オレ流ビジネスバッグの中身。

最近色々な人から「カバンがデカい」とか「カバンが重そう」とかそういった誹謗中傷をよく受けます。事実、僕のカバンはデカくて重いです。僕もできることなら手ぶらでスマートに通勤したいのですが、ここ数年続く出張→駐在→出張生活のせいでカバン自体が既にポータブルオフィス化してしまっており、この生活が続く限りはカバンを軽量化することはちょっと難しそうです。
「使わないアイテムはカバンから出しておく」なんて運用をすればもう少し軽量化できるのかもしれませんが、そんなことをすると絶っっっっ対に「いざ使いたい時に忘れた!」という事態が発生します。絶対にです。以前の出張生活は1回の出張辺り1ヶ月〜2ヶ月滞在がザラだったため、一度何かを忘れると取りに戻るのは1〜2ヶ月後です。そうなると致命的。そんなわけで今も「ひとまず必要な物は全部カバンに入れておく」という運用を続けています。
ただ、逆に言えば、僕はこのカバンさえあればいつでもどこでも仕事ができます。それはメールを書いたり資料を作ったりといったパソコンベースの仕事のみならず、領収書やハンコを扱うような紙仕事も含みます。自分で言うのもなんですが、ポータブルオフィス機能がカバン一つで済むなんて実にエレガント且つコンパクトなのでは!と思っています。というわけで本エントリーではそんな僕のカバンの中身をご紹介してみようと思います。

  1. カバン
    まずはカバンです。これは定番のTUMI Alphaのエキスパンダブルなやつですね。本当はもう少し個性が出せるものにしたかったのですが、他に目を引くものがなかったので結局これを使っています。ただ、ささやかな抵抗として別注カラーの青モデルを使っています。同僚や上司には「なんだか高校生の通学用のカバンみたいだね」と概ね好評です。[amazonjs asin=”B00DET04LO” locale=”JP” title=”シップス SHIPS TUMI for SHIPS: エクスパンダブル・オーガナイザー・コンピューター・ブリーフ 118432221 118432221 (Navy2/Free)”]
  2. PC系アイテム
    カバンに入っているアイテムの中で最も重いのはPC系の道具です。普段は下記のものを持ち歩いています。必ずしも毎日全て持ち歩いているわけではないですが、やはり出張や直出直帰の際には持ち歩くことになってしまいます。

    • 仕事用ラップトップ(Panasonic Let’s Note 12.1″ 光学ドライブ付き)
      会社から貸与されている仕事用ラップトップです。基本的には会社に置いてあるのですが、出張の際はこれを持っていきます。軽量がウリのLet’s Noteでもやはり1kgと少しあるため、これを持ち出す時はかなり肩にカバンの重さを感じます。
    • iPad + Logicool Ultrathin Keyboard Cover
      iPadとそれ用のカバーです。出先で長めのメールを書いたり個人的な書き物したりする際にはiPhoneでは不足なのでこれが必要になります。常に必要なわけではありませんが、思い立った時にないとイライラしてしまうのでいつも持ち歩くようにしています。重量はなんだかんだiPad本体とカバーで1kg近くになっていますが、これがなければMacBook Pro 15″をカバンに入れておかねばならないので、その意味では1.5kgほどの軽量化に貢献していると言えます。[amazonjs asin=”B00KK890H6″ locale=”JP” title=”LOGICOOL ウルトラスリムマグネットクリップキーボードカバーfor iPad Airスペースグレー iK1060SG”]
  3. 文房具系
    次に重いのはおそらく文房具系の道具です。正直こういった物理的な文房具からは早く脱却して全てデジタルにしてしまいたいのですが、まだ「書類原本」とか「印鑑」といった概念もあるのでそうもいきません。またPCのバッテリーがなくなった時のメモツールや様々な用途の落書き帳も必要なので、当面カバンの中からこれらの文房具を排除することはできなさそうです。

    • レポート用紙 + ホルダー
      一番重いのはレポート用紙です。お気に入りのオキナのProject Paperのレポート用紙をファスナー付きレポート用紙ホルダーに入れています。ファスナーが付いていると色んな書類を挟んでいても持ち運ぶ際に落ちることがなくて便利です。ただレポート用紙それ自体が重く、レポート用紙ホルダーもそれなりに重いので、このワンセットでそこそこの重さになります。[amazonjs asin=”B000IGUD30″ locale=”JP” title=”オキナ A4プロジェクト 5ミリ方眼 PPA45S”][amazonjs asin=”B00BHOYP5O” locale=”JP” title=”レイメイ ツァイトベクター レポートパッド(A4) 再生皮革 ブラック ZVP653B”]
    • 文房具一式
      文房具一式もそこそこに重そうです。具体的な内容物は、ペン、消しゴム、印鑑、ホチキス、のり、カッターナイフ、定規、USBメモリ、メジャー、クリップ少々、などなど。オフィスで使いそうな文房具はひとしきり入っています。これらのアイテムの多くは無印の小さなやつにしています。ちなみにボールペンはLAMY2000の4色ボールペンのリフィルをユニのJetstreamの替芯にしたものを、シャープペンシルはぺんてるGraph1000を使っていますが、彼らはなかなかよく働いてくれるので気に入っています。[amazonjs asin=”B000UTKMDQ” locale=”JP” title=”LAMY 2000 4色ボールペン L401 〔正規輸入品〕”][amazonjs asin=”B00FRB8FX6″ locale=”JP” title=”三菱鉛筆 油性ボールペン替え芯 SXR-200-05 黒 24″][amazonjs asin=”B0013NFZU8″ locale=”JP” title=”ぺんてる シャープペン グラフ1000 フォープロ 0.5mm PG1005″]ちなみに上記のAmazonリンクにあるレポートパッドは厳密には僕が以前使っていたものです。今使っているものはAmazonでは見つけられなかったので、代わりに。
  4. デジタルガジェット
    PC系以外のデジタルガジェット、およびその周辺機器も結構色々入っていて重そうです。ただその多くは周辺機器で、デジタルガジェットそのものはそんなに多くありません。周辺機器は追ってご紹介するとして、ここではデジタルガジェットを。

    • ガラケー
      現在個人携帯電話はSIMフリーのiPhoneにOCNのSIMカードを挿して使っていますが、以前使用していたSoftbankの電話番号を残すためにガラケーを保持しています。年に1度くらいしか使わないのですが。もうそろそろ解約しようかな……。
    • 会社用携帯電話
      こちらは会社から貸与されたAndroidスマホです。SONY Xperia Z1 f。大体携帯せずにカバンの中に入っています。
    • デジカメ
      「デジカメなんていつ使うの?」と思われそうですが、実は結構使い道があります。出張先の東南アジアではなぜか打ち合わせの相手と最後に写真を撮ったりしますし、行く先々のホテルの部屋の写真を撮ってよくないホテルに誤って泊まってしまわないよう記録を残すことも。ただデジカメを持ち歩くようになった一番の理由はインドネシア駐在時の出来事。月に一度くらい社員とディナーに行くのですが、写真好きの彼らは毎度集合写真を撮りたがります。僕もどんどん社員が増えていく様子がとても興味深く、毎回全員での集合写真を撮るようになりました。当時はスマホであまりキレイに撮れなかったためデジカメが必要で、デジカメを忘れないために常にカバンの中に入れておくようになった、とそういう次第です。機種は水中用カメラとしてそこそこに機能すること、見た目がカッコいいことからCANON PowerShot S110を使用。(こちらも現在Amazonでは売っていないため下記のリンクでは代わりに最新モデルを。)[amazonjs asin=”B00EP70R9I” locale=”JP” title=”Canon デジタルカメラ PowerShot S120(ブラック) F値1.8 広角24mm 光学5倍ズーム PSS120(BK)”]
  5. 周辺機器
    周辺機器はとても多いです。僕は外出先、特に出張先でiPhoneのバッテリーが切れると死んでしまうので、そういった電源やバッテリー周りのアイテムは必須ですし、あると便利なその他の細やかなアイテムも外せません。ただ案外コンパクトに収まっているのでこれはこれで問題ないのではと思います。

