iPhone5s/iOS7のAPN設定。

先日海外赴任先から日本に帰って参りました。
久々の日本での生活、しかも海外生活というブランクが明けてからの日本での生活なので、色々なことが新鮮に見えます。せっかくなのでこの機会を利用して色々なところを見直してみようと思っています。

まず手始めに携帯電話。

海外に住んでいる間はMVNOと呼ばれる通信事業者が日本国内でも増えてきたことで、docomoやsoftbank、auといった既存の通信事業者だけでなく、例えばamazonのSIMカードやヨドバシカメラ、イオンのSIMカードなども見かけるようになりました。これらのサービス事業者は、例えば「通話はしないけどデータ通信は必要」というような顧客層に対して「データ通信利用料は安くするけどその分通話料は高くする」といった柔軟なサービス設計をすることによって、docomoなどの料金プランよりも自分に合ったお得なプランの提供を可能にしています。プランによっては「月額の利用料が1,000円以下」なんてものもあり、docomoなどの月額8,000円〜10,000円という月額費用に比べると圧倒的なコストダウンが可能です。

というわけで、本エントリーでは、僕の事例をサンプルにして日本でSIMフリー携帯を使うとどうなるかという点についてご紹介したいと思います。

  1. 携帯電話端末
    現在僕はiPhone5sを使っています。
    これまでは香港やシンガポールなどの海外でしか購入できなかったSIMフリー版iPhoneも、ようやくLTEの対応状況」の部分。各国によって携帯電話ないしLTEサービスに割り当てられている電波の周波数が違うため、こういうことになっています。ただ、僕は下記の理由からこの違いについてあまり気にしていません。その理由は、現時点では高価です。これはdocomoなどの通信事業者からの販売奨励金がないためですが、そもそも大昔から本来の携帯電話代も実は高価なもの。にもかかわらず販売奨励金制度が普及しすぎて「携帯電話端末=タダで売ってるような安いもの」というイメージを多くの人が抱く結果になっているのが今の日本と言えます。
    また、この高い初期費用も実は月額利用料金を安く抑えることによって回収できます。先ほどお伝えしたように、例えば月額1,000円の通信事業者と契約した場合、docomoなどのプランを利用した場合に比べて月々の携帯電話使用料は7,000円以上安くなります。つまり1年で84,000円。2年使えば圧倒的にSIMフリー版の方が経済的に有利です。なのでこの端末代、初期導入費用の高さも個人的にはあまり気にしませんでした。

    もちろんSIMフリー端末はiPhoneだけではありません。NOKIAなどの低機能低価格携帯電話もありますし、SAMSUNGのGalaxyなど多機能な携帯電話端末もあります。docomoなどで購入した携帯も、手続きをすればSIMロックを解除することができます。つまりiPhoneのような高価な端末ではなく安いSIMフリー端末を使えば、もっとトータルコストが抑えられるということですね。

  2. SIMカード
    SIMフリーの携帯電話端末を用意したら次は通信事業者、SIMカードの選定です。
    こういうサイトを見ると案外相当な数の通信事業者がいるなあと驚かされますが、この中から自分に合ったものを選定します。選定基準は、下記のようなポイントになります。

    • 提供しているSIMカードの形状(nano SIM、micro SIMを提供しているかどうか)
      iPhone5sユーザの場合、そもそもnano SIMを提供していない通信事業者は対象外になります。百歩譲ってmicro SIMや通常のSIMカードをカッターで切る、という手もありますが、カットされたSIMカードをiPhoneがちゃんと認識するかどうかは神のみぞ知るです。これは「どうしてもこのプランがいい!しかしnano SIMがない!」というような場合に仕方なく使う奥の手だと思います。
    • 音声通話、SMSの提供有無
      様々なプランの中には、携帯電話として音声通話やSMSを利用できるものもあります。というよりむしろ「音声通話やSMSが使えずデータ通信に特化しているSIMがある」と表現した方がいいでしょうか。概ね音声通話やSMSに対応していない方が安いですし、音声通話を利用する場合はdocomoなどのプランを利用している場合とあまり月額費用が変わらなくなるので、わざわざSIMフリーにしている意味がわからなくなってきます。
      「携帯電話なのに通話できないなんて!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは問題ありません。このエントリーにも書いた通り、今やインターネットに繋がってさえいれば通話なんてアプリで対応可。ちなみに僕は今通話できるアプリがiPhoneの中に7つくらいインストールされています。昨今は0120などにも掛けられるようになり、日々の使用においてはあまり問題がありません。
    • 通信速度や通信容量の多寡
      最後に通信速度や通信容量です。どちらも当たり前ですが速くなったり多くなったりすると費用が高くなります。僕の場合は先日まで住んでいたインドネシアのインターネット環境に鍛えられたお陰で通信速度は1Mbpsも出れば御の字と思っていましたし、通信量を減らしてくれるアプリOnavoのモニタリングの状況から通信量は月1GBもあれば十分だと考え、これを基準にプランを選びました。

