「コミュニケーション能力」ってなんだ?

「コミュニケーション能力」ってなんだ?


既に何度かブログに書いていますが、僕にとって就活はトラウマでした。未だにトラウマです。
そもそも就活自体ナメていたということもありますが、とにかく受けても受けても落ちる。四苦八苦した結果、ようやく内定をくださった現在の会社に拾って頂き、今に至ります。

これはとても悔しい記憶です。今でも思い出すと呻いてしまうくらい口惜しい。
このため、入社して2、3年間は「自分の就活はなぜうまくいかなかったのか?」というばかりをずっと考えていました。この辺りのことはこのエントリーに少々書きましたが、日々自問自答する中で、本や色々な人との話などから学ぶ中で、そしてまたリクルーターとして過去の自分のような学生と接する中で、この問いの答えが次第に見えてきたように思います。
これらの朧気な答えは、過去の自分に対して罪滅ぼしをするかのように学生たちに伝えることで、ようやく徐々にこのトラウマと向き合うことができるようになりました。

さて、本エントリーもそのような悶絶期間に考えたことです。
「コミュニケーション能力」。
なんだそれ。
これは特に就活というシーンでよく耳にする言葉ですが、おそらくその定義は至極曖昧で、その意味の理解は十人十色ではないでしょうか。
僕の就活失敗の原因の一つは、その定義すら明確にせずただ漠然と「おれは結構コミュ力あるけど」なんて思っていたことでした。「結構コミュ力ある」とはどういうことか?会社ないし業務でどういう場面でどう必要とされるのか?どうしたら僕に「コミュ力がある」ということを面接官にわかってもらえるのか?
就活時代の僕はこの辺りのことを全く考えていませんでした。
実はよくわからないのにわかった気になって適当にやり過ごす。その結果自分に「コミュニケーション能力」があるのかないのかもわからず、なかったとしても何をどう補えばいいのかわからない。
というわけで本エントリーでは就活を終えて数年うんうん唸った後にようやく整理できた「コミュニケーション能力とは何か?」という問への僕なりの答えについて書いてみたいと思います。

コミュニケーション能力とは下記の3点に整理できると思います。

  1. 感情分析能力
  2. 自己制御能力
  3. 論理的思考能力
  1. 感情分析能力
    まずは相手の気持ちを理解すること、つまりコミュニケートする相手に共感することが対話の第一歩だと思います。
    「communication」という単語を英和辞書で調べてみるとその意味の一つに「共感」と書いてあります。つまり「コミュニケーション能力」とは直訳すると「共感能力」となる。自分を理解してもらおうとするならば、それは相手を理解する必要性を生む。自分がされて嫌なことは相手にもしない。逆に自分がされて嬉しいことを相手にする。これはコミュニケーションの基本だと思います。
    どういうことをされたら喜ぶか、どういうことをされたら嫌がるか。もちろん他人の好き嫌いなんて100%正確に理解することはできませんが、その一方で、個々人が喜ぶポイントや嫌がるポイントは特殊な例外を除きそこまで十人十色なわけではないように思います。誰しも褒められれば嫌な気持ちはしないし、侮辱されれば腹を立てます。つまり相手の気持ちを理解すること、共感することはそこまで難易度の高い作業ではない。
    「自分が相手の立場だったらどう感じるか」そこに思いを馳せるほんの少しの想像力が必要なだけです。
    ちなみにスターバックスの店員はこの力に長けていると言われています。スターバックスの店員には、祖父母と同居している人が向いているそうです。スターバックスの店員は多様な顧客に対し柔軟なサービスを提供することが求められます。個々の顧客に対し柔軟なサービスを提供するためには、個々の顧客の気持ちを理解できなければならない。祖父母と同居した経験がある人は、祖父母、父母、自分という三世代と身近に接することでそれぞれの世代の気持ちが理解しやすくなるそうです。つまりそれだけ対応できる顧客の幅が広がるということ、何をされたら喜んでもらえるかが理解できる顧客の量が多いということ、多くの場合において柔軟に対応できるということ。
    逆に相手の気持ちが理解できない人、そこに思いを馳せられない人は、いかにその主張がわかりやすくとも、コミュニケーション能力が高いとは言えないと思います。失礼なことを平気で言う人は、いかにその論が正しかろうと再び話そうという気にはなりません。
    こんな話、とても当たり前のように聞こえますが、できていない人は案外少なくないと思いません?
  2. 自己制御能力
    相手の気持ちを理解することができたら、次はそれに合わせて自分の言動をコントロールできるかどうかが重要になります。
    自分がされて嫌なことは相手にもしない、逆に自分がされて嬉しいことを相手にする。このような行動をするためには、分析した感情にそって自分の行動をコントロールすることが必要になります。
    例えば、目の前で貧乏揺すりされるのが嫌な人がいたとして、そのことをこちらは知っていたとする。その場合は、できれば貧乏揺すりは止めた方がいい。
    どれだけカジュアルな格好が好きでも、真面目な会社の面接にはスーツを着ていった方がいい。逆に高圧的な態度を取られると人は嫌な気分になるとわかっていても、高圧的な態度をとってしまう。ちょっとでも気に入らないことがあったらすぐに怒りを表情に出してしまう。このように自分を制御できていない状態では、円滑なコミュニケーションを成立させるのは難しいだろうと言えます。
    つまり、自分の言動をTPOに合わせ適切にコントロールできるかどうかも、コミュニケーション能力の高低を大きく左右するのではないでしょうか。
    ちなみにCAの面接はこの点が特に重視されているそうです。CAの面接は10秒で合否が決まると聞いたことがありますが、これはつまり本能的に相手を不快にさせる言動を回避することができるかどうか、相手に快い印象を与えることができるかどうかを重視しているから。部屋に入ってくる時の声のトーン、表情、ドアの閉め方、歩き方、挨拶、座るまでの段取り、云々云々。相手の快・不快のポイントを理解した上で、それに合わせてしっかり自分の表情、声のトーン、言葉遣い、身振り手振り、等を制御できるかどうか。この点もコミュニケーション能力に大きく影響を与える要素と言えそうです。
  3. 論理的思考能力
    ここまでは「快」「不快」に関するご説明でした。そしてここからは「主張とその理解」に関してです。
    巷で「コミュニケーション能力」という言葉を耳にした場合、真っ先に思いつくのはこの能力のことではないでしょうか。これは所謂「論理的思考能力」、つまり自分の言いたいこと、主張、メッセージを「論理」というフォーマットに則ってわかりやすく相手に伝えるためのスキル。また同様に相手の言いたいことも同様のフレームワークで正しく理解するための能力。
    この「論理的思考能力」も「コミュニケーション能力」同様多分に曖昧なものですが、よく考えるとこれは下記の3点の重要なプロセスに基づき、より具体的に定義できるのではないかと思います。