    • モバイルバッテリー大
      iPhoneやその他のデジタルガジェットのためのバッテリーです。コストパフォーマンスが非常に高いので最近はAnkerものをよく使っています。これはAnkerのAstro M2という機種で、iPhoneを3回くらいフル充電することができます。[amazonjs asin=”B00DQ6UU50″ locale=”JP” title=”ANKER Astro M2 7800mAh モバイルバッテリー 2USBポート同時充電 iPhone5S 5C 5 4S / iPad Mini Retina / iPod / Xepria / Galaxy / Android / 各種スマホ / Wi-Fiルータ等対応大容量かつコンパクト105 x 60 x 23mm (日本語説明書付き) Astro M2″]
    • モバイルバッテリー小
      上述した大きめのバッテリーは手ぶらで出歩く時などにポケットに入れておくには大きすぎます。そのため、手ぶらの時用に用意したのがこのAstro mini。Astro M2と同様にAnker製品ですが、小型で安価ながらiPhoneをx回充電できるくらいの容量はあるので、とても気に入っています。[amazonjs asin=”B00E87QF14″ locale=”JP” title=”ANKER Astro Mini モバイルバッテリー 3000mAh 小型 軽量 スティックタイプ シルバー iPhone5S 5C 5 4S / iPod / Galaxy / Xepria / Android / 各種スマホ / Wi-Fiルータ等対応(日本語説明書付き)(silver)”]
    • ユニバーサルプラグ
      海外では電源プラグの形が違うので必須ですね。巷には直方体型のもよくありますが、それだと用意した道具箱に入らないので僕は平たい形のものをチョイスしています。
    • USBチャージャー
      iPhoneやiPad、上述のバッテリーなどUSBポートから給電する類のガジェット用のツールです。これもAnker製品。USBポートが5ポートあり一度に5台の機器を充電することができます。5台なんて充電しないように思われるかもしれませんが、iPhone、iPad、会社携帯、モバイルバッテリーを一度に充電することも少なくありません。僕も当初は5ポートは多すぎかなと思いましたが、今では満足しています。なお、電源プラグとこの機器を繋ぐ電源ケーブルは20cm程度の短いものに変更しました。長いとかさ張るので。[amazonjs asin=”B00IDTILEW” locale=”JP” title=”Anker 40W 5ポート USB急速充電器 ACアダプタ PowerIQ搭載 iPhone6/iPhone5C/5S/5/4S/4/iPod/iPad/Xperia/GALAXY/ウォークマン等対応 【PowerIQ搭載】”]
    • USBケーブル
      10cmのLightningケーブルと10cmのマイクロUSBケーブルをそれぞれ3本常時携帯しています。前者はApple製品用、後者はモバイルバッテリーや会社携帯用です。10cmという短さは不便な時もありますが、持ち運ぶ際にかさ張りません。[amazonjs asin=”B00FA4Y82W” locale=”JP” title=”Amazonベーシック Apple認証 (Made for iPhone取得) iPhone5、5c、5s、6、6PLUS用 ライトニングUSBケーブル 約10cm ホワイト”][amazonjs asin=”B00DVT96RK” locale=”JP” title=”エレコム 充電専用 Micro-USBケーブル/0.1m/ブラック”]
    • モバイルWiFiルータ
      宿泊先のホテルや、訪問先のオフィスなどで自分専用のWiFiネットワークを作ることができます。ホテルのWiFiに直接接続してもいいのですが、iPhoneやPCなど複数の機器を接続する場合各機器でそれぞれログイン等をする必要があり、面倒です。このモバイルルータがあればデバイス側からはいつものネットワークに見えるので、自動で接続してくれます。ただ、そこに有線LANがない場合は使えませんし、有線LANがあってもウェブページでログインすることでユーザ認証する類のネットワークには使えないことがおおいです。なので最近はほとんど使ってないかも……。[amazonjs asin=”B00BWBPTQG” locale=”JP” title=”PLANEX ホテルでWiFi USB給電型 無線LANルーター ホテル用 11n/g/b 150Mbps ちびファイ2 MZK-UE150N PS4・AppleTV・iPhone・Android対応”]
    • フライトアダプタ
      古い機材の飛行機では、まだ機内で映画等を見るためのイヤホンコネクタが2穴方式だったりします。この片方に自分の持っているイヤホンのステレオミニプラグを挿しても、片側しか聞こえません。両耳で聞くためには座席備え付けのクソヘッドホンを使うしかない。そんな場合でも自分のイヤホンを使えるようにするのがこのフライトコネクタです。カナル型イヤホンにフライトコネクタを装着して映画を見るとエンジン音等のノイズの影響を受けずクリアに聞くことができます。

    • その他
      他にも色々細かいアイテムが。時差のある地域へのフライト用の睡眠導入剤や、なんとなく興味本位で買ったiPhoneをクレジットカード決済端末にするサービス「Square」のカードリーダ、予備用のイヤホンや小型ノート&ペンなど。これらを全部合わせて無印のターポリンモバイルケースに入れています。

僕のカバンの中に入っているのは概ねこんな感じです。
これら諸々含めて重量はかなりのもの。やっぱり重いですね……。TUMI Alphaのエキスパンダブル且つ3-wayで背負えるモデルが出たら真っ先に買うのですが……。

愛しのGili Trawangan。

インドネシアで暮らしていた時はインドネシア国内色々なところに旅行に行きました。そのほとんどがダイビングのためでしたが、泣く子も黙る世界的リゾートであるバリを始めとして、ボロブドゥールやプランバナンなどの世界遺産のあるジョグジャカルタ、秘境というより魔境と言っても過言ではないダイビングリゾートRaja Ampat、メナード化粧品の名前の由来と言われているが実は違うらしいマナドなどなど、主要なスポット制覇には全然及びませんが、それでも色々行ったと思います。

そんなインドネシアのの中でも僕の超お気に入りの一つがギリ・トラワンガンです。

ギリ・トラワンガンとは、バリ島の右隣にあるロンボク島の北西部に並んでいる小さな小さな3つの島の一番左側。この3つの島は「Gili Islands」と言われており、ロンボク島に近い側から「ギリ・アイル」「ギリ・メノ」そして「ギリ・トラワンガン」という順に並んでいます。ギリ・トラワンガンはこの3島の中で最も大きく栄えている島です。

一般にバリに対してロンボクは非常にのどかでその分物足りなさを感じるのですが、そのロンボクの脇にちょこっと存在するギリはそんなバリの華やかさとロンボクの素朴さの両方を兼ね備えたような完璧な場所。「楽園」という言葉がぴったり当てはまる場所です。
ただ、その立地のせいか、まだ日本人にとってはマイナーな存在のようで、ウェブ上で日本語の情報を見かけることがあまり多くありません。なので本エントリーでちょっとご紹介したいと思います。

  1. 出会い
    僕が初めてギリを訪れたのは2012年の3月でした。ジャカルタでの長い不法就労時代を終え、ようやくジャカルタに居住し始めたのが2012年の1月。そのジャカルタ生活における目標の一つに「連休は絶対に旅行に行く」というものがありました。とはいえ海外での勤務、さらに立ち上げ直後の会社となるとなかなか旅行のことを考える機会もなく、また誘ってくれる現地の友人もその頃はまだいない。ふと気づくとその年最初の連休まで残りあと3日に迫っていました。
    「しょうがねえ、この連休は家で過ごすか」なんて考えがふと頭をよぎりましたが、目標設定したのはそんな怠惰な気持ちに流されないようにするため。色々調べてみると「夜な夜な爆音で踊り狂い飲んだくれるパーティアイランド」としてこのギリ・トラワンガンが紹介されているウェブサイトをたまたま見つける。「これだ!」と思い直後にホテルとフライトを手配、ギリに行くことに。
    3日前に手配したため旅程は最悪で、金曜の晩にホテルに到着し、日曜の早朝にチェックアウトするというものでした。ただ、初めて行ったギリ・トラワンガンは本当に素晴らしかった。海や空が圧倒的にキレイなのは当然ですが、非常に清潔でナイスなホテル、秩序あるビーチ、釜で焼いたピザなどの美味しい料理、そして夜はガンガンに盛り上がっているクラブなど、観光地として非常にクオリティが高い。シャビーなホテル、「自然、それはつまり野ざらし」といった趣のビーチ、ナゾの地元メシ、夜は早めに就寝、といった田舎リゾートには全く馴染めない僕にとっては文句のつけようのない完璧な場所でした。ほぼ1日だけの滞在でしたが非常に満喫し、すっかりギリの魅力にハマってしまいました。
    ちなみにこの時はまだダイビングを始める前。ガールフレンドも連れておらずマリンスポーツをしそうにもない生っ白いアジア人男性が一人波打ち際でシャパシャパしたりウロウロしたりガンガン踊ってたり、という姿は他の人から見て非常に奇異に映ったと思います。この辺の自意識過剰さに起因する「このままだとGili再訪の理由がない」という危機感、実はこれが僕がダイビングを始めようと思ったきっかけです。
  2. 交通
    さて、そんなギリ島ですが、どのように行けばいいのでしょうか。
    ギリへの行き方は大きく分けて以下の2通りあります。

    1. ロンボクから行く
    2. バリから行く

    ロンボクから行くルートは、飛行機でロンボク島のマタラム空港まで行き、そこから陸路でバンサルの港まで、バンサル港から船でギリに渡るルートです。主に陸路が2時間、海路が30分程度です。このルートのいいところは海路が短いところ。船移動が苦手な方にはこちらの方がオススメ。ただしデメリットは、陸路が山道且つ舗装の質がよくないので揺れて結構しんどいところ、そしてロンボク行きのフライトの本数が少ないことです。陸路はクネクネガタガタしてるので結構体力を削られますし、またフライトの本数が少ないために旅程を柔軟に組むことができません。加えてバンサル港からの海路にも難が。選択肢は公共フェリーかプライベートのチャーター船になりますが、前者は圧倒的に安い(数百円レベル)ものの時間が早朝1便のみ、且つその周辺にはダフ屋的怪しい輩が多いため、結局後者を選択することになります。しかし後者はホテルに手配を依頼すると、片道1万円近くかかる場合も。もちろん空港までの陸路を含めた送迎の価格ですし、大勢で行けばその分一人当たりの額は安くなりますが、金銭的にもちょっと大変です。
    これに対しバリから行くルートは、飛行機でバリ島まで行き、そこから船でバリに行くルートです。バリ島からはサヌールエリアを始め色々なエリアから船が出ているので、空港からの陸路はそこまで時間がかかりません。一方海路は2〜3時間。このため船移動が苦手という方にはちょっと大変かもしれません。とはいえバリまでのフライトはジャカルタや他国からも非常に本数が豊富なので旅程が柔軟に組めますし、船も大型であればあまり揺れないので、個人的にはこちらの方が圧倒的にオススメです。
    バリからギリまでの海路を運航しているスピードボート会社は昨今では色々ありますが、オススメなのはBlue Water Express。サヌール近くのセランガン港から出航しているので、空港からもサヌールエリアからも30分そこそこで港に到着することができます。そこからギリまでは船で約2時間。料金は2014年9月現在で往復1,200,000ルピア、日本円で約12,000円程度です。そんなに安くはないですが、船トラブルや荷物トラブルなどで揉めるよりはマシなので、許容範囲内です。

