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- Above & Beyond feat. Zoe Johnston / Alchemy (Extended Album Mix) [Anjunabeats]
ジャカルタのナイトクラブは比較的エントランスフィーが安いです。James ZabielaもNick FanciulliもEDXも大体1,000-1,500円くらい。しかしAbove & Beyondは違いました。3,500円くらいで2倍以上、にもかかわらずフロアはパンパン。びっくりしました。しかししばらくするとふと気づく。「あんまり踊ってなくね?」好きでもないアーティストに高いエントランスフィーを払うというのはどういうことか。その疑問が氷解するのはもう少ししてから。A&Bの曲がかかる度に皆大合唱!僕より知ってる!つまりA&BにしろArminにしろDavid Guettaにしろ、これらのアーティストはジャカルタのパーティーピープルにとっては「DJ」ではなく「ポップアクト」であって。彼らの曲はダンスミュージックというダンスに特化した機能的なものではなく聴くものであり歌うものであって。そんなジャカルタのクラブシーンを目の当たりにしつつ、クラブで聴いたこのトラックはやはり最高でした。僕は一人で踊り狂いましたが。
- Luciano / Rise Of Angel (Andrea Oliva Remix) [Cadenza]
最近はMartin Patinoとかその辺も好きでして。要するにちょっと生音っぽいパーカッシブなリズムを使いつつも展開は非常に地味なテックハウス。恐らくAudioflyやM.A.N.D.Y.、DJ T.あたりはこの文脈だろうと思われるのですが。ただこれらの中でも「ああ、たまんねえな」と思うのはそこに美しいフレーズが入ってくる場合。DC Salas / “Sun (Martin Patino “Sombras” Remix)”なんてのはその典型。この曲は中盤から入ってくるストリングスがたまらんわけです。そしてこの曲。LucianoはRicardo Villalobosと仲良しなためにその辺のクリック/ミニマル系の文脈で語られることが多いのですが、この曲はそもそもオリジナルからして多幸感溢れる音が16分にも渡って続く怪作良作Electronica。ご紹介するAndrea Olivia Remixはそこにちょっと「常識」というスパイスを絡めて調理した食べやすい1曲。
- Joey Negro pres. The Sunburst Band feat. Darien / Where The Lights Meet The Music (Atjazz Syncopated Dub) [Z Records]
今更感は少々あるのですが、最近Atjazzを再発見していまして。名前の通りJazzな感じのトラックを多く作るアーティストですが、テックハウス的な解釈からただの王道ジャズ的解釈まで幅広く「Jazzな」音楽を取り扱っています。Atjazz & Jullian Gomes / “Overshadowed (Atjazz Galaxy Aart Dub)”とかMusaria feat. Saturna / “Moment (Atjazz Instrumental Mix)”なんかは美しすぎてたまらないですね。そんなAtjazzが黒ディスコの帝王Joey Negroをリミックスしてみました。もう少し黒々しい感じになるのかな?と思いきやちょっとテクノな雰囲気も混ざった好リミックスに仕上がっておりました。安定。
- Mellow Baku and The Friday People / Make It Brighter [Atjazz Records]
加齢とともに自分の音楽的趣向が変化してくるのは最近如実に痛感するところです。昔から美しい音色、メロディー、展開が好きなのは変わりませんが、やはり大人しい感じの、そんなに「アゲアゲ」ではない感じの曲を聴く量が増えてきているように思います。これはそんな僕の趣向にぴったりな曲。Atjazzのレーベルからのリリースですし、この曲自体完全にダンスミュージックと言うよりはもはやジャズと言っても過言ではないのですが、なぜかBeatportには”Hard Dance”として認識されています。YOJIさんあたりがこれをプレイするとでも言うのでしょうか。いずれにしろとても素敵な感じのポジティブなジャズ。カップリングのA New Funky Generation Remixは適切なハウスリミックスでクラブではこちらを使うことになろうかと思います。
- Flight Facilities / Clair de Lune [FF]