    1. 主張の明確化
      まずは自分が何が言いたいのかをはっきりさせるということ。
      ロジカルシンキングのフレームワーク自体は結局「容れ物」にすぎません。その「メインメッセージ」の部分にどういうメッセージを埋め込むは自分次第。つまり「このプランについてどう思う?」と聞かれた際に「いいですね」と答えるべきか「やめた方がいいですね」と答えるべきかという問いの答えをロジカルシンキングのフレームワークが教えてくれるわけではありません。ちなみに、このエントリーにも書きましたが、僕はこれを理解するのに20数年要しました。
    2. 主張の構造化
      おそらくこの部分が狭義のロジカルシンキング、世間一般で所謂「ロジカルシンキング」として理解されている部分だろうと思います。
      すなわち自分の主張を帰納ないし演繹の関係に基づく構成に整理すること。「MECE」だとか「ピラミッドストラクチャー」といった専門用語はこの構造化に関するものです。見方を変えれば、この部分がもっともスキル化しやすい部分であるとも言えます。「カレーが好き」とか「嫌い」などの「主張」は技術で生み出すものではありませんが、構造化はそのフレームワークを理解すればいいだけです。このようなスキルは比較的習得しやすく、本や研修等で学ぶことができます。
    3. 主張の肉付け
      これは相手の理解度を上げるための補足に当たる部分です。どのような主張も根拠となる具体例やデータを挙げるとわかりやすくなりますし、納得しやすくなります。ここで的確なデータやウィットに富んだ具体例を挙げられるかどうかで相手にとっての印象は大きく変わってくるため、この肉付けの部分はロジカルコミュニケーションの本質ではないものの、非常に重要な部分を担っていると言えます。

    感情分析能力と自己制御能力は重要ですしコミュニケーションの基礎とも言えますが、一方で論理的思考能力がなければ「いいヤツだが何言ってるのかわからない」となります。その意味で論理的思考能力も前2者と同程度に重要です。

上述したのは僕の考える「コミュニケーション能力」であって、もしかしたら冒頭で述べた通り人によってその定義は十人十色なのかもしれません。
ただ、就活等の場面で求められているのは恐らく面接官に「君はコミュニケーション能力がちょっとね……」と言われた時に「確かに話し下手だけどそれは生まれつきだからどうしようもないし……」なんて理解した気になってすぐ結論を出してしまうことではなく、「コミュニケーション能力ってつまりどういうこと?」「あの面接官は結局何が言いたかったの?」ということについて自分なりに思いを巡らせて見ることなのではないでしょうか。
コミュニケーション能力が定義できれば、あとはその定義に沿って自分の弱点を見つけ、補強すればいい。強みを見つけ、伸ばせばいい。しかし、まず最初にやるべきは「コミュニケーション能力」という曖昧な言葉の定義だと思います。

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