  3. 宿
    ギリ・トラワンガンの宿はAgodaやExpedia等で簡単に検索し、手配することができます。選択肢はたくさんあるのでその中からご自分の予算や好みに合わせて選んでください。ただ、選ぶ際にいくつか知っておいた方がいいことがあります。

    1. 島の東側のホテルを選ぶ
      最近では島の西側や北側にもナイスなホテルができつつあります。これらはナイスなファシリティな割に価格も安く、とてもお得に見えます。でもやめておいた方がいいです。ギリの街は東側にある港を中心に広がっており、主要なレストランなどは東側に集中しています。ギリ・トラワンガン自体は小さい島で徒歩で一周できるようなサイズですが、それでも歩いて一周するには2〜3時間かそれ以上必要です。食事の度に島を半周するのは大変。悪路のため自転車での移動も長距離は大変ですし、街の唯一の公共交通機関である「チドモ」(馬車タクシーです。島では車やバイクなどガソリンを動力とする車両は走っていません。)は、片道50,000ルピア=約500円と非常に高い。やっぱり徒歩で全て事足りる東側の宿にしておいた方がいいです。
    2. 真水が出るホテルを選ぶ
      そんな小さな島なので、電力や真水は貴重な資源です。一部のホテルでは脱塩装置を持っておらず、シャワーは塩水です。「塩水シャワーでも問題ないじゃん」という人はいいのですが、「塩水シャワーってシャワー浴びる意味ないんじゃない?」という僕のような人は、ホテルを選ぶ際に注意した方がいいです。恐らくAgodaのページを眺めていても塩水か真水かは書いていないため、レビューから関連する記述を探すか、ホテルに直接聞いた方がいいと思います。

    以上を踏まえた上でのオススメは下記の通りです。

    1. Villa Almarik
      ぼちぼちシャビーな雰囲気は漂いつつも様々な点で及第点。今まで泊まった中ではなんだかんだで一番よかったのではないかと思います。部屋は清潔でエアコンはあり、重要な水回りも清潔且つ真水シャワー。難点は朝食がそんなに美味しくないことと、街まで少々歩くこと。それでも朝食なんて大して重要ではないし、街までは自転車を借りれば済むことなので、大きな問題ではありません。
    2. Vila Ombak
      非常にちゃんとしたホテル。客室数が多いので滅多に満室にならないし、部屋もキレイ。立地もよくLombokまでのプライベートチャーター船はホテルの目の前から出るので移動がとてもラク。ただし唯一残念なのが、シャワーが塩水であること。この一つの難点故に僕はここには泊まりません。真水であれば絶対ここに泊まるのに!!塩水が気にならない人にはオススメ。
    3. Ombak Sunset
      Vila Ombakの系列ホテル。初めてGiliを訪問した時に滞在したホテル。「こんなに小さな島にこんなにちゃんとしたリゾートホテルがあるんだ!」と驚いたのをよく覚えています。カップルでの旅行にも耐えうる清潔感とゴージャス感。朝食もナイスだしシャワーも真水、目の前のビーチは素晴らしいしビーチ併設のレストランも美味しい。しかし唯一残念なのが立地が西側であること。この一つの難点故に僕はここには泊まりません。東側にあれば絶対ここに泊まるのに!東側には行かずにホテルの中で全て完結させる人には超オススメ。
  4. 食事
    ギリ・トラワンガンの東側のメインストリートには様々なレストランがひしめき合っています。多くのレストランにはピザ焼き窯が設置されていて焼き立てのピザが食べられるし、料理の種類も「シーフードバーベキュー」的短絡的名物料理に留まりません。そんな数多あるレストランの中でもオススメはこちら。

    1. Pesona Indian & Sheesha Restaurant
      シーシャに釣られて入ったこの店。ビーチの上に東南アジアでよく見る三角形のクッションを並べてそこでダラダラ寝っ転がりながらシーシャを嗜むスタイル。夕飯前にちょっとダラダラするかと思って入った後に夕飯もここでいいかと思い何気なく注文したインドカレーが衝撃が走るくらい美味くて感動。都会度ではGiliの比ではないジャカルタでもこんなに美味しいインドカレーを食べられるかどうかというレベルです。Giliに来たら絶対に行く店。最近は三角形のクッションがどんどん汚れて&ヘタってきているのが玉に瑕かも。
    2. Kayu Cafe
      わざわざこんな島にまで来てスタバ的なカフェに入らなくても、と思うかもしれませんが、やっぱりこういうスタイルはなんだか都会感を思い出させてくれて落ち着きます。オープンエアな店がほとんどなGiliの中で珍しく店内にエアコンをきかせ、WiFiを導入し、ナイスなスムージーを飲ませてくれる店。連日のビーチな雰囲気に少し疲れた時にどうぞ。
    3. Il Pirata
      ピザが美味しいイタリアンのお店。なぜかインドネシアはジャカルタでもバリでも美味しいイタリアンのお店が多いのですが、ここもそう。ビーチ沿いエリアではなくちょっと奥に入った立地に現地の人向けの食堂のような趣で佇んでいるのでちょっと入るのが憚られますが、味はとてもいいです。とても美味しいナイスなピザとビールで1000円しないくらいです。
  5. エンターテインメント
    ギリでのエンターテインメントは非常に豊富です。なかでも特筆すべきはなんといってもマリンスポーツ。ダイビングのみならずサーフィンやその他のマリンスポーツは大体エンジョイできます。さらにマリンスポーツのみならずヨガやマッサージ、映画やナイトクラビングなどなど結構色々楽しむことができます。狭ーい島にこんなにもバラエティ豊かなエンターテイメントが揃っているのも僕がギリギリ・トラワンガンを気に入っている理由です。

    1. ダイビング
      ギリのダイブショップはほぼすべてGili Islands Divers Associationという組合に加盟していて、料金はどの店も同じです。基本的にはファンダイブ1本USD35(レンタル器材込)で、5本潜ると5%ディスカウントとかそういう感じ。ダイビング練習用のプールを持っているショップも少なくなく、ダイビング未経験な人でもライセンス取得から始めることも可能。ダイブサイトは大体Gili3島周辺、ボートで10分くらい移動して潜ります。Gili周辺の海には大物は一切いませんが、流れがほとんどなくとても穏やかで、砂が白いためとても明るく、水族館のようなカラフルな魚やサンゴが楽しめるためリラックス用としては最高のポイント。透明度は20m-30mくらい。ダイブショップは島に着いてからウロウロしつつ探してみるのもいいかもしれません。
    2. ナイトクラブ
      ギリ・トラワンガンのメインストリートにはレストランが並んでいますがその多くは夜が更けているにつれてバーに、そしてナイトクラブに変わっていきます。中でもRudy’sというお店の金曜日が一番盛り上がっています。音楽はTop100を順番にかけているようなポップEDM全開ですが、島中の観光客がそこで踊りながら飲んだくれている様子は結構壮観です。なおウォッカレッドブルが250円くらい、且つその8割がウォッカだったりするので飲み過ぎには注意。続いて好きなのはBlue Marlinというお店の月曜日。こちらは少しポップ度を下げた玄人好きのするTech House〜Progressive House界隈の選曲。それでも十分僕にはハデですが。他にもあまり人が入っていないバーでナイスな選曲をしているDJがいたりして、結構面白いです。
    3. ヨガ
      実は僕が人生で初めてヨガを体験したのがギリ・トラワンガンでした。島の東側メインストリートにはGili Yogaというヨガセンターがあり、朝7:30と夕方17:30の一日二度、ヨガのプログラムがあります。「こんな島にこんな場所が!」というようなオープンエアなヨガ道場でヨガをやるのですが、ちょうど夕方の部は日が沈むタイミング。ひとしきり汗をかいた後で目を閉じつつ風を感じ、日が沈んでいくのを身体で感じることができるのはとても心地よい体験でした。値段はIDR100,000、日本円で約1,000円です。
    4. マッサージ
      Giliの物価は高いのか安いのかよくわかりません。都会から離れた街なので基本的には物価は高い方だと思いますが、そもそもインドネシアの物価が安いこともあり、あまり実感しません。ただそんなGiliでも非常に高いものがいくつか。一つは馬タクシー「チドモ」。ジャカルタでタクシーに乗ると初乗り100円以下ですが、チドモは500円。高いです。もう一つ高いものはマッサージ。マッサージなんてものはほとんど労務費が原価なので安いはずですが、ここではとても高い。バリでフットリフレクソロジー60分500円くらいのところ、ここでは1,500円くらいかかります。3倍です。バリが安すぎるのかもしれませんが。ただダイビングやサイクリングで疲れた身体をほぐすのはやっぱり気持ちがいいですね。
    5. 映画
      僕は観たことがないのですが、ギリには映画館もあります。映画館というか、おそらくビーチに椅子を並べてプロジェクターでDVDを投影しているくらいのことだろうと思いますが。クラシックな旧作も人気の新作も織り交ぜていて、その作品チョイスはなかなかおもしろいです。
    6. ハイキング
      ギリ・トラワンガンはとても小さな島なので自転車があれば1時間程度で島を一周することができます。一度トライしてみましたが、島の半分くらいは道が整備されておらず自転車での走行はほぼ不可能、自転車をひきながら砂浜を歩くのは少々死ぬ思いでした。二度とやらないと思います。

