最近はディスクレビューもサボりがちになってきているのが少々お恥ずかしいところですが、相変わらず音楽は次から次へと仕入れて聴いています。海外赴任していたこともあって楽曲の調達は100%デジタルになりました。主な調達先は、Beatport、iTunes Store、Soundcloud辺りが主力だったように思います。世界中のどこにいても好きな音楽にアクセスできるというのはとても幸せなことです。
というわけで、2013年に出会えたたくさんの素晴らしいアルバム、楽曲の中から個人的に特に「素晴らしい!」と思ったものをご紹介します!
-
Best Album 2013
-
Hot Since 82 / “Little Black Book” [Moda Black]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/110223482″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
ここ2、3年で急速にブレイクしたHot Since 82。そのプロダクションは非常にオーソドックスなリズムトラックを中心としたハウスミュージックでありながら、ダークでディープでダビーでドラッギーな感じが素晴らしくカッコよくって、どんな時間帯のどんなセットにもぴったりしっくり収まりそうな感じがとてもいいです。本作はそんな彼のファーストアルバム。実は自身名義のプロダクションのみならず他アーティストのリミックスも含まれているけれども、それらも広い意味では彼のプロダクション。ついノンストップミックスかと思ってしまいがちな不断のグルーブ是非ご堪能あれ。 -
Sasha / “Involv3r” [Ministry of Sound Recordings]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/87887218″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
プログレッシブハウスの王Sashaによるニューアルバム、”Involver”シリーズの3作目。この”Involver”シリーズのコンセプトは「このアルバムのために作られたSashaのリミックスだけでコンパイルされたMix CD」というありそうでなかったもの。さすがに全曲がSashaのリミックスで、しかもこのアルバムのために作られたものであるが故に、そのアルバム全体の統一感とミックスのスムーズさは語るまでもなく、Sashaの作風が好きな人は確実に、そうでない人もその滑らかで流麗な舌触りに没頭できる内容になっています。残念ながら未だ第1作目がベストですが、3作目の本作も以前素晴らしいです。 -
Minilogue / “Blomma” [Cocoon Recordings]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/playlists/4513240″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”450″ iframe=”true” /]
ここから上位はもはや甲乙つけようのない名盤揃い。まずはMinilogueから。もともとはSon Kiteというサイケデリックテクノユニットとして活躍していたSebastian MullaertとMarcus Henrikssonが作った別名義がMinilogue。以前はどちらかというとプログレッシブハウスよりだったけれども、大昔からそのミニマル&クリックなリズムトラックと美しく折り重なるシンセがとても好きなアーティストでした。本作はそんなMinilogueのニューアルバム。昨今彼らのプロダクションは1曲が15分とか20分とか極端に長尺のものが増えていますが、本作はなんとたった8曲で150分というバケモノアルバム。しかしノンストップで紡がれたそのミニマル且つ流麗なサウンドは、BGMとして強力な効果を発揮。勉強や読書のお供として、今年大活躍してくれました。本当にカッコいいアルバムです。 -
DJ Koze / “Amygdala” Pampa Records
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/playlists/4210067″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”450″ iframe=”true” /]
稀有な才能を持つドイツ人プロデューサー。彼が主宰するPampa Recordsは僕のお気に入りなのは、Matthew HerbertやRobag Wruhmeなどレーベルを代表するアーティストたちが作る乾燥してパサパサしたトラックにウェットでちょっと気が狂ったベースライン、そしてその上で踊る美しい音色のシンセ、というような楽曲がとっても素晴らしいから。そんなレーベルのオーナーDJ Kozeがリリースしたニューアルバムがこちら。この期待を上回る期待通り感!これこれ、こういうのよ!こういうのを待ってた!!ちょっと間の抜けた感じながら穏やかで美しい1曲目から始まり、全編ほんわか癒される美麗サウンド満載。癒やされたい人に是非。 -
Andrew Bayer / “If It Were You, We’d Never Leave” [Anjunabeats]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/playlists/4828455″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”450″ iframe=”true” /]
