昨今世間ではしばしば「日本、ヤバいよ」と言われています。
例えば、1月27日に米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が日本の国債格付けを「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に格下げしたと発表したそうです。格下げの理由は財政赤字の増加、そして長引くデフレ。
世間を見渡してみても、つい数年前まで就職人気ランキング上位だったJALが破綻したり、一生懸命年金払ってもどうやら老後そんなにもらえなさそうだったり、確かになんだか色々ヤバそうです。
その一方で、ニュースやワイドショーを見ていても「ヤバいのは政治のせい、なんとかしろ」だとか、ヘタをすると「政治とカネ」だとか、現在の日本が抱えている問題とその根本要因、さらには短期長期両面での対策というのはなかなか見えてきません。
実際に何がヤバいのか、どうヤバいのか、どうすればいいのか、どうにもならないのか。
失われた10年が20年に延びそれがまだまだ延びそうな今日この頃、そろそろちょっと真剣に考えないと本当に「ヤバい」気がしてきた今日この頃です。
さて、そんな日本が抱える「ヤバさ」の原因に関して、その一言説について述べたのが本書です。
本書の主張は「昨今の日本経済の停滞の原因は生産年齢人口の減少」というもの。
これまで景気停滞の原因は「政治が悪い」だとか「リーマンショックの余波」だとか「グローバル競争の激化」だとか色々言われてきましたが、それよりもインパクトが大きいのが生産年齢人口、つまり労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口減少であるということ。
そもそも生産年齢人口が減るとどうなるか。
先述の通り生産年齢人口とは労働力の中核をなす人々の数、つまりは「稼ぎ頭」の人々の人口のことです。それより年下は義務教育なので稼ぐ年齢ではない、それより年上は定年後なのでこれまた稼ぐ年齢ではありません。(もちろん一部には稼いでいる高齢者もいるとは思いますが。)
「稼ぎ頭」は「使い頭」でもあります。要は消費の主な部分を担うのがこの層。従ってこの「稼ぎ頭」の人口が減ると、「消費」が減ります。
ここ数年で平均年収は減少傾向にあるため、「消費額」と「人口」の双方が減少することに寄って家計消費支出の総額は減少します。すると当然ですが企業の売り上げが減少します。お客さんがお金を使ってくれないからです。すると賃金がまた減少します。そしてまた消費が減ります。
経済学部卒にも関わらず経済学への理解が不得手な僕の説明は誤りも含んでいるかもしれません。(これも日本の悪いところの一つですね……。)ですので、詳細は是非本書を読んで頂きたいところですが、問題はこの「消費の減少」を政府が問題点として認識しておらず、そうであるがゆえにそれに対する対策を講じていないことです。
本書で提示されていることですが、例えば外国人観光客を増やしてもっと日本でお金を使ってもらう、日本の金融資産の半分以上を保有していると言われる高齢者にお金を貯めこませるのではなく使ってもらう、年金制度等への不安から貯蓄性向が上昇気味の若手世代に対し年金制度改革を通じた不安払拭によって安心してお金を使ってもらう、等々等々。
そもそも日本は低負担低福祉の小さな政府を目指すのか、高負担高福祉の大きな政府を目指すのか。自由主義で行くのか保護主義で行くのか。農業を保護するのか成長産業にシフトするのか。
そろそろこれらの問題について真剣に考え、我々世代が投票を通じて政治に訴えていかないと、10年後の未来が末恐ろしいことになっていそうです。
ちなみに、下記サイトで調べたところ僕の一票の価値は衆議院議員選挙で0.47票、参議院議員選挙で0.23票しかないとのこと。どうやら参院選では僕の声の大きさは1/4人分にも満たないようです……。こりゃそもそも選挙制度を変えなければならなそうですな。
一人一票国民会議
こんな問題意識を抱く第一歩として、本書を手にとってみてはいかがでしょうか?
末恐ろしい日本の未来が一瞬垣間見えるかもしれませんよ……。
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