この通り、ギリ・トラワンガンはその小さな島に本当に多彩で質の高いエンターテイメントがぎっしり詰まったリゾートです。最近欧米の方々にはかなりメジャーになってきていて、行く度にどんどん混んできている感じがするのですが、一方そこでアジア人観光客の姿を見ることはほとんどありません。そんなギリ・トラワンガン、バリ旅行のついでに少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

オレ流旅先セルフ洗濯術。

海外出張や旅行の際、常に悩まされるのは荷物の量です。
荷物の量が多いと容量の大きいスーツケースが必要になりますし、大きいスーツケースは旅行中の機動力を下げ、機内持ち込みができないためにバゲージクレームで延々待たされる原因になったりします。荷物が多くても梱包時の工夫、コツによって小さいスーツケースでも間に合ったりすることもありますが(例えば、僕はランニング用のウェアをパッキングする際はランニングシューズの中に突っ込んでいます)、根本的な解決はやはり荷物の量それ自体を減らすことです。

旅行に持っていく荷物を減らすために一番効果的なのは、「セルフ洗濯」という作業を導入することです。
こちらのサイトには旅行日数と旅行に持っていくパンツの枚数から旅行期間中に必要な洗濯回数を瞬時に確認できる早見表が掲載されていますが、これによると例えば15日間の旅程では、洗濯をしなければ15枚のパンツが必要になるところ、洗濯を2回(5日に一度?)するのであれば持っていくパンツ量は6枚にまで減らせる、ということです。
なお、旅慣れた方々の中には「下着は全て消耗品で、現地調達するのでスーツケースに詰めていく必要も洗濯する必要もない」という方もいらっしゃいますが、これはお金があって旅先にナイスなパンツ屋があってパンツ以外は服を着ないというケースにのみ当てはまると思うので、個人的にはオススメできません。また「洗濯代なんて会社が全部負担してくれるよ」という方でも、さすがにプライベートな旅行の時の洗濯代まで負担してくれる会社はそう多くないと思うので、やはり洗濯は考慮に入れておいた方がいいと思います。バリ島のように依然人件費が安い地域のランドリー費用は依然低価格ですが、東南アジアであったとしてもそこそこの都市のそこそこのグレードのホテルではランドリー費用はシャツ1枚800円くらいはかかってしまいます。

僕の場合は基本的に「3日に一度」という頻度で洗濯をするため、3日以上の旅程であれば1週間の旅行でも1ヶ月の出張でも持っていく荷物の量はあまり変わりません。「3日に一度」にしているのは、1週間に二度程度の洗濯であれば許容できると想定しているためです。厳密に言えば、3日のうちに止むを得ず洗濯できないような場合も考慮し予備としてパンツをもう1枚持っていくため、「3〜4日に一度」ですね。

ただこのセルフ洗濯を上手にこなすのは結構難しい。
僕もかれこれ数年間この難題に挑んでいますが、依然として最善の所作、道具を見つけるには至っていません。ということで、本エントリーでは僕の出張旅行時の洗濯に伴う四苦八苦の軌跡を少し紹介したいと思います。

洗濯のプロセスは一般的に下記の3ステップに分けられます。

  1. 洗い&すすぎ
  2. 脱水
  3. 乾燥

このうち、スキルの有無によって結果が最も左右されるのが脱水です。
洗い&すすぎは特に知識やスキルがなくても洗剤と水があればなんとかなります。やり方次第でラクとか大変とかはありますが、そんなにひどいことにはなりません。乾燥もそうです。基本的に吊るしておくだけ。「紐とS字フックは必携」など細かいスキルは色々ありますが、結果が大きく変わることはありません。

しかし、脱水はそうもいきません。

多くの人は洗い&すすぎの後手で絞るだけで脱水を完了させようとするでしょう。しかしこれでは全く足りません。この状態だと、下手すると乾燥に2、3日費やします。そもそも3日分の服でローテーションしようという計画なのに、その再生産のキモである洗濯に3日必要であるならばその計画は破綻していると言えます。
このため、手で絞る以上の脱水が必要になります。
この脱水スキルは、既に多くの方がご存知だと思いますが、ホテルのバスタオルを利用する方法です。バスタオルを広げてその上に洗って絞った洗濯物を並べ、巻き寿司のように巻いていく。巻き終わったらちょっと踏んでみたりして、衣服の水分をバスタオルに吸ってもらう。
こうすると、乾燥気味の部屋なら丸一日程度で乾きます。スポーツウェアなどであれば半日です。このスキルを知っているか知っていないかで、セルフ洗濯の仕上がりは大きく変わってきます。

ちなみに、バスタオルがふんだん配備してあるホテルに宿泊する場合は問題ありませんが、バスタオルの数が十分でない場合も考えられます。そんな時もフロントに電話すればタオル交換ぐらいすぐしてくれるのだとは思いますが、この対策として僕はこのようなタオルを脱水に使ってみています。このタオル、非常に薄手で普通のタオルに比べると脱水力がいささか劣りますが、コンパクトで持ち運びが非常にラクですし、当然洗濯物脱水以外の用途でも使えるので便利です。洗濯物の量が多い時でも一度脱水した後絞ればまた脱水に使えます。欲を言えば、このタオルを二枚重ねで使うことができたら最強ですね。

さて、上記の脱水スキルは既にトラベラーの間では常識と過言ではないスキルですが、実は最近脱水よりも奥深いと思っているのが洗い&すすぎです。
いや、正直洗い&すすぎなんて洗面台に水張って洗剤入れてその中でジャバジャバやればいいんですよ。そりゃそうなんですけど、時々ホテル据え付けの洗面台が小さすぎたりデカ過ぎたり、栓が壊れてたりそもそもなかったりして水を張れなかったり、なんだかんだスマートな方法論が未だ確立できていない。この部分をどう外部環境に影響されず、常に同じ動作で円滑に効率的にこなすか、これが最近の課題です。
というわけで、以下にその試行錯誤の軌跡をご紹介します。

  1. 洗面台でジャブジャブ
    最もオーソドックスなパターンです。何も考えずにできます。ホテルの洗面台に水を張って洗剤を入れてジャブジャブやるだけです。
    ただこの方法は、上述した通り洗面台の構造と洗濯物の量がうまく一致しなかった場合に結構面倒なことになります。洗面台の構造に問題がある場合はバスタブを使うという代替案もありますが、バスタブだとデカ過ぎて水の量に対して洗剤が追いつきませんし、ホテルによってはそもそも部屋にバスタブがついていない、なんてこともある。
    というわけで、手法としてはオーソドックスではあるものの、宿泊先の設備という外部環境に大きく影響されてしまうが故に安定しないのがこの方法です。
  2. 袋でジャブジャブ
    上述した「洗面台ジャブジャブ」の不安定さから脱却するために手を出したのがこの「袋でジャブジャブ」方式です。具体的にはこの「携帯用洗濯袋」を使います。
    これはスーパーマーケットの買い物袋のようなビニール袋を二重構造にしたもので、外側の袋は普通の袋、内側の袋は穴あき袋になっていて脱水に便利な作りになっています。袋の容量は大きく、Tシャツ3枚とパンツ3枚と靴下3足と少々くらいは余裕で収容可能。しかも袋に洗濯物、洗剤、水を入れ、袋の口を結んでからモミモミすれば手を濡らさずに洗濯することができます。
    ということでシンプルなソリューションながらなかなかよさそうに思えるのですが、この方法にもいくつかデメリットがあります。

    • 高い
      ただのスーパーの買い物袋のくせに2セットで700円くらいします。一応洗濯洗剤(一包)や洗剤計量用プラスチックスプーンや洗濯物干す用の紐なども同梱されているが、それにしても高い。高過ぎる。
    • 脆い
      この袋がもう少ししっかりした素材でできていてもう少し耐久性があればまだ上記の値段でも納得できたと思いますが、そこはただのスーパーの袋。2、3回使うとボロボロになってきて、再度スーツケースにしまって自宅に持ち帰ろうという気が起きません。必然的に旅先で捨ててくることになります。
    • 脱水用袋の意味がわからない
      穴が空いている袋はその構造上一見して脱水に便利そうに見えます。でも具体的にどうやって脱水するのか?という疑問に脱水作業を開始してから気づきます。思いつくのは袋の上からギューっと体重をかけて押して洗濯物の水分を絞り出すことですが、そんな脱水方法には全然効果はありません。振り回して遠心力で?なんてことも考えますが、宿泊している部屋の中を水浸しにするつもりもありません。結局洗濯物を一つ一つ手で絞るしかない。ならこの脱水袋いらなくない?

