の量が多いと容量の大きいスーツケースが必要になりますし、大きいスーツケースは旅行中の機動力を下げ、機内持ち込みができないためにバゲージクレームで延々待たされる原因になったりします。荷物が多くても梱包時の工夫、コツによって小さいスーツケースでも間に合ったりすることもありますが(例えば、僕はランニング用のウェアをパッキングする際はランニングシューズの中に突っ込んでいます)、根本的な解決はやはり荷物の量それ自体を減らすことです。
旅行に持っていく荷物を減らすために一番効果的なのは、「セルフ洗濯」という作業を導入することです。
こちらのサイトには旅行日数と旅行に持っていくパンツの枚数から旅行期間中に必要な洗濯回数を瞬時に確認できる早見表が掲載されていますが、これによると例えば15日間の旅程では、洗濯をしなければ15枚のパンツが必要になるところ、洗濯を2回(5日に一度?)するのであれば持っていくパンツ量は6枚にまで減らせる、ということです。
なお、旅慣れた方々の中には「下着は全て消耗品で、現地調達するのでスーツケースに詰めていく必要も洗濯する必要もない」という方もいらっしゃいますが、これはお金があって旅先にナイスなパンツ屋があってパンツ以外は服を着ないというケースにのみ当てはまると思うので、個人的にはオススメできません。また「洗濯代なんて会社が全部負担してくれるよ」という方でも、さすがにプライベートな旅行の時の洗濯代まで負担してくれる会社はそう多くないと思うので、やはり洗濯は考慮に入れておいた方がいいと思います。バリ島のように依然人件費が安い地域のランドリー費用は依然低価格ですが、東南アジアであったとしてもそこそこの都市のそこそこのグレードのホテルではランドリー費用はシャツ1枚800円くらいはかかってしまいます。
僕の場合は基本的に「3日に一度」という頻度で洗濯をするため、3日以上の旅程であれば1週間の旅行でも1ヶ月の出張でも持っていく荷物の量はあまり変わりません。「3日に一度」にしているのは、1週間に二度程度の洗濯であれば許容できると想定しているためです。厳密に言えば、3日のうちに止むを得ず洗濯できないような場合も考慮し予備としてパンツをもう1枚持っていくため、「3〜4日に一度」ですね。
ただこのセルフ洗濯を上手にこなすのは結構難しい。
僕もかれこれ数年間この難題に挑んでいますが、依然として最善の所作、道具を見つけるには至っていません。ということで、本エントリーでは僕の出張旅行時の洗濯に伴う四苦八苦の軌跡を少し紹介したいと思います。
洗濯のプロセスは一般的に下記の3ステップに分けられます。
- 洗い&すすぎ
- 脱水
- 乾燥
このうち、スキルの有無によって結果が最も左右されるのが脱水です。
洗い&すすぎは特に知識やスキルがなくても洗剤と水があればなんとかなります。やり方次第でラクとか大変とかはありますが、そんなにひどいことにはなりません。乾燥もそうです。基本的に吊るしておくだけ。「紐とS字フックは必携」など細かいスキルは色々ありますが、結果が大きく変わることはありません。
しかし、脱水はそうもいきません。
多くの人は洗い&すすぎの後手で絞るだけで脱水を完了させようとするでしょう。しかしこれでは全く足りません。この状態だと、下手すると乾燥に2、3日費やします。そもそも3日分の服でローテーションしようという計画なのに、その再生産のキモである洗濯に3日必要であるならばその計画は破綻していると言えます。
このため、手で絞る以上の脱水が必要になります。
この脱水スキルは、既に多くの方がご存知だと思いますが、ホテルのバスタオルを利用する方法です。バスタオルを広げてその上に洗って絞った洗濯物を並べ、巻き寿司のように巻いていく。巻き終わったらちょっと踏んでみたりして、衣服の水分をバスタオルに吸ってもらう。
こうすると、乾燥気味の部屋なら丸一日程度で乾きます。スポーツウェアなどであれば半日です。このスキルを知っているか知っていないかで、セルフ洗濯の仕上がりは大きく変わってきます。
ちなみに、バスタオルがふんだん配備してあるホテルに宿泊する場合は問題ありませんが、バスタオルの数が十分でない場合も考えられます。そんな時もフロントに電話すればタオル交換ぐらいすぐしてくれるのだとは思いますが、この対策として僕はこのようなタオルを脱水に使ってみています。このタオル、非常に薄手で普通のタオルに比べると脱水力がいささか劣りますが、コンパクトで持ち運びが非常にラクですし、当然洗濯物脱水以外の用途でも使えるので便利です。洗濯物の量が多い時でも一度脱水した後絞ればまた脱水に使えます。欲を言えば、このタオルを二枚重ねで使うことができたら最強ですね。
さて、上記の脱水スキルは既にトラベラーの間では常識と過言ではないスキルですが、実は最近脱水よりも奥深いと思っているのが洗い&すすぎです。
