ここ何年かPCでDJしています。
PCでDJするメリットはなんと言っても媒体の記憶効率。単位重量あたりの曲数がレコードやCDとは段違いです。
例えばレコードだと100枚で40kgほど。大体1枚のレコードに収録されている曲のうちA面の1曲目だけしか使わなかったりするので1枚1曲と考えると、2.5曲/kgです。
CDの場合は100枚くらい持っていくと1kgくらいはしたような。1枚10曲とすると1000曲/kgです。容量面では1枚のCDにもっと沢山曲を入れることはできますが、そうすると同じCDを2枚用意する必要があるなど、DJ中の取り回しが面倒になります。いずれにしろこの時点でレコードに比べて圧倒的ですね。
PCの場合、例えば僕のPCは1.3kgの中に約10,000曲入っているので、約7,700曲/kg。今は10,000曲で120GBちょっとなので、HDDを1TBとかにすればこの6倍くらいの曲が入るので、少なく見積もっても最大値は45,000曲/kgでしょう。もちろん軽いPCに入れればこの数字はもっと大きくなります。
というわけでCDはレコードの400倍、PCはCDの45倍の記憶効率があると。
別に一晩で何千曲もかける訳ではないですが、「あーあの曲持ってくるの忘れた!」的シチュエーションが大嫌いな僕にとっては手持ちの曲を全部現場に持っていけるのは精神衛生上とても大きいです。
もちろん昨今ソフトウェアやコントローラの進化によって記憶効率以外でもメリットは増えてきているので、もはやCDやレコードでのプレイには戻れない感じです。
ただ、PCDJにもデメリットがあります。
これはレコードを卒業してからずっと悩まされている課題ですが、最も大きい問題は選曲の際ビジュアル=ジャケットを見て選べないことです。
CDの場合はジャケをCDのラベル面に印刷しない限り無理、PCでも曲数が多い一方ジャケットが表示される領域は小さいので視認性はいいとは言えません。
このためより効率よく選曲をする工夫を擦る必要があります。
そこで今回は僕がここ何年かで培った曲の管理方法をご紹介〜。
基本的な手順は下記の通りです。
- 曲を買う
- 曲をiTunesにインポートする
- iTunes上で曲の情報を修正する
- キーとBPMを解析しID3タグに書きこむ
- ID3タグを修正する
- プレイリストを整理する
- 曲を買う
- まずは曲を買います。基本Beatportを使用しますが、時々JunoやAmazon USを使ったり、レコードからリッピングすることもあります。ただレコードのリッピングはピッチも安定しないしノイズの混入や音質の違いからセットに混ぜるとかなり違和感があるので極力避けています。
Beatportではひたすら試聴してとりあえずカートにぶっこむ。その後日を改めて何回か試聴してみて、それでもカッコよければ買うという慎重な買い方をしています。
- まずは曲を買います。基本Beatportを使用しますが、時々JunoやAmazon USを使ったり、レコードからリッピングすることもあります。ただレコードのリッピングはピッチも安定しないしノイズの混入や音質の違いからセットに混ぜるとかなり違和感があるので極力避けています。
- 曲をiTunesにインポートする
- 買った曲はiTunesにインポートします。
昔レコードを買っていた時代、レコード屋から帰宅してすぐ試聴がてら買ってきたレコードだけでついDJしちゃうクセがありました。買ったのが10枚だったらその10枚の中で起承転結を作ってプレイ。そのクセのせいで、今でも曲をインポートする時は買った曲の中で起承転結を考えて、そういう順番でインポートしちゃいます。これ、あんまり意味はありませんが、プレイリスト中曲の位置を把握するのになんとなく役立ったりすることもあります。
- 買った曲はiTunesにインポートします。
- iTunes上で曲の情報を修正する
- 几帳面な性格の僕は、インポートしたらすぐに曲の情報を修正します。いじるのは主に曲名、アーティスト名、アルバムアーティスト名、アルバム名、コメント、ジャンル、レートです。
- 曲名やアーティスト名は単純に自分の好みで変えます。”Featuring”って書いてあるのを”feat.”に直すとか、そういうキモチ悪いレベルです。この行為にはあまり意味はありません。
- アルバム名は、何曲か収録されているアルバムやEPの中で1曲だけ買った場合に、iTunes上でその曲のアルバム名を消さないでおくと全曲フルで買ったアルバムと区別がつかなくなるため、ちゃんとメンテします。アルバム名、アルバムアーティスト名を書いておくのはフルアルバムを全曲買った場合のみ、数曲しか入っていないEPや1曲だけ買った場合はアルバム名もアルバムアーティスト名も消します。
- コメントにはその曲の曲調等を書いておきます。後で詳述しますが、コメントに曲調を書いておくことはあとでプレイリストを整理する際に必須の行為。これをしないと僕はロクなDJができません。
- ジャンルも修正します。Beatportが既に登録したジャンルが誤っている場合、例えばビートもない明らかなChill OutなのにHouseと書いてあるようなことも時々ありますし、またBeatportではMinimalとされている曲も僕はHouseだと思ったりすることも往々にしてあります。その上、例えばヒトクチに「Deep House」と言ってもDanny Krivit寄りのDeep HouseとJimpster寄りのDeep Houseは全く別物ですし、、Progressive HouseでもMark KnightのそれとSashaのそれは違います。ということで自分独自のジャンル体系でジャンル分けをしています。