    というわけでこんなもんに金払うくらいならスーパーでもらった買い物袋をいくつか持参すればお金もかからずいいじゃない、という話です。
    他にももう少し作りが丈夫な袋もありますが、そちらはあまり容量が大きくなく一度にTシャツ1〜2枚程度しか洗えないのであまり実用的ではありません。

  3. ポータブル洗面器でジャブジャブ
    袋の次に導入したのがこの携帯用洗面器です。洗濯の方法論としては先述した洗面台ジャブジャブ方式とほぼ同じですが、宿泊先の洗面台の構造に左右されてしまう当該方式とは異なり、マイ洗面器を持ち込んでしまおうというのがこのアイデア。子供用プールの小さい版のようなアイテムで、空気を入れると洗面器、というか小さい子供用プールになる。直径30cm程度なので見た目は結構な小ささですが、不思議な深さがあって3日分の下着くらいだったらなんとか一度に洗濯可能。しかも空気を抜けばペタンコになるので持ち運びにも便利。
    これ、数回使ってみましたが、案外いいです。
    サイズが絶妙で取り回しがとてもラク、とはいえ容量が小さすぎるわけでもなし。耐久性もありそう。当面はこれを使おうと思います。
  4. ちなみに、番外編として洗剤について考察します。
    これは旅行用部屋干しトップ一択です。液体ではなく粉末なので海外旅行の際は余計な配慮が不要ですし、何より安い。色々なところに売っているのもメリットの一つです。基本的には洗濯機用に作られているため一回のセルフ洗濯で一袋使い切ることができずに余ってしまうのですが、それは書類用の小さなクリップでも使って止めておけばいい話。
    なお、本当に旅先でのセルフ洗濯専用の洗剤(こういうドイツ製のものとか)も売っているようですが、手荒れがひどい方以外は特段洗浄力が優位というわけでもなく、液体なので機内持ち込みには少し面倒で、且つ経済的でないためわざわざ選択する必要はないと思います。

    ここでご紹介したのは僕の試行錯誤の足跡で、僕もまだ理想郷に辿り着いたわけではありません。今後も自分のセルフ洗濯スキルの研鑽に励んでいきたいと思います。

日本語の曖昧さ。

最近海外で仕事をしていると、外国の方でも日本語が堪能な方に時々お会いします。特にベトナムでは日本語を学んでいる人口が他国よりも相対的に多い印象で、「日本に10年以上住んでほぼネイティブのように話せる」レベルまで行かずともそこそこにビジネスコミュニケーションができる人材がいるように思います。

ただ、昨今感じるのは、少なくともビジネスシーンではそういった人々とのコミュニケーションでも英語を使うべき、ということです。

日本語の場合、彼らにとっては外国語ですが、我々にとっては母国語です。一方、英語の場合の両者にとって外国語になります。このため、日本語コミュニケーションの場合は「外国語 x 母国語」、英語コミュニケーションの場合は「外国語 x 外国語」となり、前者の方が効率的にコミュニケーションできそうに見えます。
しかし、実際には前者の方が誤解が多い。

その理由は、日本語と英語の下記のような違いにありそうです。

  1. 助詞の扱いが難しい
    日本語における助詞、いわゆる「てにをは」は外国の方々にとって非常に難しく、間違えやすい文法のようです。しかし、日本語コミュニケーションにおいてはこのたった一文字を間違えただけで下記の実際にあった例のように意味が大きく変わってしまいます。

    「政府は、今にはXXと発表します。」

    これではこれが未来の話なのか(「政府は、今にXXと発表します。」)、現在完了の話なのか(「政府は、今ではXXと発表しています。」)が判断できません。このため、どちらの意図なのか再度確認する手間が生じるか、こちらで勝手に解釈することで誤解するリスクが生じるか、どちらかを誘発することになります。
    一方英語では、「名詞でも動詞でも接続詞でもない」「文字数/音節数が少ない」「間違えやすい」という意味で前置詞が似たような位置付けに当たるかと思いますが、前置詞を間違えても致命的にはならないように思います。”look at”と”look for”を間違えると意味は大きく変わりますが、あまりに大きく変わるため多くの場合文脈で判断できるためです。また”belong to”を”belong in”などと間違えても、意味はわかります。

  2. ハイコンテクストな言語である
    こちらのエントリーでも述べた通り、日本語はハイコンテクストな言語、つまり行間や文脈に意味を含ませ、省略を多用する言語であるため、日本人同士であっても省略部分の解釈によって誤解が生じるシチュエーションが散見されます。
    一方、英語はローコンテクストな言語であり主語や目的語が省略されることはあまりないため、誤解を誘発する可能性は低そうです。
  3. 単語が複数の意味を持つ
    これは英語も同様かもしれませんが、ある単語が複数の意味を持つため、下記の例のようにその解釈次第で誤解が生じることがあります。

    「XXさんが提案した先がわかったら教えてください。」

    ここで言う「先」が、「提案先」を意味しているのか、「提案した後の反応」を意味しているのか、よくわかりません。なお、上記は実は日本人の発言であるため、恐らく前者の意味であることは概ね確実と言えますが、これがあまり日本語が流暢でない外国の方の発言である場合、その解釈に確信が持てなくなります。
    上記の例の場合、英語では”who”か”what”の関係名詞によってどちらの意味か明確にわかります。

上述した理由のため、本当にネイティブのように日本語を操る方以外との会話はなるべく英語を使うようにします。対面ではすぐ確認ができるため誤解のリスクは減りますが、メール等の文章でのコミュニケーションの場合はなおさらです。
双方が誤解を避けるよう慎重に言葉を操れば日本語のコミュニケーションでも誤解は減らせるかもしれませんが、その場合は日本人にとっても外国の方にとっても、英語を運用するよりも多くの配慮を必要とするように思います。特に日本語を話せる外国の方は十中八九日本語よりも英語を得意としているため、英語でのコミュニケーションの方が相対的にラクに誤解を減らすことができます。

というわけで日本語が英語にとって代わってグローバルビジネスシーンにおける標準語になるのは中々難しそうだなあと思う次第です。

効果的なIT投資;飲食店の場合。

もはや日々の生活、業務と切っても切り離せなくなっているITですが、その投資対効果とか意義というものは、空気や健康のありがたさみたいなもので意識しないとなかなか感じることができないように思います。そんな中、先日職場の人と行った大手居酒屋チェーンで久々に意義が見えやすいIT投資の例を見かけたのでちょっとご紹介したいと思います。

そのお店で僕が感心したのは下記の2つでした。

  1. タッチパネルオーダーシステム
    最近大手居酒屋チェーンではよく見られるようになったタッチパネル式の注文システムです。このシステムが顧客にもたらす価値が、基本的に下記の2点。

    • オーダー処理の迅速化(注文からデリバリーまでのリードタイム短縮)
    • 注文履歴・注文金額の確認

    後者はそこまで大した機能ではありませんが(それでもないよりあった方がいい)、それよりも前者の価値は素晴らしかった。他店ではここまで感心しなかったので、この店がちゃんとこのシステムに合わせて現場オペレーションを最適化していたということでしょうか。
    そもそも居酒屋でのオーダー処理を分解すると下記のようになります。

    1. 店員を呼ぶ
    2. 注文を伝える
    3. 注文した商品がデリバリーされる

    タッチパネルオーダーシステムは上記のうち「店員を呼ぶ」「注文を伝える」プロセスを排除します。特に前者は「呼び出しボタン」実装によって改善されている店もありますが、基本的に時間がかかるプロセスです。これを排除することによってリードタイムはかなり短縮できる。且つスタッフにとっても「注文を聞きに行く」業務を排除できるので、それ以外の「商品デリバリー業務」「テーブル片付け業務」「来店客案内業務」等にフォーカスできます。
    ちなみにこの店では「あ、ビールお代わりしよ」と思ってから実際にビールがデリバリーされるまで体感で30秒〜1分でした。酔っている時の体感なので実際何秒だったかは定かではありませんが、それでもその場で実感するくらいデリバリーが早かった。
    このリードタイム短縮は店舗側にも売り上げという意味でポジティブなインパクトがあったと思います。リードタイム短縮のお陰で僕らのビール消費量は確実に増えていました。このオーダー数の増加は単純に店舗の売上増に繋がります。

  2. 予約コールセンター
    もう一つ感心したのは予約用のコールセンターでした。
    今回利用した店舗はランチ営業をしていないので、店舗の開店時間は17:00でした。このため、社員やスタッフの出勤時間は16:00頃。つまりそれ以前の予約の電話は店舗に誰もいないために受けられません。電話しても誰も出なければ、客は他の店舗に乗り換えるだけです。予約用のコールセンターはこの機会損失を解消します。
    面白いなと思ったのはこのコールセンターの対応時間でした。コールセンターは10:00から15:30まで対応し、それ以降は店舗で対応することになります。確かにコールセンターでの予約受付体制と店舗での体制を重複させる必要はないので、これは正しい設定だと思います。問題は窓口が時間外の時の対応、つまり「15:30前に店舗に電話した場合」15:30以降にコールセンターに電話した場合」、もしくはどちらも時間外の場合の対応ですが、ここも「営業時間外の店舗への電話はコールセンターへ転送」などの運用設計がなされているものと推察します。