    これらの項目を検討した結果、僕が現在使用しているのはOCNモバイルONEです。選定の理由は、

    • 通信容量が月次ではなく日次で制限されているため、ある日に使いすぎても翌日には通信速度制限が解除されていること
    • SIMカードを交換せずに30MB/日以外のコースに変更できること
    • 通信速度制限がかかっていても通信速度が200Kbpsあること
    • 月額980円という魅了的な価格設定であること

    これまで、これ以外にもIIJmioのSIMカードを使ってきましたが、それらと比較しても今のところ大きなビハインドはありません。

  3. 設定
    SIMカードをiPhoneにセットしていざ利用を開始しようとする際、基本的には自分でネットワーク設定を行い、認証情報等を設定する必要があります。実はiPhone5s/5cから、この設定が非常に面倒になりました。それ以前の機種であれば、iPhoneの設定画面内にある「モバイルデータ通信」でその設定を行うことができましたが、iPhone5s/5cではその設定画面が非表示になったため、簡単には設定変更できなくなってしまいました。このため、MVNOのSIMを利用する場合には、このネットワーク設定の情報を各通信事業者のウェブサイトからダウンロードしてきてインストールするか(通信事業者が設定情報を提供している場合)、さもなくば自分でその設定情報を含んだファイルを作り、iPhoneにインストールする必要があります。

    以下にiPhone5s/5cのAPN設定を行う手順をご紹介します。

    1. iPhone構成ユーティリティのダウンロード
      先述したネットワーク設定情報を含んだファイルは、「iPhone構成ユーティリティ」というアプリケーションを使って作成します。このアプリケーション自体はAppleが提供しており、それをご自分のMacまたはWindowsにダウンロードしてインストールします。
    2. プロファイルの作成
      ダウンロードしたiPhone構成ユーティリティを使って、プロファイルを作成します。プロファイル作成と言っても必要な情報を入力するだけです。

      1. 「ファイル」メニューから「新規構成プロファイル」を選択します。
      2. まず、「一般」に必要な情報を入力します。この情報はこのプロファイルに関する説明書きなので、どんな内容でも問題ないと思います。なお、これらが空欄のままだとプロファイルがiPhoneにインストールされません。
      3. 次に、「APN」に必要な情報を入力します。OCNから通知された情報に基づき、「アクセスポイント名(APN)」「アクセスポイント・ユーザ名」「アクセスポイント・パスワード」を入力してください。「プロキシサーバとポート」は、特にOCNからの指定がない限り空欄のままにしておきます。
        なお、OCNの場合アクセスポイント名としてLTE端末用と3G端末用の2種類が提供されますが、ここでは3G端末用のものを入力します。

      以上でプロファイルの作成は完了です。

    3. プロファイルのインストール
      作成したプロファイルをiPhoneにインストールします。ご自分のMacまたはWindowsにiPhoneを接続すると左ペインの「デバイス」欄にiPhoneが表示されますのでこれをクリックしてください。「構成プロファイル」タブをクリックすると既にiPhoneにインストールされているプロファイルと共に、先ほど作成したプロファイルが表示されていますので、右側の「インストール」ボタンをクリックしてください。
      「インストール」ボタンを押すとiPhone側にプロファイルの情報が表示されますので、ここでも「インストール」をタップしてください。
      以上でプロファイルのインストールは完了です。これでiPhoneのネットワーク設定が完了し、インターネット接続できるようになりました。

    遅きに失した感はあるものの「ついにdocomo回線でiPhoneが使える」と多くの人に好意的に受け入れられたdocomonのiPhone取り扱い開始ですが、これによってMVNOに対するサービスは低下したのが個人的には残念なところです。少なくとも本エントリーの執筆時点でiPhone5s/5c利用者はLTE通信もテザリングも利用することができません。特に僕のようにiPhoneのテザリング機能を利用してiPadをインターネットに接続していた人間にとっては大きなダメージです。引っ越し直後、まだインターネット回線が開通していない時でも、テザリングがあれば急場を凌げたのに、それもできません。

    そんな虐げられているMVNOユーザですが、僕個人としてはそれを補って余りある利点があると思います。皆さんもご興味があれば是非試してみてください。


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