- 最後にレート付け、これも重要です。「カッコいいー!」という曲は★5つ、「結構いいじゃん〜」という曲は★4.5、「うーん、まあまあかな」という曲は★4、「どちらでもない」は★3、「積極的に聞こうとは思わないな」は★2、「なんだこの曲、客をナメてるのか!」は★1です。ちなみにiTunesの設定をいじってレートを0.5単位で付けられるようにしています。
活字にしてみるとなんだか修正項目は多いですが、修正作業に要する時間は1曲あたり大体30秒くらいです。
- キーとBPMを解析しID3タグに書きこむ
- PCDJによって実現が容易になったものとして、曲のキーに基づいた選曲が挙げられます。
以前Danny Howellsなどはレコードにちゃんとキーを書いておいてそれに基づいて選曲するなんてことを聞いたことがありますが、これは絶対音感がない人には相当に難しく面倒な作業です。
しかしPCならばソフトウェアにキーを解析してもらえばOK。僕はMixed In Keyというソフトウェアを使っています。まあまあな値段ですが、僕は買って満足です。
このソフトにMP3ファイルを解析させると、図のような24段階でキーを解析、その結果をID3タグに書きこんでくれます。
このキーに基づいてミックスすると、例えば前の曲のボーカルが残りながら次の曲のベースラインが入ってくるきてそれが得も言われぬ和音を奏でるときなど、時々激烈に気持ち良い瞬間が訪れます。
- PCDJによって実現が容易になったものとして、曲のキーに基づいた選曲が挙げられます。
- ID3タグを修正する
- 几帳面すぎる僕はこの段階で再度ID3タグを修正します。恐らく現行バージョンのiTunesのバグ(もしくは仕様?)だと思いますが、iTunes上で曲の情報を修正してもなぜかコメントのみID3タグには反映されない場合がしばしばあります。
これを修正しないでおくと、Scratch Liveで読み込んだ際に自分が修正する前のよくわからん情報が表示されてしまうのでかなりムカつく上、コメント欄が読めないとDJにも少々支障が出るので厄介です。
これを修正ために、僕はMusorgというアプリケーションでID3タグを編集します。
- 几帳面すぎる僕はこの段階で再度ID3タグを修正します。恐らく現行バージョンのiTunesのバグ(もしくは仕様?)だと思いますが、iTunes上で曲の情報を修正してもなぜかコメントのみID3タグには反映されない場合がしばしばあります。
- プレイリストを整理する
- 以上の作業は、実はこのプレイリストを整理するという作業の準備です。
そもそも、PCDJのメリットでありデメリットは手持ちの曲数が異様に多いこと。例えば僕のようなアマチュアDJであっても、iTunesライブラリ内の曲数は大体2,000曲/年のペースで増えていきます。
これを上手に管理しないと、DJの時に自分のかけたい曲、かけるべき曲を即座にピックアップすることができません。
レコードでプレイしていた時はバッグの中に入っているレコードは100枚程度、さらにジャケもあるので曲を認識しやすいのですが、先述の通りPC内の曲は10,000曲もある上ジャケもいちいち見てられないため、いかに上手く曲を整理するかが重要になってきます。
僕の場合は下記のような5分類、計約50のスマートプレイリストを使って管理しています。- ジャンル別
先述した通り、自分独自の体系で分けたジャンルごとに、レートが高い曲をピックアップしたプレイリストです。合計約20程度、Houseだけで10弱のジャンルを作っています。 - 購入時期別
曲を購入した時期ごとに、レートがそこそこ高い曲をピックアップしたプレイリスト。「つい最近買った曲」とか「ちょっと前に買った曲」というような切り口で曲を探す際に便利です。木村コウさんは確か週単位でこのようなプレイリストを管理されているそうですが、僕の場合は彼ほど調達する曲数が多くないので四半期単位で十分です。 - シチュエーション別
その曲が適するシチュエーションごとに、レートが高い曲をピックアップしたプレイリスト。例えば、「パーティ開始直後のビルドアップの時間用」とか「ピークタイム用」とか「朝方用」とか。これらは予め各シチュエーションに紐づく文字列を決めた上、その文字列をコメントに書き込み、それをキーにしてスマートプレイリストでピックアップします。僕がDJ中に気にすべきはジャンル云々よりも「空気を読むこと」だと思っているので、結果的に他のプレイリストよりもこれを使うことが一番多いです。 - BPM別
BPMのレンジごとにレートが高い曲をピックアップしたプレイリスト。このプレイリストはほとんど使うことはありませんが、「ちょっとユルい感じでまとめたいなー」というような時などは「遅めBPM」のプレイリストを漁ったりします。 - テーマ別
最後は様々なテーマごとに作成したプレイリストです。これらはスマートプレイリストというよりも自作プレイリストの方が多いです。例えば「Michael Jacksonリミックスだけ」とか「Def Mixのプロダクションだけ」とか。これらのプレイリストはそういう企画モノをやるときに使います。
- ジャンル別
- 以上の作業は、実はこのプレイリストを整理するという作業の準備です。
Scratch LiveもTraktorも基本的にはiTunesライブラリをインポートする機能を持っているため、上記のような整理がしてあるとPCDJであってもDJ中の選曲作業が非常に楽になり、まともな選曲ができるようになります。
(ただしTraktorの場合iTunesライブラリをロードしただけではジャケットやキーの情報を読み込まないので相当に不便。下手したらiTunesで確認しながら選曲する羽目になります。この問題、早急に直して欲しいのになあ。)
もし皆さんがよりよい整理方法をご存知であれば、是非教えてください!
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