こういったIT投資に感心する一方、意義がよくわからないIT投資も見かけました。

上述した居酒屋で飲んだ後にバーに行ったところ、そのバーでもオーダーシステムが導入されていました。上述の居酒屋と異なるのは下記の点。

  • システムは専用端末ではなくiPad touch + 専用iOSアプリ
  • 操作者は客ではなくバーテンダー

後者の特徴故に端末を全席に導入する必要がなくなり投資額の抑制にはなりますが、そもそもフロア面積50平米程度、客席数20程度の店舗でこのシステム導入は必要だったか。
少なくともデリバリー時間の短縮には繋がっていないし、客が操作する端末ではないので注文履歴等も確認できない。顧客側メリットはあまり確認できません。また、客が注文するお酒やカクテルが全て網羅的にこのシステムに登録されているわけではないので、イレギュラーな注文が入ると商品名や価格を入力する必要が生じ、むしろ時間がかかる。店舗側のメリットとして「売上集計の迅速化及び漏れ防止」といったものは考えられますが、後はこのメリットに対して投資額が見合うかどうか。
店長曰くこのiOSアプリの開発は外注したとのことなので、ソフトとハードを含めて投資額は少なくとも50万円程度にはなっていると思われます。この一方で売上集計の非効率さによる経済的損失はせいぜい店長の数時間分の労務費で、そんなものはサービス残業的にうやむやになっているはず。オーダーの漏れ防止は紙伝票運用の徹底でも対応できそうだし、その意味で50万円のIT投資を正当化する材料を見つけるのはなかなか難しそうです。

というわけで、効果的なIT投資はそれがもたらす価値を踏まえて設計し、またそれに合わせてオペレーションも構築していかなければならないんだなあと学んだ1日でした。

会社、仕事、人間関係が「もうイヤだ!」と思ったとき読む本 (斉藤 茂太)

先日、ウェブ上で「 うつ病になりにくい人ってどんな人?共通する6つの傾向」という記事を見つけました。
曰く、下記の条件に当てはまる人はうつ病になりにくいとのことです。

  1. 部屋が汚い
  2. 遅刻しやすい
  3. 忘れ物をしやすい
  4. 仕事や勉強がいつも一夜漬け
  5. 好き嫌いによって集中力や完成度の差が激しい
  6. 感情や好不調に波がある

僕はほとんど当てはまりません。
以前はすぐ部屋を散らかしてしまう方でしたが、今は掃除する頻度と掃除内容を決めてその通りに実行することで部屋をキレイに保とうとしています。遅刻は依然してしまいますが、忘れ物はスマホアプリを使って忘れ物をしないように心がけています。(詳細はこちらのエントリー「オレ流海外出張手配術。」参照)仕事や勉強も基本的には計画を立ててからとりかかりますし、こちらのエントリー(「汎用性と好き嫌い。」)にも少し書いた通り、好き嫌いによって集中力や完成度が影響されることはあまりありません。瞑想や乗馬、適切なストレスコーピングによって感情や好不調の波もできるだけなくそうとしています。
実はこういう性格上の傾向とうつ病のなりやすさの間には統計的に有意な相関はないそうですが、とはいえ上述したような自分の性格を振り返ると「なんか、あぶねえな」と思うこともあります。

これまでの人生で一番「あ、おれ今あぶねえかも」と思ったのはインドネシア駐在期間の初期でした。
駐在したばかりなので日本人の知人友人は現地におらず、会社にいる日本人は上司である社長だけ。何の実績もない若造の僕がマネジメントとしてインドネシア人同僚の上司になることについて彼らどう思われているか常に怯えつつ、全く経験したことのない大量の業務を日々こなす。設立直後で社員数人の時期には仕事に穴をあけるわけにもいかず、かといって愚痴を言う相手もストレス解消の手段もない。食事も安心できないので食べるのは毎日バーガーキングのハンバーガー。
結局、社内でのある事件に前後して「このままだとヤバいなあ」と感じたため、色々なやり方を試し、自分なりの力の抜き方、息抜きの仕方を習得しました。

さて、本書は色々イヤになった人に対する、気の持ち方やストレス解消方法などに関するちょっとしたアドバイスを集めた本。人生の先輩が語りそうな短めの短編アドバイスを編纂したもので(実際に語っているのは人生の先輩だと思いますが)、そのアドバイスの多くは「まあそうだろな」という感じのもの。それらの多くはそこまで新鮮味があるものではありませんが、やっぱりこうして自分で自分を逃がすこと、自分で自分を逃がせることを知ることはとても重要だし、知っていると強いと思います。

先述したような、僕が駐在時代の試行錯誤から学んだことに符合することもいくつかあったので、ここではその一部をご紹介してみたいと思います。

  1. 「『ほんとうの休養』をとる
    著者によると、「休養には【安静にしている休養】と【適度に刺激を与える休養】の二種類があり、心を回復させるには後者が重要」だそうです。基本的に平日頑張って仕事するとくたびれてしまって休みの日には長く寝たり、なるべく体力消耗を避けて家でゆっくりしていたいと思いがちですが、案外そうした方がくたびれたりする。「ダラダラ疲れ」的なやつです。資産運用においてリターンを得るには投資が必要だというのは当たり前の考え方ですが、これは体力活力にも同様に言えることではないかと思います。「あー今週くたびれたなーゆっくりしてたいなー」と思いつつも、そこでちょっと気合いを入れて美味しいものを食べに出かけたり運動したりしてみる。投資をすれば必ずリターンが得られるわけではない、という点も資産運用と同じですが、これまでの経験上ではやはり投資をしないとリターンは得られないようです。体力を回復するにはまず体力を投資する。案外投資先を見つけるのが大変なのですが、うまく安定した投資先を見つけられれば資産は安定します。
  2. 「癒しの趣味を持つ」
    本書ではリフレッシュの方法として趣味を持つことを薦めています。まあ当たり前の話です。というか「癒しの趣味を持つ」なんて言ってる割には本書で例示されている趣味は癒やされるものばかりではない気もしますが、僕も「癒しの趣味」を持つことには賛成です。「癒しの趣味」なので「長時間ゲームする」とか「キックボクシングに打ち込む」なんてのはちょっと違う気がします。リラックスできて「あーもうなんか色々どうでもいいわー」と思える瞬間をもたらす趣味。僕にとってはそれがダイビングで、駐在時代にダイビングに出会えたことはとても幸運だったと思います。ダイビングにはマンタやジンベイザメとの遭遇を目指す「大物派」や小さくてキレイな生き物を写真に収める「マクロ派」など色々ありますが、僕はどちらかというと明るくて平坦で波のない海をただ力を抜いて漂いたい「脱力派」です。ダイビングで癒され、かつダイビングが終わった後もビーチでダラダラとビールを飲んだりしていると本当に癒されます。ダイビング以外にもヨガや散歩など癒しの趣味は色々あると思いますが、そういうのを一つ持っておくと色々強くなれそうです。
  3. 「悩みを文章化する効用」
    本書では悩んでいる気持ちをスッキリさせたり冷静になったりするために「悩みを書き出す」ということを推奨していますが、これ、本当に効きます。駐在時代は自分の行動を可能な限り記録しようとしていました。そうしないと、日々仕事に忙殺される中で自分が何を得たか、どういう成長をしたか、何に悩んで何に苦しみ、そこから何を見つけたか、全て忘れてしまうと思ったためです。海外駐在という貴重な機会をとことんしゃぶり尽くすくらい糧にするには、こういうのを忘れないようにする必要がある、そのためにはできる限り記録に残しておく必要があると思っていました。そうしているうちに、仕事中に悩んだことや憤ったこと、フラストレーションを感じたことをメモするようになりました。最初はただその時の感情を書きなぐるだけ。「ムカつく」とか「ヘコんだ」とか。しかし、「これじゃあ後から読み返してもなんでムカついたのかようわからんな」と思い、次第にその時の感情に加えそれに至る経緯や、じゃあその時自分はどうすればよかったのかといった考察も合わせてメモするようになりました。この考察を書いている時にはもう当初の感情は他人ごとのようになっていて、ただの分析対象になっている。ここまで来るともはやモヤモヤやイライラはいつの間にか霧散してしまっています。この「悩みを文章化」すること、本当にオススメです。

「目の前にはただ現象しかなくその解釈は全て自分に委ねられている。」というアドラー心理学的な考え方は僕はとても好きなのですが、本書にも同様の考え方が通底しているように思います。特に最後の二節、「自分は幸せだと思えば幸せになれる」「『もうイヤだ!』ではなく『もう大丈夫!』」は、まさに自分が世の中を眺めるその見方を変えさえすれば全てが一転することを表しています。
実はそんなこと、みんな知ってるのですが、苦しい時にはついそれを忘れてしまう。自分に「見方を変えてみよう」と話しかけることや、自分を休ませること、リフレッシュさせることを忘れてしまう。若い時にはそれでも有り余る体力精神力で走り抜けられたりするものですが、若くなくなってくるとちょっとしんどい。

難しいのは、こういった自分の休ませ方やリフレッシュの仕方はその時の状況、住んでいる場所や可処分所得によっても大きく変わるし、人によって様々である点です。インドネシアではなんとか良いバランスの取り方を見つけられた僕も、日本に帰ってきてからはまだうまい方法を見つけられていません。ただ、上述したやり方を知っているだけで、「まあ自分はなんとなく大丈夫だろうな」と思えています。もしかするとこれが一番の学びかもしれません。[amazonjs asin=”B00DELXZDQ” locale=”JP” title=”会社、仕事、人間関係が「もうイヤだ!」と思ったとき読む本 (あさ出版電子書籍)”]

