Monday Michiru / Don’t Disturb This Groove [Grand Gallery] 今度は毛色の違うアルバムをご紹介。些かのミーハー感が漂いながらもなんだかんだで大好きなMonday Michiruのニューアルバム。今回はいつものJazz / Soul / Bossanova的アプローチでありながらも、過去のベタベタな名曲のカバーという趣き。Michael Jackson / “I Can’t Help It”、Stevie Wonder / “As”、Bob Marley / “No Woman, No Cry”、The Brand New Heavies / “You Are The Univers”、などなどあまりのメジャーな曲目に相当ベタベタのヌルヌルな仕上がりなのかなーとヒヤヒヤしていましたが、ところがどっこいこれが素晴らしいのです。本人のプロデュースでちゃんと全部「マンデイ満ちるの曲」に仕上げてます。つーかやっぱ声がいい。そして安定している。夕陽を見ながらのチルアウトに最適な1枚です。最近一番聴いてるかも。[tmkm-amazon]B004XHN2F6[/tmkm-amazon]
Energy 52 / Cafe Del Mar (Ricardo Villalobos Remix) [Flying Circus] ようやく普通のトラック物のご紹介。今月の目玉はコレ。90年代後半にフロアというフロアを湧かし、今でも木村コウさんが年に1回開催する懐メロパーティ”Time Capsule”で必ずプレイされると言っても過言ではない名曲中の名曲、昨今のテックハウスリメイクブームに乗ってちょっとリメイクされたりしましたが、今度はなんと今をときめくRIcardo Villalobosがリミックス!これはいくらなんでも畑が違いすぎるだろ!と思って聞いてみると……思いっきり畑が違う!違いすぎる!とはいえオリジナルのプログレッシブハウス〜トランス的文脈に乗っかってただただ何も考えずリメイクした的な他の曲とは一線を画すこの個性。僕はすげー好きです。ちなみに来週開催されるBig Beach Fes. ’11に出演予定だったVillalobos、もしキャンセルされてなければFPM vs Villalobosなんていうめちゃくちゃな異種格闘技が見れたのに……残念。
Infusion / Love & Imitation (Luis Junior Remix) [Vapour Recordings] 一時は猫も杓子も誰しもプレイし、飛ぶ鳥を落とすかのような勢いだった豪州出身の3人組ユニットInfusion、最近何故かとんと見かけなくなりましたが、どうやら活動はしているようです。とはいえKate Bushの曲とのマッシュアップ”Running Up That Hill”や大ヒットした”Girls Can Be Cruel”、ブートで出回ったBjork / “Pagan Poetry”のリミックスなどなど今聴いてもどの曲もまだまだカッコいいです。そんな中、実は僕が大好きだったのは”Love & Imitation”ですが、この曲のニューリミックスがなぜかこのタイミングでリリースされました。ちょいDJ Sneakを彷彿させるハウス感たっぷりのPeter Horrevorts Remixもいいですが、オススメはオリジナルの持つ雰囲気を活かしつつよりドラマチックに仕上げたLuis Junior Remix。名曲はいつ聞いても名曲です。
Jacques Greene / Another Girl [LuckyMe] このディスクレビューではなるべくその月にリリースされた楽曲を紹介しようと思っていますが、例えば先月のレビューをアップした後で見つけた先月リリースの曲などは扱いに困るので、もはやリリース月なんてどうでもいいと思うようになってきました。てことでこれは3月リリースの曲。聞いたこともないアーティスト、聞いたこともないレーベル、なんとも言いがたいジャンルなのでまあ見つけにくかったのも仕方ないところですが、そんな地味な存在感の割に内容は素晴らしいです。ブレイクビーツというべきかプログレッシブハウスというべきかエレクトロニカというべきか、ジャンル分けはよくわかりませんがとにかく幾重にも重なるシンセとボーカルが変則的なビートの上に広がる得も言われぬ美しい曲。パーティの最後にどうぞ。
DJ Phono / Gone (David August Vocal Remix) [Diynamic] 前の曲もそうですが、ジャンル分けって難しいですよね。こんなこと言ってると「音楽はアタマで聞くんじゃねえ、カラダで感じるんだぜ!」なんて言われそうですが、友達と話す時「テクノ」という言葉で想起する音楽のイメージが乖離してたら結構面倒だと思いますし、先日他のエントリーで書いたようにDJ用の曲整理というシーンにおいてもジャンル分けは重要です。ということでジャンル分けには神経質な僕ですが、こう言うのはどう表現したらいいかわかりません。Steve Bug的ディープテックハウスとでも言うべきか。とにかくdOPのようなキモチ悪いボーカルとキレイなピアノの音がオーソドックスなリズムトラックに乗っかる極めてカッコいいSteve Bug的ディープテックハウス。好きです。
Peter Horrevorts / Marked In Black [Exotic Refleshment] 地味な存在ながら最近僕の中では徐々に地位が向上してきているPeter Horrevorts。初めてカッコいいと思ったのは2007年にリリースされたMichel De Hey / “Compound”のリミックスですが、これまでSashaがピーク時にプレイしそうなプログレッシブハウス〜ハウスを身上とするクリエイターとの理解でした。最近では今年1月にリリースされたEitan Reiter / “Smile”のリミックスが秀逸。そんな彼の自分名義のリリースである本作は、これまでのプロダクションに多く見られた控えめながらも美しいシンセ等は影を潜め、完全に踊らせ用ピークタイム仕様な作りに仕上がっています。ピークタイム前後のテンション維持に便利なトラック。
The XX / VCR (Four Tet Remix) [Young Turks] 最後にご紹介するのはエレクトロニカの気鋭Four Tetのリミックス。彼のプロダクションはJames Holdenや彼のレーベルBorder Communityからリリースされる楽曲のように「美味い料理は超美味い、でも結構な頻度で珍味も出す料理店」のような感じ。当たる時は大体あまり血迷ったりキチガイじみたりすることなくキレイな曲を作るときで、Nathan Fake / “You Are Here”のリミックスやJoe Goddard / “Apple Bobbing”はその最たる例だと思います。この曲もそう。どことなくChemical Brothers / “The Golden Path”を彷彿とさせるメロディー/ベースライン、異論もありそうですがあの適当な浮遊感は似ている感じがします。これも朝方向け。