いや、正直洗い&すすぎなんて洗面台に水張って洗剤入れてその中でジャバジャバやればいいんですよ。そりゃそうなんですけど、時々ホテル据え付けの洗面台が小さすぎたりデカ過ぎたり、栓が壊れてたりそもそもなかったりして水を張れなかったり、なんだかんだスマートな方法論が未だ確立できていない。この部分をどう外部環境に影響されず、常に同じ動作で円滑に効率的にこなすか、これが最近の課題です。
というわけで、以下にその試行錯誤の軌跡をご紹介します。
- 洗面台でジャブジャブ
最もオーソドックスなパターンです。何も考えずにできます。ホテルの洗面台に水を張って洗剤を入れてジャブジャブやるだけです。
ただこの方法は、上述した通り洗面台の構造と洗濯物の量がうまく一致しなかった場合に結構面倒なことになります。洗面台の構造に問題がある場合はバスタブを使うという代替案もありますが、バスタブだとデカ過ぎて水の量に対して洗剤が追いつきませんし、ホテルによってはそもそも部屋にバスタブがついていない、なんてこともある。
というわけで、手法としてはオーソドックスではあるものの、宿泊先の設備という外部環境に大きく影響されてしまうが故に安定しないのがこの方法です。 - 袋でジャブジャブ
上述した「洗面台ジャブジャブ」の不安定さから脱却するために手を出したのがこの「袋でジャブジャブ」方式です。具体的にはこの「携帯用洗濯袋」を使います。
これはスーパーマーケットの買い物袋のようなビニール袋を二重構造にしたもので、外側の袋は普通の袋、内側の袋は穴あき袋になっていて脱水に便利な作りになっています。袋の容量は大きく、Tシャツ3枚とパンツ3枚と靴下3足と少々くらいは余裕で収容可能。しかも袋に洗濯物、洗剤、水を入れ、袋の口を結んでからモミモミすれば手を濡らさずに洗濯することができます。
ということでシンプルなソリューションながらなかなかよさそうに思えるのですが、この方法にもいくつかデメリットがあります。- 高い
ただのスーパーの買い物袋のくせに2セットで700円くらいします。一応洗濯洗剤(一包)や洗剤計量用プラスチックスプーンや洗濯物干す用の紐なども同梱されているが、それにしても高い。高過ぎる。 - 脆い
この袋がもう少ししっかりした素材でできていてもう少し耐久性があればまだ上記の値段でも納得できたと思いますが、そこはただのスーパーの袋。2、3回使うとボロボロになってきて、再度スーツケースにしまって自宅に持ち帰ろうという気が起きません。必然的に旅先で捨ててくることになります。 - 脱水用袋の意味がわからない
穴が空いている袋はその構造上一見して脱水に便利そうに見えます。でも具体的にどうやって脱水するのか?という疑問に脱水作業を開始してから気づきます。思いつくのは袋の上からギューっと体重をかけて押して洗濯物の水分を絞り出すことですが、そんな脱水方法には全然効果はありません。振り回して遠心力で?なんてことも考えますが、宿泊している部屋の中を水浸しにするつもりもありません。結局洗濯物を一つ一つ手で絞るしかない。ならこの脱水袋いらなくない?
というわけでこんなもんに金払うくらいならスーパーでもらった買い物袋をいくつか持参すればお金もかからずいいじゃない、という話です。
他にももう少し作りが丈夫な袋もありますが、そちらはあまり容量が大きくなく一度にTシャツ1〜2枚程度しか洗えないのであまり実用的ではありません。
- 高い
- ポータブル洗面器でジャブジャブ
袋の次に導入したのがこの携帯用洗面器です。洗濯の方法論としては先述した洗面台ジャブジャブ方式とほぼ同じですが、宿泊先の洗面台の構造に左右されてしまう当該方式とは異なり、マイ洗面器を持ち込んでしまおうというのがこのアイデア。子供用プールの小さい版のようなアイテムで、空気を入れると洗面器、というか小さい子供用プールになる。直径30cm程度なので見た目は結構な小ささですが、不思議な深さがあって3日分の下着くらいだったらなんとか一度に洗濯可能。しかも空気を抜けばペタンコになるので持ち運びにも便利。
これ、数回使ってみましたが、案外いいです。
サイズが絶妙で取り回しがとてもラク、とはいえ容量が小さすぎるわけでもなし。耐久性もありそう。当面はこれを使おうと思います。
ちなみに、番外編として洗剤について考察します。
これは旅行用部屋干しトップ一択です。液体ではなく粉末なので海外旅行の際は余計な配慮が不要ですし、何より安い。色々なところに売っているのもメリットの一つです。基本的には洗濯機用に作られているため一回のセルフ洗濯で一袋使い切ることができずに余ってしまうのですが、それは書類用の小さなクリップでも使って止めておけばいい話。
なお、本当に旅先でのセルフ洗濯専用の洗剤(こういうドイツ製のものとか)も売っているようですが、手荒れがひどい方以外は特段洗浄力が優位というわけでもなく、液体なので機内持ち込みには少し面倒で、且つ経済的でないためわざわざ選択する必要はないと思います。
ここでご紹介したのは僕の試行錯誤の足跡で、僕もまだ理想郷に辿り着いたわけではありません。今後も自分のセルフ洗濯スキルの研鑽に励んでいきたいと思います。
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