このアルバムを何度聞いたことか。トランス界のトップアーティストAbove & Beyondが主宰するレーベル”Anjunabeats”の看板アーティストの1人Andrew Bayerのファーストアルバム。レーベルオーナーがトランス〜プログレッシブハウスのアーティストのためレーベルからリリースされる楽曲も9割方その系統なのですが、Andrew Bayerだけがその中で異彩を放っています。本作も収録曲のほとんどはBPM120以下、半分ほどはBPM80〜100のユルいエレクトロニカです。しかし、「神々しい」とまで言えるほどのピアノとストリングスの美しさよ。先に紹介したDJ Kozeのアルバムが「癒やし」だとするならば、これは「陶酔」とか「恍惚」という表現で表されるべきでしょう。本当に素晴らしい、最高のアルバム。
-
-
Best Track 2013
-
Danny Byrd feat. Tanya Lacey / “Golden Ticket” [Hospital Records]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/121750894″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
ベストトラックも全て甲乙つけ難いのですが、一応1位から10位までランキングしました。10位はドラムンベースから、Danny Byrdが受賞。Danny Byrdは本当にコンスタントに良質なドラムンベースをリリースし続ける素晴らしいアーティスト。その楽曲は全て美しく、アップリフティングで、つい拳に力が入っちゃって、いつの間にか笑顔になる、そんな元気になる楽曲ばかり。美しいストリングスから始まる本作も、Tanya Laceyの伸びやかなボーカルと相まってその美しさと言ったら格別です。 -
Rebelski / “The Rift Valley (Lee Van Dowski Binary Re-Up Mix)” [Cadenza]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/100602293″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
この2013年のベストトラックを選んでいると自分の嗜好を否応にも目の当たりにせざるをえないのですが、やっぱり美しい曲が好きなようです。美しくてノリノリになれたり、美しいけど暗黒な感じだったり、美しくて壮大だったり。この曲は夏頃リリースされたLucianoのRemixで一世を風靡したトラックで、「美しくて癒やし」というタイプのトラックです。Lucianoの方がリズムトラックが生音っぽいパーカッションなのでよりマイルドな印象ですが、僕が好きだったのはこちらのキックがはっきりしたバージョン。まるで天使が降りて来たかのような曲です。 -
Wankelmut & Emma Louise / “My Head Is A Jungle (Gui Boratto Remix)” [Poesie Musik]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/100193275″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
今年も精力的に活動したブラジル人クリエイターGui Boratto。実は今年ニューアルバム”The K2 Chapter”をリリースしていたのですが、アルバム収録曲はなぜかあまりパッとせず……。その一方で別途リリースされた”Too Late”は素晴らしい出来だったりして、ちょっとなんだかよくわかりません。そんなGui Borattoプロダクションの中で今年出色の出来だったのは本作。なんとなくMichael Jackson / Billie Jeanを彷彿させるトラックの上にこれまたちょっと古い感じのボーカル、メインリフが乗るが、その哀愁漂うメロディラインときたら!!哀愁漂いつつもグルーブ溢れるナイスなトラックです。 -
Mirror People / “Kaleidoscope (Psychemagik Remix)” [Discotexas]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/96382482″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
最近出会ってなかったタイプの曲。マンスリーのディスクレビューでもご紹介しましたが、このシンセの音色やちょっと不思議なメロディラインが僕のめちゃくちゃ大好きなトラックFederleicht / “On The Streets (Kollektiv Turmstrasse Let Freedom Ring Mix)”にそっくりな雰囲気でもうめちゃくちゃ好きです。はっきりしたキックとハットがDJとしてもとても使いやすいし、曲調も時間帯を選ばない感じがとてもいい感じです。 -
Jimpster feat. Jonatan Backelie / “Brought To Bare (Deetron Paradise Version)” [Freerange Records]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/115487666″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
ディープテック界隈の第一人者Jimpsterも僕の大好きなアーティストの一人。彼も今年ニューアルバム”Porchlight & Rocking Chairs”をリリースしたのですが、Gui Boratto同様個人的ベストアルバム入りには至らず。前作”Amour”のアルバムとしての出来が良すぎたせいで期待しすぎたのかもしれません。そうはいってもこのアルバムにも良質な楽曲はちゃんと収録されていて、その内の1曲がこの”Brought To Bare”。オリジナルも大変に素晴らしい楽曲なのですが、それ以上に素晴らしいのがDeetronによるこのリミックス。オリジナルの浮遊感漂う雰囲気を上手にキープしながら得意の高揚感溢れるシンセで華麗に味付けしておきました。 -