知的複眼思考法 (苅谷 剛彦)

昨今ワイドショー等をいくつかのトピックが賑わせているようです。STAP細胞、美味しんぼの鼻血、都議会での野次や新宿での焼身自殺、そして集団的自衛権の閣議決定。僕はあまりテレビを見ないのでワイドショーがどの程度盛り上がっているかはあまりわからないのですが、Twitterなどウェブ上では多いに盛り上がっている(いた)ように見受けられます。

これらの話題はなぜここまで盛り上がったのでしょうか。
それは平たく言えば議論が白熱したからだと思いますが、では議論が白熱するために必要な要素とは何でしょうか。

1つ目の要素は、「その論点がアツくなれるトピックであること」だと思います。これは概ねその人のアイデンティティやナショナリティ、イデオロギーや「正義感」に関連するトピックであれば要件を満たしそうです。
「女性差別」「行き過ぎた資本主義」「国益」「人命」などなどのトピックは、これらを喚起するのにぴったりなトピックであるように思います。

もう1つの要素は、「容易には議論に決着が着かないこと」だと思います。
簡単に白か黒かがわかってしまうようなトピックは議論を重ねる必要がないのであまり盛り上がりません。誰であっても「戦争に賛成か?反対か?」と問われたら「反対」と答えるでしょう。しかし決着がなかなかつきにくいと議論が議論を呼び、白熱します。

冒頭で述べた騒動を観察していて思うのは、この2点目の要因「容易には議論に決着が着かないこと」が「論点がごっちゃになる」ことによって生じているのではないか?ということです。

例えば、都議会での野次についてはざっくり言って「野次の内容に関する是非」と「野次られた女性都議の資質」という2つの論点が錯綜していたように見えました。この各論点に対する考えの違いから、「野次った男性都議を批判する立場」と「野次られた女性都議を批判する立場」に別れていたように思います。
前者の論点について考える人は「相手が誰であろうと女性差別、セクハラは許されない」という立場で野次った男性都議を批判しました。こちら側の人々にとっては、その女性都議がどういう人間であったかはあまり問題ではありません。相手が誰であろうとセクハラは許されないという立場だからです。
一方、後者の論点について考える人は、女性都議の資質、過去の経歴や言動を考慮に入れた上で、「野次られても仕方ないのでは」という立場を取りました。

本来はこの2つの論点、全く独立したものなので、前者に対する賛成と反対と、後者に対する賛成と反対で、2 x 2 = 計4通りの意見の持ち方があるはずです。しかし、論点の切り分けができていないと論点が1つしかないように見えるので、意見の持ち方は2通り、即ち「女性都議擁護」か「男性都議擁護」しかないように見えてしまう。
この結果、女性都議を擁護するような発言をすると「資質が!」という反論を受け、逆に男性都議を擁護するような発言をすると「セクハラが!」という反論を受ける。そして議論は泥沼に。

井戸端会議をしている分にはこれで問題ないと思います。これはこれで一つの娯楽だと思うので。
しかし、例えばこれがビジネスの現場だったりするとそうはいきません。議論では物事が前に進まず、成果に結びつかないからです。またこういった議論が政策論争に関する場合も、投票行動に影響するためあまり望ましい状態ではないように思います。

さて、前置きが長くなりましたが、本書はそういった冷静な物事の味方を学ぶのに最適な一冊です。
「問い」としての論点を詳らかにするだけではなく、「本当にその論点は真の論点なのか」「本当にそこには単一の論点しかないのか」などの視点をどうすれば持つことができるのか、非常に丁寧な語り口で説明しています。自分のアタマで物を考えることを推奨するという意味ではちきりん氏の「自分のアタマで考えよう」と類似した本だと言えますが、「自分のアタマで考えることの重要性」を説くちきりん氏の書籍に比べてこちらの方がもう少し汎化、体系化した「思考の仕方」について説明されているように思います。

本書を読んだ上で、全員が全員キレイに論点を切り分けてその論点ごとに冷静かつ建設的な議論をするのはなかなか難しいと思いますが、せめて僕は下記の糸井重里さんのツイートに倣い、冷静な考察、建設的な議論を心がけていきたいなあと思う今日この頃です。

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「リセット」の必要性。

ここ何ヶ月か、出張に行くことが多くなってきました。
飛行機やホテルのシーツ、朝食ブッフェが好きな僕にとっては、出張は面倒に感じるどころかとても嬉しいイベントです。このエントリー(「オレ流出張道具。」)やこっちのエントリー(「オレ流海外出張手配術。」)などにも書いたような出張ノウハウもある程度溜まってきた中での出張は、基本的に全く苦になりません。

しかし、時々1ヶ月近く出張生活を続けていると、集中力が続かなくなってきます。自分がその日なんの仕事をしなきゃいけないのか、わからなくなってくる。本当はこういうこともしなくちゃいけないのに、「まあいいか」という気分になってくる。
なぜか。

これは恐らく「リセットできていないから」なのではないかと思います。

少し昔のエピソードです。
新卒で就職活動をしている頃、結果的に勤めてることになった会社の面接で、面接官と下記のようなやりとりをしたのを覚えています。

面「顔色青白いですね、大丈夫ですか?」
僕「大丈夫です。こう見えても体力には自信があります。ハンバーガー3つと3時間の睡眠があれば3日動けます!」
面「へえ。何かコツはあるんですか?」
僕「『朝』と思われる時間にシャワーを浴びることです。僕は毎朝シャワーを浴びる習慣があるので、シャワーを浴びればその時間が『朝』、つまり一日の始まりであると体に思い込ませることができます。」

会話の内容はバカみたいですが、ここで上記の会話を持ち出したのは、上記のエピソードの中で「リセット」に言及されているからです。この場合は「シャワー」。

「リセット」とは、体力や気力、気分やらなんやらを一旦定位置に戻すこと。ニュートラルな状態にすること。そこを起点として、新たなアクティビティを始めること。
「リフレッシュ」とか「リブート」、「気分転換」とも言えるかもしれません。

「リセット」は日々の色々な瞬間にあります。
たとえば睡眠は、日次のリセットです。睡眠をとることで、1日の行動で消耗した体力及び精神力を回復させ、ニュートラルな状態に戻す。土日の休みは週次のリセットですし、正月休みや夏休みは年次のリセットです。
他にも、その人独自のリセットの手段もあると思います。朝、出社した時にその日のタスクを書き出して優先順位をつける作業、長時間の会議の後一度コーヒーを飲む、朝シャワーを浴びる、などなど。
こうしたリセットの作業、儀式を我々は日々意識的にも無意識的にも行なっているのだと思います。

さて、ではなぜ出張期間が長くなると集中力がもたなくなるのか。
それは仕事に必要なある特定のリセット儀式ができなくなるからです。

僕はとても飽きっぽいので、一定の頻度で気合いを入れ直す必要があります。
例えば、数分、数時間レベルの短期的なリセットとしては、「手を洗う」ことが僕にとって重要な儀式です。ちょっとくたびれた時、ふと集中力が切れた時、考え事がなかなかスッキリまとまらない時、僕はよく冷たい水と石鹸で手を洗います。そうすると頭がスッキリする気がします。
一方で、数日、数週間レベルのリセットに必要な儀式は、「自席での一人の時間」です。この時間に、大好きな缶コーヒーを飲んでリラックスをしつつ、自分のやるべきタスクを見渡し、やる気のない自分の尻を叩いて気合いを入れ直す。すぐにとりかかるべき作業があればその段取りを頭なの中に描き、すぐにとりかかるべき作業がなければこの時間を使って何ができるか考え、舌打ちをしながらそれを始める心構えを作る。ここで重要なのは「自席」であることと、「一人の時間」であることです。なぜかはわかりませんが、それで僕の頭はリセットされます。

ただ、「自席」であっても他人に何か邪魔されていてはリセットできませんし、「一人の時間」であってもそれが自宅では仕事のためのリセットはできません。このため、出張中は、この儀式をすることがなかなかできません。
「チームの海外進出を支援する」という現在の業務の特質上、出張の際は必ず誰かと一緒にいます。その同行者は支援対象であるが故に、ある程度出張期間中べったり同行することが多い。それこそ朝の会議から、夜の食事まで。このため一人の時間を持つことがなかなかできません。さらに一人の時間が持てたとしても、それは「自席」ではない。大好きな缶コーヒーもない。
2週間程度ならなんとかなりますが、3週間以上になるとだんだんこの儀式抜きでは集中力を維持できず、惰性で仕事をしてしまうことがだんだんわかってきました。

ちなみに、インドネシアに赴任する直前は1ヶ月くらいの出張を半年以上繰り返していましたが、この時は集中力を維持することができました。それは既に赴任が前提だったので、インドネシアに「自席」があったこと、そして社員の帰宅後は「一人の時間」を持つことができたためです。

ただこのままでは使い物にならないので、当面は、こうした儀式抜きでも集中力を保てるようにすること、もしくは集中力を再生産する技術を身につけること、などの対策を講じられるといいなと思います。まあもしかしたら「ただ緊張感が足りないだけ」なのかもしれませんが。

「堪える」マネジメント。

一般論として、会社の中で不正などが起きた場合、その是正措置として管理が厳しくなることが多いと思います。決裁権を上層部に集中させ、規則を新たに設け、その遵守を徹底させ、遵守状況を報告させる。
これは会社などだけでなく、社会一般で見られる現象と思います。ある学校で生徒の校則違反が見つかった場合、教師は生徒をより監視するようになり、校則を厳しくし、疑いのある行動を取り締まっていく。