Above & BeyondやArminなどと同様にFlight Facilitiesもどちらかというとポップアクトとして認識されているアーティストのようです。彼らの場合音楽のフォーマット自体も「ナイトクラブ仕様」とは必ずしも言えないので理解はできるのですが。Flight Facilitiesと言えばやはりあの名曲”Crave You”。この気怠いNu Discoはいつ聴いても気怠〜い気分にさせてくれて大好きです。(聴くのはもっぱらAn-2 Remix)さて、本作はどちらかというとNu Discotと言うよりDeep House、Electronicaあたりの文脈で捉えられるトラックと思いますが、その気怠さ、美しさは相変わらず。その美しさについズブズブと沈んでいってしまいたくなるようなトラックです。
- D/R/U/G/S / The Source of Light (Max Cooper remix) [Different]
行動力を削がれるほどではないにせよ、全てを包摂するかのような美しさを持つのはやはりMax Cooperのトラック。僕の頭の中には”Sasha”というジャンルがあるのですが、これは一口に言っても色んなタイプの曲がある”Progressive House”の中で、シンセやストリングスが幾重にも折り重なり掴みどころのない美しさを醸し出す一方で、煽るわけではないがなぜか身体が動くリズムトラックを持つ、所謂「いかにもSashaがプレイしそうな曲」の総称であって、最近ではその代表格がMax Cooperになりつつあります。比較的陰鬱な雰囲気の作風が多いMax Cooperですが、本作は非常にポジティブな雰囲気であり、また「半分ぐらいまではビートレスだが中盤でいきなりキックが入ってくる」という「使いドコロは難しいが当たる時には当たる」ドラマチックな展開も売りです。素晴らしい。
- Dominik Eulberg / Mikroorgasmen Im Morgentau [Traum]
先ほど「ジャンルとしての”Sasha”」をご説明しましたが、このレーベル”Traum”はそんな「”Sasha”な」トラックを多く輩出する好レーベルでして。Max CooperやらMinilogueやらが主にリリースしているレーベルということで、まあそういうことです。そんなMax CooperやMinilogueに並ぶ看板アーティストの一人であるDominik Eulberg、この人もテクノ、と言ってもハードテクノ的なバキバキなものではなく2/2拍子で展開するトラックとしてのテクノを作るクリエイターですが、その楽曲の多くはまあ美しいです。これもその一つ。リラックス用ダンスミュージック。
- Ian Pooley / CompuRhythm [Innervisions]
Ian PooleyがAmeやDixonのレーベルInnervisionsからトラックをリリース。Ian PooleyとInnervisionsというのもほんの少しだけ首を傾げそうになる組み合わせですが、このトラックならばなるほどという感じ。つい「Vincenzoか!」とツッコミを入れたくなるようなElectronicaよりの良質Deep Houseです。オリジナルもいいですが、Dixonによる文字通り「ほんのちょっと味付けして四つ打ちにしましたよ」と言った感じの”Dixon 4/4 Treatment”もよいです。気分に合わせてお好きな方をどうぞ。
- Fred V & Grafix / Major Happy [Hospital Records]
そんな気怠いとかアガらないとかっていう曲ばかり紹介する中でたまにはアゲアゲなものを。まずはタイトルをご覧ください。偏差値の低さを気にしてしまうほどの屈託のないポジティブさ。最近は巷でEDMが流行っていますが、これはDrum ‘n Bass版EDMと言ったところ。そもそもEDMはトラックの上に乗っているシンセリフの音色等で定義されるジャンルだと思うので、リズムトラックで定義されたジャンルであるDrum ‘n Bassとの融合も確かに可能なわけです。とは言えあまりに下品なトラックに成り下がった一部のEDMとは一線を隔したこの小気味のよいテンションの高さ。このくらいなら歳をとってどんどん陰鬱になる僕の耳も喜んでくれるようです。
- Microfunk Crew / Fluctuation [Hospital Records]
なんか最後の方に持ってきちゃいましたけどね、Above & BeyondもいいしLucianoもいいんですけどね、今月はこれなんですよこれ。最近はDrum ‘n Bassと相性のいいBPM80から90あたりのElectronicaが好きなのですが、これなんてまさにそれ。というかそんなジャンルとかなんとか関係なく好き。気怠い。美しい。ああもうたまらない。
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