Andrew Bayer / “An Ending” [unreleased]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/40065878″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
個人的ベストアルバムで1位を獲得したAndrew Bayerも、今年は素晴らしい曲をたくさんリリースしてくれました。そんなAndrew Bayerのプロダクションの中でも特に好きなのがこれ。なんとリリースされていませんが、↑のSoundcloudのリンクからダウンロードできます。ある日急にAndrew BayerがFacebook上で「新曲作った。やる。」的な感じで配布したもの。「適当に作ったもののレーベルに送るほどでもないからSoundcloudにアップロードしてファンにでも配るか」的ノリだったはずなのに何このクオリティ。Andrew Bayerらしいシンセとボーカルがどこまでも美しいエレクトロニカ。 -
Sailor & I / “Tough Love (Aril Brikha Remix)” [Black Butter Records]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/98570019″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
この曲も衝撃的な美しさでした。決してボーカルのメロディもシンセリフのメロディも複雑なものではなく、どちらかと言うと単調に展開していくタイプの楽曲にもかかわらず、なんだろうこの表情豊かに展開していく感じは。一方で、このミニマルな反復が一度ハマるともう何度繰り返し聴いても飽きない秘訣なのかも。音色の一つ一つがぴったりハマって素晴らしい美しさを醸し出しています。 -
DJ Koze / “Magical Boy (Matthew Herbert’s ‘Not ‘til It Stops Mix’ feat. Rahel)” [Pampa Records]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/121029840″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
今年の僕の最大の発見はMatthew Herbertでした。今までも何気なく楽曲は購入して聴いていたはずですが、なぜかMatthew Dearあたりとごっちゃになってちゃんと認識できていませんでしたが、今年彼のアルバム”Bodily Functions”に出会ってその美しさに圧倒された上そのアルバムが今から12年前の2001年リリースだと知ってさらに驚愕。10年経ってもまったく問題ないそのクオリティ、圧巻でした。そんなMatthew Herbertが、個人的ベストアルバム第2位にランクインしたDJ Kozeのニューアルバムの1曲をリミックスしたのがこれ。インストだったオリジナルにボーカルを乗せたリミックス、そしてそのボーカルの素晴らしさよ。明日への希望が見い出せる曲。 -
Flight Facilities feat. Micky Green / “Stand Still (Wave Racer Remix)” [Future Classic]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/123949195″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
今年の暮れあたりにリリースされたのに結局ベストトラック第2位まで上りつめた個人的大穴。ハウスでもないしなんだかとてもチージーな感じなんですが、一度聴いて頂ければ僕がなんでこの曲に大ハマリして来る日も来る日も何度も何度も聴き倒したのかがわかって頂けると思います。要するに、ズルいんですよこのコード進行が。しかも歌の部分は全く使わないという鬼畜リミックス。朝の通勤時に聴くと一発で元気になりますね。 -
Zedd feat. Foxes / “Clarity (Aurtas Pararell Trip Club Mix)” [unreleased]
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/88234061″ params=”color=ff6600&auto_play=false&show_artwork=true” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
去年に引き続き今年もEDM旋風がオーバーグラウンドアンダーグラウンド問わず吹き荒れていましたが、このBest Track 2013をご覧頂ければわかる通り僕はちょっとその風潮とは距離を置いています。なんというか、音楽シーンの状況が2000年前後のトランスシーンを見ているようで、あるジャンルが急速にブームになることでフォロワークリエイターが金太郎飴楽曲をベルトコンベアで大量生産した結果いい楽曲まで全部サイバートランス的ブームとして消費されてしまうような既視感があって。中にはいい楽曲もあるんだろうけど、楽曲だけでないその周辺のテンションに圧倒されちゃって。その中でも良質だったのが例えばZedd。オリジナルのリリースは2012年でしたが、彼のデビューアルバム”Clarity”収録の”Spectrum”や”Clarity”は本当にメロディが素晴らしくて大好きです。そんな名曲”Clarity”を日本が誇るクリエイターAurtasさんがリミックスしたのがこれ。これは本当に素晴らしい。オリジナルより他のリミックスより素晴らしい。これもリリースされていませんが、なんとSoundcloudからダウンロード可能!太っ腹!個人的にはRadio Editのイントロが好きなのでそれとClub Mixを繋げて使っています。是非皆様ご一聴を!!
-
コメントを残す