ただ、問題を抑制するためによかれと思って講じた上記のような措置が、案外そういった問題発生に拍車を掛けることもあるように思います。

校則を厳しくしたが故に校則違反が増える。
鬱病の治療が進み薬の処方が普及したが故に鬱病の患者数が増える。
サービス残業を取り締まるため残業時間の監視を徹底するが故にサービス残業の検出数が増える。

こうして新たに検知された問題は、さらに管理や監視、ルールの厳格化を加速させ、より多くの問題を生み出すのではないか。その問題の多くは、監視が厳しくなる以前は問題とは扱われていなかったもの。どんどん「問題」の定義を拡張させ、問題発生数を増やし、その監視や管理に稼働を取られることになるのではないか。

ここでマネジメントに求められるのは、「堪える」ことではないかと思います。

ある高校の話です。
校内である大きな事件がありました。その事件は場合によっては犯罪と呼べるようなもので、普通の高校であれば、その事件の当事者たちは即刻退学処分になっていたと思います。そして校則を厳しくし、教員による生徒の監視を強めたでしょう。
ただその高校ではそれをやりませんでした。先生たちがしたのは、まず当事者たちと話し合うことでした。そしてその経過を逐次他の生徒に共有した。親に対する報告はひとまず保留にし、まずは当事者たちとの話し合いによって解決しようとしたそうです。
先生たちは、当事者たちを退学させ管理を厳しくすることで問題解決を図るのではなく、当事者たちと話し合い、退学させずに更正させる方向で問題を解決するよう努力しました。
対応策の大変さは、後者の方が圧倒的だと思います。前者も大変ですが、大義名分はある。しかし後者は、恐らく親や他の生徒からの批判に耐えつつ、時間を掛け、辛抱強く進める必要があったと思います。
でもその先生たちは「堪えた」。

管理することも大変ですが、それはあまり難しくありません。創造性や忍耐力を必要としないからです。しかし「堪える」ことは非常に難しい。
インドネシアにいたころの僕にはその忍耐力が不足していたように思います。問題が起きればルールを新たに作るか強化するかし、状況を報告させ、問題再発の抑制に躍起になりました。ただそれによって生産性を下げ、社員の士気を下げ、彼らの信頼感を失っていたのでは、と思います。

「堪える」ことはラクではありませんが、いいマネージャーになるために、僕も今後「堪える」ことを学んでいきたいです。

現場で実践!若手を育てる47のテクニック (田中 淳子)

最近の自分の能力開発テーマに「チームマネジメント」があります。実を言うと、現時点で僕には部下もいませんし、マネージするチームもないのですが。それでもこの分野の勉強をしようと思う理由には、このエントリー(「何を得たか。」)に書いた通り海外駐在の間にうまく能力開発できなかったこと、そして「自分の年齢に応じた市場価値」を獲得したいこと、があります。

そもそも巷でよく言われる「人材の市場価値」とはどういうことでしょうか。会社の幹部講話や先輩の説教の中で「市場価値を意識しないと」と言われたことのある、または言ったことのある人は少なくないと思いますが、それが具体的にどういう作業なのか、きちんと説明できる人はあまり多くないのではないかと思います。

自分の市場価値を確認する作業は、マーケティングのそれと同じです。それは主に下記の3ステップで構成されると思います。

  1. ターゲットとする市場を定義する
  2. 市場のニーズを知る
  3. 自分がどの水準にあるか知る
  1. ターゲットとする市場を定義する
    まずは広大な人材市場のどのセグメントを狙うか、明らかにする必要があります。基本的に人材市場は「業種 x 職種 and/or ポジション」というマトリクスで分けられると思いますが、そのマトリクスの中のどのセグメントを狙うのか、というのがこの作業です。もちろん「業種」「職種」以外の別の軸で市場を切ってみてもいいですし、新たな市場を作ることもできると思います。いずれにせよ、「営業」として生きていこうと思っている中で「北海道の農家からすごい引き合いがあった」としてもあまり「市場価値がある」とは言えないかもしれないので、ターゲットとする市場を明らかにすることが大切だと思います。
  2. 市場のニーズを知る
    ターゲットとする市場が明らかになったら、次にその市場のニーズを把握します。人材市場の場合、基本的に市場のニーズはジョブディスクリプション等で明らかになっています。そこには、どういった仕事に就いてもらいたいか書かれていると同時に、年齢や学歴、語学の能力やどういった経験を積んできたか、などの応募条件が書かれています。上記の農家の例で言えば「長期間住み込みでフルタイムで働ける方」とか「農学部の学位があり酪農に関して基本的な知識を備えていること」なんてことが書いてあるかもしれません。この理解が誤っていると、「すごい引き合いが来た」としても実はそれは自分が売りにしたい「営業スキル」ではなくただ「体力」が評価されただけ、なんていう誤解が生まれてしまいます。
  3. 自分がどの水準にあるか知る
    ジョブディスクリプションでどういう能力やスキル、経験が求められているか、その指標を知ることができました。あとはその各能力指標について、自分がどの水準にいるのかを確認します。しかし、資格などで定量化できる分野は評価がしやすいのですが、その他は中々客観的に評価することができません。そのため、定量化しにくい部分は実際に動いてみて、その感触で測って行くしかないと思います。転職サービス等に登録してみてどの程度企業や転職エージェントから声がかかるか見てみる、転職エージェントに会ってみてそのリアクションや気合いを見てみる、実際に求人に応募してみる、などの方法です。

上記の作業で、概ね自分の市場価値=市場におけるポジションを窺い知ることができるのではないでしょうか。

さて、このプロセスの中で問題になるのは「自分のターゲット市場は、自分の自由意志だけでは選べない」という点です。上記のステップの中で「市場のニーズはジョブディスクリプションで確認できる」と書きましたが、ジョブディスクリプションに書かれた応募条件の中で唯一自分がコントロールできない項目が「年齢」です。
会社を学校に例えると、進学の速さは学校によって様々ですが、概ねどの学年でどの程度の成果を出せるか、という指標のようなものは多くの学校の間で共通してあると思います。小学一年生に因数分解は期待されませんし、一方で小学六年生ではある程度の漢字の読み書きができることはどの学校でも期待されます。会社において新入社員に期待されること、30代に期待されること、40代50代に期待されることも、人材市場ではある程度共通しているように思います。つまり、望む望まないに関わらず、自分の年齢によって市場から期待されることはある程度決まってくる。

一方で、「学習の速さ」「カリキュラムの進行度」は学校によって異なります。「現在通っている学校の学習の速さ」と「他の多くの学校の学習の速さ」が同じであればあまり問題ではありませんが、これが違う場合、特に現在通っている学校のカリキュラムが他校よりも遅めの場合、大変です。例えば、他校では小学校二年生で学習することを、自社では小学校三年生に教えていたとしたら。転校する際に一学年下に編入できればいいですが、その学校にとってその生徒を採用するインセンティブはありません。市場で期待される市場価値を得るためには、独学で身につけるしかありません。

さて、30代半ばという僕のような年代の人材に市場が求めるものは何か。
これについては、海外赴任時代の上司が言っていたことが今でも印象に残っています。曰く、「20代ではプレイヤーとして成果を出す。30代ではチームを率いる立場として、40代では組織を率いる立場として、50代では会社を率いる立場として成果を出せないと、市場では売れない。」50歳になろうとしていた彼は、この考えに基づき、子会社であっても「社長」という会社を率いることができるポジションに手を挙げたそうです。
僕が社内外の「カリキュラムの進行度」に違いがあることを知ったのは30歳手前の頃でした。その前から当然頭ではわかっていましたが、目の当たりにしたのはこの頃です。この時感覚として得た年代ごとに市場から求められる能力も、上述した上司の感覚と似たようなものでした。それは、それまでの僕の感覚からは5年程度乖離していたため、僕自身は「自分は売れる能力を持っている」と信じていたのとは裏腹に、その賞味期限は5年前に切れていました。

書評のふりをしながら本書の説明をするのがすっかり遅くなってしまいました。本書は、上記のような悩みを抱えつつ受けた研修でもらったもの。その研修自体は「チーム憲章を作る」とか「ラポールを築く」とか、まあ大切なんだろうけどあまり実践では役に立ちそうにない、そんな印象でした。そんな研修でもらった本なので、もらった直後は本書にもあまり期待していませんでしたが(失礼ながらタイトルもジャケットもイマイチですし)、ところがどっこい読んでみると本書の内容はとても詳細で実践的。当たり前のようなことも書いてありますが、それでも上司の目線や部下の目線など多様な角度から解説してあってとても勉強になりました。

現在の環境において、自分の努力でチームや部下を持つ、というのはなかなか一朝一夕にできるものではありません。しかしそれを言い訳にしていても、自分の市場価値は上がりません。今僕にできることは、一生懸命自習したり塾に行ったりすること。いつ何時そのポジションにアサインされても、きっちりパフォーマンスを発揮できるよう準備しておくこと。そんなわけで、僕は今日も本書を読んで脳内の部下とコミュニケーションの練習(妄想)に勤しんでいます。[amazonjs asin=”4822262790″ locale=”JP” title=”ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック”]